iADかー

iADとはいかにもベタなネーミングだが、昨夜のAppleのEventの中では、これが潜在的に最も大きなインパクトを持っているのではなかろうか。

基本的に広告は、嫌われる存在だ。特にインターネット・オリエンテッドな世界では。

チカチカとうるさいバナーやFlashはもちろんのこと、メルマガと称したDM、はてはRSSの新着にまで紛れ込み、既読にする手間をかけさせる。

こういった広告は、迷惑なことこのうえない。

その反面、好感度の高い、あるいは少なくとも気にならない広告も確かに存在する。その差は何かと問われれば、「役に立ったか立たなかったか」という要素が非常に大きい。

確かにGoogleの力は偉大で、AdSenseなんかは確かに内容とのマッチングはいいが、それはあくまでもアクセスしている対象との親和性が比較的高いだけにすぎないから、時にトンチンカンだったり、どうでもよかったりもする。

Appleがやろうとしているのは、もっと突っ込んだモノになりそうだ。何しろ、iPhoneなのだ。音楽を聴く、アプリを使う、ネットを見る、そういった行動がすべて、紐付け要素となる。もっといえば、位置情報。行動パターンなんかも含まれるのだろう。

個人情報保護的な観点から、こういったことに対してアレルギー反応を起こす人は多いと思う。キンタマ握られてる感覚ね。

しかし、広告を出す側、売る側としては、これほど高い効果が望まれる媒体は、かつてなかったかもしれないというくらいインパクトがある。ユーザー側としても、的確なリーチの広告であれば、それが役に立つ度合いは高まるわけで、決して悪いことではないはず。

モバイル向け広告会社のQuattro Wirelessを買収したのが1月だが、この僅かな期間で形にしてしまうところがおそろしい。もちろん前々から構想されていたことだとは思うが。

もちろん同じことはGoogleにも簡単にできるわけで、実際、AdMobという会社を買収しようとしている。だから今回のAppleの買収は、先手を打とうとしたものだ。

今後は、ますますiPhone vs Androidという図式に拍車がかかる。Android側は、端末による個体差をどう埋められるかがカギとなりそうだ。そしてAppleは相変わらず、ハードウェアとOSを1社で開発しているアドバンテージを活かし、より最適化された広告を配信することができるだろう。

このアドバンテージは、かつては逆にデメリットでさえあった。ほんの10年でここまで状況が変わるというのは、本当にすごいと思う。そう、かつては確実に負のスパイラルだったわけで、ずうっとその様子を見て来た人間からすると、まるで海底に沈んでいたものが衛星軌道まで飛び上がったくらいの感覚だ。

なお、レベニューシェアはApple側が40%という数字のようだ。Googleはどうなのかとちょっと調べたら、どうやら非公開っぽい。もちろん調査はしているだろうから、同等か、あるいはやや良い条件という感じではなかろうか。

広告代理店としては、どんな受け止め方なんだろう。ちょっと話を聞きにいってくるかなー。

「iADかー」への2件のフィードバック

  1. うーん、面白い。
    舞台がモバイルだからなあ。
    Jobsのモバイルユーザーは検索しない
    っていう発言は、ある意味、痛いところだよなあ・・・

  2. これからの2-3年は、むちゃくちゃおもしろいことになりそう。

    まあ、そんなことよりはやくiPad売ってほしいのだが。

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