昔ながらの中央線の「匂い」が、いまだ濃く残る西荻窪。阿佐ヶ谷や高円寺も、いまやすっかりお行儀がよくなってしまったが、西荻はまだまだヤンチャだ。だからかもしれないが、駅に降り立つとホッとするもんね。
そんな西荻南口の路地裏で、家人の大学時代の友人がバングラデシュ人のご主人とカレー屋をやっている。「ミルチ」という店で、訪れるのは3度目。日本人の多くはバングラデシュがどこにあるか知らない、あるいはまるで興味がないので、看板は「インド料理」となっている。ありがちな話だ。
とはいえバングラはもともとインドだったわけだし、ベンガル料理ってことであまり気にしない。料理は、いわゆるインド料理ひととおりと、あと一品ものは「海より」のものが多いかな。小魚と野菜をスパイスで炒めたものとか、ベンガル風オムレツとかが美味い。日本の煮干しが効果的に使われてたりして、スリランカっぽさもある。
この店は野菜や豆料理がいい感じ。タマネギの天ぷらとか。あとまあ、いちおうイスラム国なので豚肉はないっぽいね。鶏と羊が主体。
店名は、ヒンドゥー語で唐辛子という意味らしいが、奥様の名前にもかかっている。昨夜は所用だったらしく会えなかったけれど、楽しいひとときをすごした。この路地には、こういった間口は狭いけれど度量の大きな、というか、いわゆる中央線な店が軒を連ねている。通りの奥に公衆便所があって、どの店もそこが指定のトイレ。しょんべん横町スタイルとでもいえばいいのか。
だいたいお開きかなーというタイミングで、ご主人がなにやら料理を作り出す。やたらといい匂いなので、それは何かと聞いてみたら、まかないだという。腹八分目はとうに過ぎていたが、食わせろと無理を言っていただく。
鶏肉をいろんなスパイスでグチャグチャにしたもの、とでも言えばいいのか。正式名称は忘れたけど、ホットで美味し。
入籍1周年の夜であった。