BRAUNのデザイン

すもも祭のあと、府中市立美術館の、気になってた企画展が最終日だというので駆け込みで行ってきた。「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考」、ちょっと長ったらしいタイトルで、これだけだといまひとつわかりにくい。

R0012811

ディーター・ラムスは、BRAUNのデザイナーをやってたひと。BRAUNというとシェーバーとか電動歯ブラシのイメージが強いかもしれないけど、プロダクトデザインの世界では教科書的な企業でもある。とりわけディーター・ラムスの全盛期は、素晴らしいアイテムが目白押しだった。近所に美大があるせいか、学生っぽい人々が大勢きていて、スケッチしていた。

たとえばコレ。「白雪姫の棺」なる別名を持つオーディオプレーヤー。



いいなあ、この雰囲気。思わず欲しくなってしまう。

良いデザインとは何かを考えるときに大切なのは、悪いデザインとは何かがキチンと想像+認識できているか、ということだ。じつはこの点においては、哀しいかな、悪いお手本なら身の回りにワンサカある。これでもかと機能を詰め込み、それぞれにボタンやレバーを用意し、どんな機能を実現するのかいちいち書いてあるもの。老人から読みづらいと苦情が来るのか、文字は不自然なまでに大きく、しかもフォントは適当だ。

結局のところ、”Less but Better”というディーター・ラムスの思想は、機能テンコ盛りスペック至上主義なプロダクトに囲まれた現代人にとってはフィットしづらいのかもしれない。実際、BRAUN製品はセールス的には大々的に成功したとは言い難いし、現在のBRAUNのプロダクトを見ると、当時の面影はあまり見られない。

アップル製品なんかには、確実にこういった思想は受け継がれているんだけどねえ。

思うに、モノゴトをシンプルにして価値を高めるという意味において、日本ほど優れた文化・土壌はないんじゃないかと思うんだけどなあ。俳句や短歌みたいなものもそうだし、日本刀とか、う〜ん、ほかにもいっぱいあるような気がする。”Less but Better”な民族だったんじゃないのかなあ、ワレワレは。無印とかは、けっこういいシゴトしてるんだけどね。

なお、BRAUN Design Worldというサイトはおすすめ。思わずため息が出るような素晴らしいモノがいっぱいです。

いま、”Less but Better”なブラウン製品で手に入りやすいのは時計ですかね。↓コレはウチにもあります。

「BRAUNのデザイン」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です