小林まことがイブニングに連載していた『関の弥太ッぺ』が、単行本になったので買ってきた。連載時は「なんでまたこんなシブい話を!?」と思ったりしたものだが、こうして一冊にまとまったものを読むと、いや〜面白い。名作ですわ。
原作は、長谷川伸。といっても、21世紀となった現代では知らない人のほうが多いんじゃないだろうか。いわゆる「股旅モノ」の創始。瞼の母やら一本刀土俵入りやら沓掛時次郎やら、数々の名作を生み出した、大衆娯楽の神様のようなお方だ。
そのペーソスは、狩撫麻礼作品なんかにも随所に見られるわけで、私もボーダーなどをきっかけに、長谷川伸の世界にハマったクチだ。市川雷蔵主演の『沓掛時次郎』なんかは、DVDまで買って何度も見たものです。
義理に人情、そして愛。今風に言えば「ほっこり」なんですかね? いや違うか……。
それはともかく、あとがきなんかを読むと、小林まことは本当に長谷川伸の世界に心酔していて、ストーリーなんかも、時に微妙に、時に大胆に手を入れてるんだけど、それがことごとく成功している。過去の小林作品の登場人物を使ったスターシステムなんかもよい。猫のマイケルもいい味出してる。
さりげなく、番場の忠太郎が登場するあたりも泣かせる。次回作は、真打ちとも言える「沓掛時次郎」らしいんだけど(2009年冬に連載スタートとの告知アリ)、こりゃ間を置かず「瞼の母」にも取りかかるに違いない。
小林まことは、確かに一時代を築いた漫画家だが、近年はさしたる成果もなく、「終わった」感さえあった。それが、こうして入魂作を世に出すというのは、本当にすごいこと。おかげで、すこぶる幸せな気分になれた。間違いなくいい仕事である。
それにしても長谷川伸、これをきっかけにリバイバルでもしないものかね。ハリウッドあたりが目をつけてもよさそうなものだが。
長谷川伸かあ・・・読んだことない。
読んでみようかなあ。。。。
弟子の池波正太郎はほとんど読んでいるのだが。
弟子は錚々たるメンツばかりなのよねw