おそらく30代中盤以上の人であれば、ものすごい共感を覚えるのではないか。いわゆる「懐かし本」の類なんだけど、これがまた、なんというかいい味を出している。
会社の近所に版元の竹書房があって、たまたま前を通りかかったとき、ショーウィンドウの中に石原さとみが泣いてる表紙が目に付いた。まわりが「麻雀なんとか」とかなので、目立つ目立つ(笑)。どうにも気になってすぐ買おうとしたんだけど、書店を何軒か探してやっと購入した。
Time Switch Vol.1「あのころ、70年代に会いたい」
・あの人の涙を探しに行きませんか? 石原さとみ/夏目雅子/岡田奈々
・特集:70年代懐かしグラフィティ
・付録CD:心の旅/チューリップ、東京の一夜/甲斐バンド、今はもうだれも/アリス、思えば遠くへ来たもんだ/海援隊、ほか
Time Switch Vol.2「紅白・レコ大・ゴジラの青春」
・別れを見つめる場所に、いつもきみといた 菊川怜
・特集:大晦日の夜、僕たちのクライマックスは「紅白」と「レコ大」だった
・付録CD:黒い花びら/水原弘、天使の誘惑/黛ジュン、シクラメンのかほり/布施明、ルビーの指輪/寺尾聰、ほか
なんと、懐かしの名曲がそのまんま入った音楽CDが付いてるんである。鴻上尚史がDJを務める深夜放送的なノリで、曲の間にトークが入るって感じね。vol.1のゲストは泉麻人、vol.2は山田邦子とかが参加。なお、vol.1では歌詞掲載ページにギターのコードも掲載されている(なぜかvol.2ではそれが消えちゃってる)。
楽曲以上にキモなのが、懐かしの音源。例えばvol.1はCMとして「ボンカレー 子連れ狼編」、またABC放送の「プロポーズ大作戦」テーマを収録。vol.2では、「ゴジラの鳴き声」(ただゴジラが鳴いてるだけの音だ)、CMでは「チロルチョコ」が。それにしてもまさかもう一度、あの名セリフ「3分間待つのだぞ」を聞けるとは思わなんだよ……。iPodに入れて、楽しんでおりまする。
そんなに頁数は多くないんだけど、構成も丁寧だし、編集の質もかなり高い。年季の入った辣腕編集者がゴリゴリと作ってる感がある。例えば、現代のタレントを使って、往年のムードを作ろうとしてる特集なんかは、思いつきはしても、実現するにはそれなりの周到な用意が必要なんだが、特にvol.1は石原さとみの使い方がとてもいい(vol.2の菊川怜はゴジラ絡みでの起用なんだろうけど、今ひとつか)。全体を通してみると「チカラ技だなぁ」というのが率直な感想だが、ハマる人(オレだ)にはたまらんのだ。
どうやら売れ行きも好調らしく(?)、来年2月10日にはvol.3が出るようだ。特集予定は「フォーエバーGS!」だって。たぶん買うな、これも。