高校時代、歴史の授業は日本史も世界史も、一切受けることがなかった。
ずうっと理系クラスだったとはいえ、今にして思えばこれは相当偏ったカリキュラムだ。まあ、地方にありがちなことなのかもしれないけれど。
そんなわけで、歴史にはあまり馴染みがない。そもそも、年表を覚えるだけの学問だと思っていたので、基本的に努力というものの価値を軽んじていた当時の私は、どのみち歴史の授業があったところで、退屈なものとしか思わなかったと思う。
最近はゆとりとか、その反動とかもあるらしいが、教育の現場はどうなのだろね。相変わらず、○○○○年に○○○○が起きた的なことを念仏のように唱えているのだろうか。
とまあ、かくも歴史という学問について間違った認識を持ったまま大きくなった私のような人間には、この本はとても面白く読むことができた。
単純に日清戦争が起きて、次に日露戦争が起きて、さらに第一次世界大戦があって……といったブツ切れ状態だったものが、なるほどこのような大きな流れだったのねと、すごくわかりやすく解説してくれている。
もちろん、あらゆる出来事を網羅しているわけではないので、端折った部分も多いと思うけれど、日清から第二次大戦までが、ツルッと繋がるんですよ。膝、叩きまくりです。
とりわけ、偉い人たちの話だけではなく、市井の人々の感情や世論といってものにまで言及していて、なんというかリアリティーがある。日露戦争後の一般市民はそのように考えていた人が多かったのだなあ、とか。
東大のセンセイが実在の中高生とやり取りする、という構成で、まあ生徒さんたちが聡明すぎる気もするが、こういう講義だったら受けてみたかったなあ〜としみじみ思った。
話題になったのは1年以上前のはずなんで、何を今更と笑われるかもしれませんが、いや〜、歴史って面白いんですねぇ。