父親の横顔

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父親は、今年77になる。昭和8年生まれの満州世代。

祖父が先物で失敗したか何かで土地(しかも駅前の一等地)をあらかた失い、逃げるように大陸へと渡り、運良く戦局が悪化する前に引き上げてきた。ハルピンの百貨店でエスカレーターに感激したとか、ロシア娘とどーたらこーたらとか、酔っぱらうとたまにそんな話をする。

仕事は、いまだに現役。息子が2人とも出来が悪く、跡継ぎはいない。地方の建設関係なのでご多分に漏れず景気は最悪らしい。それでも、雇っていた職人が定年になるまではと頑張っていたようだが、その職人が定年を前にして急遽隠居することになり、店を畳むタイミングを失ったようだ。

二日と空けず麻雀をし、月に2回はゴルフに行き、尿酸値は完全に振り切ってるのに通風の症状が出ないのをいいことに、ビール(おもにエビス)や日本酒を毎晩思う存分飲んでいる。

ひとことで言えば、昭和ヒトケタのパワーにみなぎったオッサンというか、ジイサンだ。地元の祭にも毎年参加しているあたりもエライなあ、と素直に思ったりもする。

高校生くらいまでは父親への反発が大きく、はやく都会に出たいといつも思っていた。ありがちだが、東京で暮らすようになり、親元を離れたあたりからそういった感情もおさまり、いまでは帰るたびに飲み明かしている。

きっと、仕事もなんだかんだ、体が動かなくなるまで続けるんじゃなかろうか。

今回の帰省ではGXRを持っていたこともあり、アホのように家族を撮りまくった。ずうっと酔っぱらっていたうえに、悪評高いAFの混迷さも加わり、まともなカットが少ないのに愕然とするが、家族の写真を撮影するのって、最初は気恥ずかしかったけど、なんかいいよね。

もっともっと前から、たくさん撮っておけばよかったなあ。明らかに老いた父親の表情をながめつつ、少々センチな気分になった。

とはいえ遅すぎることはない。今後できるだけ多く、そういった機会があればと思う。

このカットは大晦日、相当に酔っぱらって近所の神社の寄り合いに出かけたときのもの。

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この時点で相方はすでに意識が飛んでたらしいw

寒風吹きすさぶ境内で甘酒やら豚汁を炊き出しして、皆で酒を飲んでるのだが、ガハハと大きな声で笑い、語らい、地元でしっかりと根を張っている姿は、人情味のない都会のマンションで暮らすサラリーマンにとって、うらやましさを通り越して憧憬の対象ですらある。

そのような選択肢を、かつて自ら除外した後ろめたさも、若干感じたりもするのだが。

いやはや。

「父親の横顔」への4件のフィードバック

  1. 父親をリスペクトできる、ということは素晴しいことである。

    それにしても、目元がそっく(ry

  2. カメラのせいだね〜。
    これでもわかりにくいけど、背景のボケ味がハンパなくよい。

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