桑の実の思い出

facebookにも投稿したけど、備忘のためこっちにも。


18歳の夏に、大学の合宿でパキスタンに行った。

川を遡り、5000メートルの峠を超え、下痢や鉄砲を持った不埒な輩に悩まされつつ、旅のフィナーレで迎えたのがアフガン国境にほど近いチャパリという村だ。

村の広場には桑の木がたくさんあり、折しも食べごろの実がたくさんなっていた。村人たちからも「食え食え」とお許しが出たこともあり、一同桑の木に群がり、貪るようにしてその実を口に放り込む。数週間にもおよぶトレッキングで果物のような食材に飢えていたのだ。

その後山羊を一頭購入し、それを解体し、宴が始まった。脳味噌と心臓のソテーの美味いこと。そのうち、肉もどんどん焼けてくるのだが、料理の合間にも桑の実をつまんだりして。


この週末、いつもの野川公園に行ったのだが、なにやら子どもたちが木登りをしている。よくよく見たら、桑の実をつまんでいるではないか! どれ、ちょいとオジサンにも分けとくれ、ってなことでいくつか摘み、妻子にも食べさせてみた。これが素朴な味わいでじつに美味いのですね。

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子供らから、「色の濃いのが美味しいよ!」と教えてもらいつつ、しばし遠い日の楽園とも思えたチャパリ村の人々に思いを馳せた。


いつもの場所に移動して弁当を広げると、地面には蛇苺もチラホラ見える。

やはり5月の野川公園は最高なのである。来年もこの時期来訪せねばね。

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薫り高き

浜松餃子が近年よく話題に登り、宇都宮としのぎを削っているようだが、個人的には確かに餃子屋は数多いが、そんなに食べてたっけか?という程度で違和感がある。消費量だか何だか知らないが、どうにも宇都宮に因縁を付けているようで感じが悪いなーというのが率直なところだ。まあ、地域おこしの一環だろうから、お互いに盛り上がったりするのならいいのかもしれないけど。

そんな餃子なんかよりも、こっちのほうが有望なんではないかと思うのが、ピーナッツだ。ピーナッツといえば、もちろん千葉である。だが何年かしたら「浜松のピーナッツ」が全国区になるかもしれない。

この名前を覚えておいてほしい。

杉山ナッツ、という。
http://www.sugiyamanuts.com

「遠州半立ち」という地元の品種を丁寧にオーガニック栽培している。浜松の雄踏というエリアの、宇布見(うぶみ)で生産されている。宇布見には親戚が住んでるんで、個人的にも馴染み深い。

規模は決して大きくはない。ていうかむしろ小さい。いまのところ個人がやってるようなレベルであり、そりゃあ千葉に比べれば生産規模は段違いだ。加えて化学肥料を使わずオリジナルの堆肥を使うなど、手間がかかる分生産量はわずかで、おのずと高価である。

生産者は、ヒップホップダンサーを目指してアメリカに渡り、本場のピーナッツバター文化の洗礼を受けたという変わり者でもある。

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今回帰省した折、運良くローストしたピーナッツと、ピーナッツバターを3種(プレーン、はちみつ、ホワイトチョコ)手に入れることができた。すでに地元でも入手は困難となっているようだ。

焼きたてのパンにピーナッツバターを塗り、食べてみた。香りがとんでもなく濃く、スーパーで買うものとは別次元の美味しさである。胸を張って紹介できる故郷の味だ。

餃子なんかより、自治体はこういったものをもっと支援すべきなのである。

<参考リンク>
http://towtowmi.jp/column0_10/
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO97484870Z10C16A2L61000/