映画『悪人』と『事件屋稼業』

映画『悪人』がなかなかよかった。深津絵里がモントリオールの世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したそうだが、実際には脇を固める面々のほうが印象的だった。

特に柄本明と樹木希林。あと宮崎美子がグッと来ます。おすすめ。

善人ヅラした悪いヤツ、被害者ヅラした加害者等々、いまの世はまことに複雑だ。ついつい、『事件屋稼業』というマンガを思い出してしまった。

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原作・関川夏央、画・谷口ジローという奇跡的デュオによる名作シリーズ。上の写真は第5巻。ビルからの立ち退きを強要されている中華料理屋が、ゴネ得どころか欲の皮を突っ張らせるエピソード。地上げ屋のモノローグにかぶさる、日活時代の裕次郎というコマ。

探偵とは職業ではない
生き方だ

きわめて危険で
同時に美しい
誰もが軽蔑しつつ
うらやむ生き方だ

たとえていうなら
銃口に止まった蝶のようなものだ


主人公・深町丈太郎は1948年生まれ。存命であれば、62歳。果たして彼は携帯電話を持ち、インターネットに支配された21世紀を生きているのだろうか。いつか、続編を期待したいのだが。

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