何十年たっても、忘れられない味がある。
当時はライターの見習いみたいなことをしていて、ちょうど御成門にある、某山岳系出版社でよく仕事をしていた。そのとき、頻繁に通っていたのが「味芳斎」という中華料理の店。
一応、薬膳中華のはずなのだが、どうも最近、看板の「薬膳」とあったところがガムテで消されてるんですよ。なんでだろう。なんか、クレームでも来るのかね。
ここは何でも美味いが、やはりお勧めは「牛丼」。牛肉の角切りを煮込んで丼にドバッと盛る。茹でたもやしが添えてあるんだけど、そのまま食べるもよし、かき混ぜて食べるもよし。イメージとしては、辛い牛喃飯かな。正式名称はたしか、「四川牛肉飯」のはずだけど、誰もそう言わない。あれ? 重慶だったかな。とにかく頼むほうも店の人間も「牛丼」で片付けている。
先日のこと。たまたま夕方に浜松町の某大手企業で打ち合わせがあった。仕事はサクッと終わったんだけど、「ちょっとこのあと予定があるので」と単独行動に切り替えて、味芳斎に行くことにした。何年ぶりだろうか、とにかく久しぶりだ(同僚を誘わなかったのは、その人、痔持ちだからだ。ある意味、思いやりです。ええ)。
5時すぎだったのに、店内は仕事を切り替えたオッサンたちで賑わっている。「ぎゅうどんください」とオーダーしたら、仕込み中で時間がかかるという。その後も戻って仕事だったが、つい「じゃあ生ください」と切り返す。
この店でビールを頼むと、アテとして出てくるのがこれ。ただのキャベツの酢漬けじゃないのは、見ての通り。いい感じに発酵していて、んー、美味し。
パッと見ではわからないけど、八角やら中国の山椒やら、いろんな味がする。初めて食べたとき、なるほど薬膳っぽい、と思ったものです。そして、ジワジワくる辛さ。うへー、美味すぎる!
あと、この店で好きなのがコレ。いわゆるラー油なんだけど、これまたいろんなスパイスが混ぜ込んであってウレシイ。途中からコイツをドドドと牛丼にかけて、さらに汗をかきながらかき込むのだ。ランチのレバニラなんかにも、これをかけるだけで味わい深くなるんだよね。
幸せな時間を過ごし、満足して店を出ると、東京タワーが美しい。嗚呼、生きててよかった。
ホントはこの店には、ぜひ4人くらいで訪れたいんだよね。その際は、これまたとびっきりに美味い麻婆豆腐は外せない。それも、いわゆる日本人がイメージする麻婆ではなく、かといって陳麻婆豆腐みたいなものともまったく異なる。豆腐がグズグズに崩してあって、知ってる人は知っている、神田小川町にある「四川一貫」の麻婆とよく似てる。
あと味芳斎には本店と支店があって、私がよく行くのは支店のほう。歩いてすぐのところにある本店は、主がちょっと変わり者で、店の壁にヌードポスターとかが貼ってあっていかにも怪しい(笑)。
場所はこちら。芝パークホテルの向かいです。
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続きを読む 牛丼@味芳斎