八甲田山の北面に、その銅像はひっそりと佇んでいる。雪中行軍遭難の碑、あの事件で吹雪の中、立ったまま意識を失っていた後藤伍長の像だ。
世代的には健さんが出てた映画で知った程度。確か当時は小学生だったが、「天は我を見放したか」は流行したよなあ。
遭難の地から田代平方面へと移動。このへん一帯は牧場らしいのだが、びっくりするくらい広大な草原が延々と続く。視界が悪ければ道に迷うのではないかと不安になるくらい。
見上げると、八甲田の峰々。山頂から紅葉が降りてきているのがよくわかる。
八甲田温泉への分岐を辿るとすぐ、湿原の入り口となる。ここは湿原の手前にある龍神沼が見どころ。やたらと透明度が高く、碧い沼だ。手前の鳥居が傾いでいたりして、ちょっと雰囲気がある。
沼とは名ばかりで、じつは湧水源。柿田川湧水が明るく開けた感じ。「くだり」がなまってグダリになったんだとか。
梅花藻(バイカモ)で有名らしいのだが、清らかな水が滔々と流れ、水草が揺れている。伯母が「アラこれ、クレソンよ」と嬉々とした声を上げ、みんなでもしゃもしゃとクレソンを頬張る。んー、ステーキとかハンバーグが欲しくなる。
エリア的には、八甲田山中を走るゴールドラインが表なら、こっちは裏街道なのかなあ。でも田代平には茶屋が何軒かあったりして、けっこうな名所なんだろうとも思う。