府中市というのは、環境はいいのだが、飲食関係は今ひとつパッとしないというのが個人的な印象である。
とにかく、ファミリー向けが多いんだよね。言ってみりゃ、ファミレス系ばかり。以前紹介した本格タイ料理の「スイタイ」も駅前から撤退しちゃったし(泣)、数少ない例外を除いて、少しでもとんがった店はなかなか長続きしない。ぷんすか。
結局、子供連れでも安心して入れる的な要素が重要みたいで、面白みがない。中央線沿線に比べると、甚だ遺憾であります。
先日、GW中にニコタマに行く用事があって、晩飯をベトナム料理屋で食べたんですよ。そこそこ有名店で、予約しないと入れないような店。
ところが、ちょっと消化不良というか、「う〜ん……」と唸っちゃうデキだったので、帰宅後、多摩地区にベトナム料理屋ってなかったかしらと調べてみたら、なんと、多摩川競艇場の駅前に発見。
店名は「福英料理」といいます。中華? と思いきやベトナム料理という。そんで、これがびっくりするほどレベルの高い店でした、というお話。
正確な立地は、西武多摩川線の競艇場前駅から徒歩1分。駅前ではあるけど、この駅は名前の通り競艇場があるだけで、店のある南口に下り立つと、とても東京都は思えない佇まい。こじんまりとしたロータリーでヤンキーが改造バイクの回りにうんこ座りして煙草吸ってたり。
お店自体、どう見ても居酒屋の居抜きで、内装なんかもそのままの民芸調。なのにメニューはちゃんとしたベトナム料理というギャップがものすごい。
オーダーは、春巻き系とか空心菜とかをひと通り。これがまた、総じて美味いんですよ。都心の有名店にも負けない味わい。シメで食べた鶏のフォーが、特に素晴らしかった。2人でたらふく飲み食いしても、5000円程度と、都心に比べれば半額以下ではなかろうか。
でね、この店は何といっても店主のお母さんの人柄がイイんですよ。店に入った瞬間、それがわかる。常ににこやかで、細かい質問にも丁寧に答えてくれるのね。生春巻きのタレが甘めだったので尋ねてみたら、南ベトナムは甘めの味付けがポピュラーなんだそうだ。ピーナッツのペーストで調整しているとか。
あと、「パクチーいっぱい食べたいんですよ」と言えば、そのとおり山盛り状態で持ってきてくれる。このへんだと苦手な人が多いらしく、基本的に入れないらしい。パクチー好きな方は事前に言っておくとよいです。
バーバーバーが瓶で供されるのもポイント高いなあ。ポンポン空けちゃうもんだから、苦笑しながら持ってきてくれた。
帰りの道すがら、「今度いつ来ようか」「来週また来よう」「毎日でもいい」と絶賛しまくり。
問題は、立地の悪さだなあ。府中駅前から「ちゅうバス」が使えるものの、終バスの時間が早すぎる。次回は早めに訪ねてみようと思う。
定番の春巻。揚げ春巻は絶対に頼むべき。ネットライスペーパーで包んであって、思わずご飯が欲しくなる。
バーバーバー(333)が瓶なのがイイ。ニョクマムの容器も「居抜き感」アリアリでおもしろい。
海老揚げパンの凶暴さと、フォーのスープの味わい深さたるや。フォーを初めて美味いと思った。