18歳で上京して、初めて桂花を食べたときは衝撃を受けた。
あの細い路地、怪しげな小さな間口。いわゆる博多ラーメンも知らないのに、いきなり熊本ラーメンを体験することになったわけだ。
カウンターに書いてある能書き的なものに、3回食べれば必ずクセになる、みたいなことが書いてあったけど、いやもう初回からクセになりました。
以来35年以上、新宿に用事があると何やかんやで食べたくなってしまうんだよね。
習慣的にターロー麺にしちゃうんだけど、正直普通のでいいかな。味は、個人の感想レベルだけど昔と比べてもそんなに変わってないんじゃないかと思う。スープを一口すすると、脳内で「あー、この味だわ」と声がするくらい。

なんとなくだけど、ここ10年くらいは末広のほうに立ち寄ることが多いかな。店内広いし、落ち着くんだよね。ランチタイムってことで+50円で小ライスが付く。
西口の小田急改札前にある箱そば本陣には、帰宅途中にフラッと入ることが多かったな。夏は冷やしたぬき、それ以外のシーズンは、やっぱり天玉。
安心安全な立ち食い蕎麦。とにかく味が安定してるから、裏切られることがない。七味を鬼のように振ってから啜るのが常だが、途中でさらに追い七味しちゃうんだよね。
東海林さだおのエッセイで「天ぷらそばのツライとこ」ってのがあって、これは何年か前にNHKの朗読を題材にしたドラマでも扱われて話題になったのだが、仕事帰りについ思い出しちゃったりして、そうなるともう、新宿の乗り換えで自然と箱そばに足が向いてしまうんである。

桂花にせよ箱そばにせよ、昨今の物価高を反映してか昔に比べると大層な価格になってしまった。天玉が700円とか、もうそういう時代なんだよな。