魔法少女なでしこ

内股で素早く駆け上がる鮫島。「お買い物ドリブル」と称され、ドイツやスウェーデンの左サイドを何度も鋭く切り裂いた。

「なでしこジャパン」という呼び方は、じつはあんまり好きじゃない。サムライブルーというのもどうかと思うことが度々あるが、それ以上に、自らの国の女子代表チームを称する言葉としては、あまり相応しくないと感じている。謙虚さに欠けるというか、自分から言う言葉じゃないよなあ、という意味で。

だけど、今回のワールドカップは予選からウォッチしてきて、その考えを改めつつある。「なでしこ」の名を冠するに値するチームなのではないかと、感じるようになった。

いわゆる「マリーシア」的なことを滅多にしない。

審判が見てないところで後ろから激しくチャージしたり、あからさまにレスリングのように相手を倒したり、そういったいやらしいプレーはほとんどしてないんじゃなかろうか。

あと、ツバを吐かないよね。他国の、モデルばりのルックスをしたキレイなねーちゃんが、ピッチにぺっとツバを吐くのを目にすることはあっても、「平たい顔族」の彼女たちは、そういう振る舞いをしてないんじゃないかと思う。気付いてないだけかしらん。

加えて、じつにエレガントなパス回し。ヨーロッパの国は、明らかに体格を生かしたサッカーをしていて、それはそれでいいんだけど、日本女子は、フィジカルが弱いんだから必然的とも言えるが、パスサッカーに磨きをかけてきた。

男子のようなプレーを目指すのが欧米としたら、体格に劣る日本人らしい、剣道に対する薙刀のようなサッカーを、日本女子は完成させたような気がする。気品とアイデアに満ちあふれた、じつに女性らしいサッカーを。

スウェーデン戦はほんとうに象徴的だったけど、小憎らしいほどのパス回しで相手を完全に翻弄していた。試合終了後の、「なんでこんなちっこい相手に負けてしまったのかがわからない」とでも言いたそうな相手の呆然とした姿は、まるで弁慶と義経の五条大橋のようでした。眠気も吹っ飛んだ。どこかの国のプレスが、「魔法のような」と記事に書いていたけど、まさにその通り。

ラスボスは、アメリカ。府中出身、地元のヒーロー・沢アニキには、ぜひともゴールを決めて得点王になってほしいね。そんで勝つことができれば、本当に最高だ。

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