原作を読んでいる人であれば、1〜3巻までのエッセンスがぎっしりと詰まっている本作には、ニヤリとしてしまうはず。とにかく脚本が、とてもうまくまとまってると思う。愛子ねえちゃんを三平の姉としてしまうという大胆さ。日本全国釣行脚の魚伸さんを、米国在住のバスプロにしてしまうあたりも違和感がない。
CGがどうのとか、細かいことは言いっこ無し。沢の音、イワナの美味さ、鮎の香り。日本の源流の素晴らしさが、この映画ではよく表現されていると思う。みなさんが、「イワナのタタキってのは、イワナの骨酒ってのは、そんなに美味いだか?」と思ってくれればそれでいいのです。オラは知ってるだ。美味いぞ。本ッ当〜に美味いぞ。
どこまでも緑の森、満点の星空、少々のイワナに焚き火、これさえあれば屋根がなくとも三ツ星ホテルなのである。
ところで、畏友dai氏の調査によると、夜泣き谷のロケ地は法体の滝とのこと。秋田県は鳥海山、子吉川の上流、赤沢川にあるらしい。日本の滝百選の一つだそうだ。鳥海といえば、まさに原作者の矢口高雄センセイの出身地である。いいところだのぅ。
カントクの滝田洋二郎にとっては、『おくりびと』の次作となる。おかげで、5月のカンヌを筆頭に海外からは相当引き合いがあるらしいけど、ま、この世界は外国人には理解しづらいんじゃないかなあ。
それにしても、香椎由宇はいい。いっしょに源流に行きたい!