『スラムドッグ$ミリオネア』を観てきた

インド、あるいはアジアへの憧れというのは、ヒマな大学生なら誰もが一度はかかる熱病のようなものだ。私も留年していた数年間、何度もアジア貧乏旅行に行きたくなり、その都度思いとどまった。

きっと行ったら行ったで、現地でクスリにハマって半端に居着いてしまうタチの悪い学生崩れになってしまいそうなのと、日本に帰ってこなくなるような気がしたからだ。

18歳のとき、半ば儀礼的にパキスタンに行く機会があったことも、抑止力となってくれたのかもしれない。

さて、そんなわけでスラムドッグなんですが、映画館が混んでましたねえ。さすがアカデミーの力は偉大です。府中のTOHOシネマズはいっつも閑古鳥なんで、潰れやしないかとヒヤヒヤしてるんだけど、やや安心といったところでしょうか。まあGWだしなー。

あ、肝心の内容ですが、徹底的なスラムの描写と反比例するかのような恋愛映画で、すこぶるよかったですよ。主人公の兄弟はムスリムという設定なんだけど、幼い頃、母親をヒンドゥーの原理主義者たちに撲殺されたりする。ただし、意図的なんだろうけど、映画全体を通しては、イスラムがどうとか、そういった要素はほとんど出てこない。クイズに答える主人公、ジャマールも、最後まで神に祈ったりはしなかった。彼には神なんかよりもっと大事なものがあったのだ。

個人的には、1000ルピーには誰の肖像が描かれているか知らないジャマールが、なぜ100ドル札に描かれている人物を知っていたか……ココのエピソードがよかったなー。

あと、最後の問題が象徴するもの。あまりにもストレートではあるけれど、その答えに至るまでの流れにグッと来た。

みのもんたがやってたクイズ番組はほとんど見たことがなかったけど、ライフラインは重要な意味を持ってると思うので、知らなければ、鑑賞前にまわりの人に聞いておくといいかもしれません。

帰宅後、故ねこぢるさんの『ぢるぢる旅行記〜インド編』を読んで寝た。これもまた、名作である。果たして自分の人生で、インドに行くことはあるのだろうか……。

浜松にあったボンベイ@カレー屋のこと

田舎で高校生をやってた頃、初めてインド風のカレーというものに出会った。それがボンベイという店で、それまでカレーといえばいわゆる日本風しか知らなかった幼きアタクシは、もうガツーンと衝撃を受けたわけです。

ものすごく辛い。しかし、ものすごく旨い。

メニューには、見たことも聞いたこともないようなカレーがズラリと並び、しかもそれぞれ辛さを無段階に調整できる。だいたい、悩んだあげくにふつうのチキンかキーマを頼むことが多かったかな。ランチタイムだと、サラダとマンゴージュースがついていて、このマンゴージュースで辛さをやわらげながら食べたもんだ。

ボンベイは、正月だろうと無休で空いてたので、「お節もいいけど…..」といったノリで、三が日にはよく出かけた。食べた金額に応じて、「ルピー」と称しておもちゃのお札をもらったっけ。これを集めると、店にある雑貨なんかと交換できたんだよな。

トイレは、四方が鏡張りだった。あれはなんでだったんだろう。とにかく「その」間、自分のナニが目の前の鏡に映るんである。いかがなものかと、思ったもんだ。

大学に入ってからも、帰省したときはできる限り立ち寄った。東京にも、こんなに本格的なカレーを食わせる店はないと思った。いや、六本木とか神保町に行けばあったのかもしれないが、当時はそんな情報など手にはいることはなかった。

だが、ある日ボンベイはなくなってしまった。ヘンテコな居酒屋に変わってしまったのである。もう、あの味には二度と会えないのかと思うと、故郷が少しだけ遠くなった気がしたものだ。

<以上、前フリ>

会社が九段下に引っ越した。近所にそこそこ有名なスリランカカレーの店があり、やはりカレー好きとしてはチェックせねばなるまい。食べてみるとなかなかいい味を出している。うんまい。

で、そういったプチ有名店ならではだが、自分のとこが紹介してある雑誌や本がレジの横に無造作に積み上げられている。注文し、料理が出る間になにげなくそのうちの一冊を手に取ると….

なんと、浜松のボンベイのことがコラムとして載ってるではないか!

それが東京カリー番長の神様カレーguideという本で、なんと浜松出身の人(つまりカリー番長氏ね)が書いたものであった。

おかげでボンベイ@浜松の出自や、その後の店長のことなどを知ることができたわけだが、なんと、いまボンベイのカレーがレトルトになっているというではないか!! どうやら、地元の遠鉄ストアというスーパーで手に入るらしい。

また、ボンベイをネットで検索していると、横濱カレーミュージアムに行き当たった。中部地方で初めてタンドール釜をあつらえた店であったり、全国的にもかなり有名だったようだ。これは、なかなかうれしいエピソードだ。

高校の頃、好きだった女の子の実家が、実はボンベイのトイメンにあったりするんだよなぁ……。とりあえず、今度帰省したら、レトルトを探してみようと思う。

仕事、終わんねぇ。