青葉市子の右手と寺尾紗穂の左手

渋谷WWWにて、青葉市子×寺尾紗穂という私のような人間にとっては夢の様なライブが行われた。案の定の立ちっぱなしも、あまりにも濃密かつ幸福な時間のおかげでライブ中は苦痛に感じることもなかった。

前半は青葉市子。彼女をナマで見るのは初めてだったが、噂通りのテクニシャンである。小ぶりのガットギターを抱え、強弱自在な演奏を見せる。釘付けになったのはその右手。時に激しいフレーズを奏でるときでさえ、傍目には穏やかに見える。あの弾き方であの音が出せるのかーと、かつてクラシックギターを学んだ身としては驚愕しきりである。


ステージが入れ替わって後半は寺尾紗穂。ステージに出てきてピアノの前に座るのが速いというネタで会場が和む。確かに速いよなあ。ソノリウムでも、タタタっと来てすぐ始まっちゃうイメージあるもんね。

内容は、さすがの安定感。新作「楕円の夢」を中心に繊細さと力強さが絶妙な弾き語りを披露してくれた。いつも書いてるけど、この方の左手が生み出すリズム感は本当にキレが良いんですよ。ナマで聴きたいと思わせるものがある。


で、この夜の白眉はなんといってもアンコールでした。もちろん二人の共演。

演奏されたのは原田郁子の「青い闇をまっさかさまにおちていく流れ星を知っている」である。この名曲を青葉市子のギター、寺尾紗穂のピアノ、そして二人のデュエットで聴くことができるというのは、ありえないくらいぶっ飛んだ話。デキも最高、というか鳥肌が立ちまくりでありました。

すごいモン聴いちまったよ、まったく……。難しいかもだけど、音源化してくれないものか……。


原田郁子といえば、クラムボンの人ですが、忌野清志郎が最後にレコーディングした曲というのは、じつは彼女との合作なのですよね。YouTubeに、そのあたりを語ってる動画があったので貼り付けておきます。

手紙を出したら実現したって、なんかいいハナシだなー。

この「銀河」という曲もなかなかに素晴らしい。清志郎はスタジオ録音のほうだとサビでデュエットしておりますよ。

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