東野圭吾 『さまよう刃』

この週末はサッカー三昧だった。土曜日のCSは、アレックスがFKを直接決めた時点で浦和の勝ちを確信、飲み会へと出かけたが、携帯の速報で延長の末にPKで負けたことを知る。恐るべし、岡ちゃん&横浜DF陣。

日曜日は、最後のトヨタカップ。こちらも延長までやっても勝負がつかず、PKでFCポルトが勝利。う〜ん、南米勢に頑張ってもらいたかったが……。

東野圭吾 『さまよう刃』

なにしろ、重い話だ。たったひとりの家族である娘が何者かに連れ去られ、レイプされ、挙げ句、死体となって発見される。犯人は十代の若者であり、現代の司法がその罪を厳しく償わせることはない。父親は、犯人を司法にゆだねるのではなく、自らの手で復讐することを決断する。

『秘密』や『トキオ』のような作品が好きな東野ファン層は、物語全体を支配する重苦しいトーンが苦手かもしれない。私は独身で子供がいないのに、胸が締め付けられそうになった。ましてや年頃の子供がいる人なら、この物語のテーマは読んでいてツライのではないか、とも思う。

だが父親が、そして警察が次第に犯人を追いつめていく物語中盤以降の展開は、さすがの筆力。2段組、368頁というボリュームも苦にならずに読み進められる。やがて作者が用意した「救い」に気づいたとき、評価は一変するだろう。

この作者、基本的にイイ人なんだよなぁ。ほんとうに「やさしい話」を書かせたら、現代作家の中ではピカイチなんではないかと思う。読み終えて、いい気分で一杯飲んでたら、飲み屋に本を忘れてきてしまったのが痛恨……。

「東野圭吾 『さまよう刃』」への9件のフィードバック

  1. さまよう刃、読みました。週刊誌に連載されてたときに何度か読んでいて、楽しみにしてました。

    新千歳空港の書籍売り場で午後6時に購入し、羽田までのフライト、京急で横浜、相鉄で大和、小田急で中央林間と読みつづけ、自宅のリビングのソファーで読了したら午前1時。

    ひさびさに大物を一気読みしました。ものすごい満足感です。

  2. さまよう刃 | 東野 圭吾

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    蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?

    久しぶりの東野作品。
    どうしても夏近くなってくると彼の作品を手にとってしまいます。

    僕ま以前から東野作品のファン…

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