もうすぐ完全な死を迎えるCDというメディアについて

CDと決別することにした。

具体的には、自宅にある音楽CDのコレクションをすべて売却すべく、徐々に手を付けている。

およそ1000枚。これでも何度かの売却機会kを経て生き残った精鋭、つまりはお気に入りの音楽たちだが、ビリー・ジョエルやツェッペリンのリマスター紙ジャケはもちろん、ムーンライダーズの秘蔵アイテム、超プレミアが付いているエレカシの3枚目など、別け隔てなく処分するつもりだ。

DiskUnionなどに一括で売却することも考えたが、1枚ずつメルカリに出している。十把一絡げで買取してもらうより、1枚ずつ、あるいはある程度セットでフリマに出したほうが手残りが圧倒的に多くなるからだ。

ただし、途方もなく手間がかかる。

1枚ずつ商品写真の撮影、盤面のチェック、販売文言の記載をして、売れたら売れたで個別梱包と発送、ときにはコメントの返信や面倒な値切り交渉の相手までしなくてはならない。

いま、邦楽の50音順の「さ」行の終盤にさしかかったところだが、出品するそばから売れたりもするし、なかなかに骨が折れる。洋楽のZまで到達するのにどれくらいかかるだろうか……想像するだに恐ろしいものの、暇を見つけてボチボチやっていくつもりだ。

この、メルカリをめぐる悲喜こもごもについては、そのうち改めて書くかもしれない。

 

音楽ソースのデータ化は、MP3から一般化した。以来20年以上がたち、気がつけば日々接している音楽はそのほとんどがリッピングされたデータや配信となっている。

再生を目的として音楽CDを持ち出す機会は、ほぼ絶滅した。そしてもうすぐ完全な死を迎える。

今更なにをとおっしゃるかもしれないが、確かに我ながら気づくのが遅かったと思う。自部屋や外出時はデジタル音源でいいし、リビングではここのところアナログレコードをかけまくっている。なんの問題もない。すでに自前のコレクションはすべてALACにてリッピング済みなので、データ品質的にも申し分ない。

今後は好きなアーティストの新譜が出たら、ハイレゾ配信があればそれを買う。なければとりあえずCDを買い、リッピング後にすぐメルカリに出すことになりそうだ。もちろんアナログ盤も同時に出してくれるなら、配信やCDは買わない。レコードをデータ化するのは昔ほど大変な作業でもないし、むしろWAVで取り込めば自家製ハイレゾ音源となるぶん有り難いくらいだ。

ノイズ? もうノイズも気にならないなあ。大した再生環境じゃないけれども。

海外では、アナログを買うとダウンロードコードが付いてくるとか、普通に一般化している。日本もそうなればいいんだけどね。なお、ちまたでは、Spotifyなどのサブスクも流行しているようだが、あれはあれで自分の嗜好には合わないんだよなあ(いまのところ)。

自分が高校生の頃に登場した音楽CDは、世の中的にはまだもう少し生きながらえるかもしれない。日本はCDの売上がまだ大きい、世界的に得意な市場だったりもするらしいし。

だがCDというメディアそのものの寿命もあるうえに(一説には10年という話もあったが)、これだけソースとして使用されない現実がある以上、もはや使命は終わった。

よく覚えている。カナダの3人組バンド、RUSHがPOWER WINDOWというアルバムを出したときのことだ。

当時、まだCDを再生できる環境が自宅になかった。でも、レコードとCDの両方が発売された。兄は「そんなん当然CDだわ」と言っていたが、迷いに迷って、LPを買った。

自分が買う最期のLPは、このアルバムになるのか……。そんな思いを抱き、レジで受け取った。

あれから35年。せっせとCDを売り、LPを買っている自分がいるというのは滑稽なものである。

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