福山雅治のことを好きな男ってけっこう多いと思うんだよね。ルックスは最上なのに下ネタが得意なところとか。下ネタって意外と扱いが難しいんだけど、放送禁止ギリギリのところをサラリと流す。あの顔で。
キミのアソコを湖に例えると? とか素人に聞いたりすんなよ。なんて答えりゃいいんだ。阿寒湖とかピュアっぽいけど、浜名湖とかだと塩けが多くてヒリヒリすんぞ。おまけに自称オナニー公爵ってアンタ、最高だよ。
さて『容疑者χの献身』です。これ原作は何度読んだかわからんくらい読んだし(自慢じゃないが初版で買った)、勢いあまって、当時入院してた母親に送って読ませたりもしてる。その後ミステリー関係の賞を総ナメして直木賞まで取ってしまうわけだが、それも納得。東野作品としては一般の認知的には『秘密』かコレかってところじゃないですかね。
ミステリー作品としての構成批判もあったようだけど、この作品で使われてるトリックは、個人的にはオリエント急行とか、そのくらいのインパクトがあった。その行動を支えていたのが「愛」であるという点も、この作者らしいところだと思う。
で、福山くん。キミはもちろん原作読んだよね? その上でこの映画に主演してるわけだけど、実際のところどうなのよ。満足してるわけないよね。フジテレビとか東宝とか、偉い人たちはなんて言ってるか知らんけど、これからは映画やらドラマやらの企画そのものに、もっと口を出した方がいいよ。監督も、(決して自分でやろうとしちゃいけないけど)主演するなら自分で選ばせてもらいなよ。
まあ、それはともかく。
なにがひどいって、やっぱキャスティングかな。ほんの一部だけど、その一部が決定的にひどいのだ。いや、堤真一本人に罪はない。だけどカッコよすぎるだろ。演技で一生懸命キモ数学オタっぽくしてたけど、原作をどう読んだら堤真一をキャスティングできるんだか。いまからでも遅くはないから、カンニング竹山で撮影しなおしてくれんか。ヤツなら絶対ハマる。
松雪泰子も弁当屋にしちゃ眉毛細すぎだけど、元ホステスってことで許せる範囲。くどいようだが堤真一が石神とか、選んだヤツどんなチャレンジャーだよ。松雪&ダンカンなんかより、圧倒的に松雪&堤真一のほうがお似合いカップルじゃねーかっ!
おかげで鑑賞前から「堤真一があのラストシーンをどのように演じるか」だけが個人的注目ポイントだったわけだけど、辛うじて及第点レベル。ある意味、堤真一のうまさ。だけど、あのエンドロールまでの展開はないわー。泣かせどころで敢えて泣かさないとか、流行ってるのか? 福山くんが吐くべき、あのセリフもカットされてるし。
原作の存在が大きい場合、忠実に作るか映画ならではの演出を仕掛けるかは迷うところだけど、いずれにしても「原作に対するリスペクト」は絶対的に必要な要素だと思う。この映画の製作陣は、その精神を忘れてしまっていたとしか思えない。
わかってて見に行ったドMな私としては、予想通りすぎだったが、なじみの深い浜町とか新大橋界隈の映像が多かったのと、長塚圭史ふんするあわれな被害者の出身地が自分の故郷だったのがツボだった。以上。