かつて友人が、加齢とともに桜ではなく梅を愛でるようになった、と言った。大いに首肯するところである。私も実際、蝋梅に始まる梅の季節が好きで、近所の梅林には毎年必ず足を向ける。
そういえば新しい元号の令和もまた、梅との関わりがあるが、梅以上に心待ちにしているのは春の新芽だ。
この季節、日々刻々と移ろう欅の新芽を毎朝眺めて出勤している。
ちょうど同じ時期に賑わう桜に比べれば確かに地味かもしれないが、目にまぶしい萌黄が徐々に色濃く、そして大きく成長していく様を見ては、頬を緩めている。子供の成長にも似ているのだな。
むかし住んでいた阿佐ヶ谷もそうだが、府中の欅並木はこの時期本当に素晴らしい。この街に住んでよかったと、枯葉のごときオッサンはしみじみ思うのだ。