生涯で、何度この地域に来たかわからない。
「葛根田」に絞ったとしても、おそらくではあるが今回が5回めか6回めだ。他のエリアにはまったく興味がわかないわけでもないが、もはやこれはホームグラウンド……というよりも、むしろ信仰や宗教に近い。
そんなわけで「講」という文言をタイトルに入れてみた次第。

ほんとうは、9月の3連休2連発のあたりで行きたかった。岩魚を釣れるのが9月いっぱいだからだ。だが、台風やら何やらで天候は最悪なことが事前にわかっていたため、準備は整えてありながらも断念することにした。
ひとりで行くことが前提だった。
思い立ったら、天候を筆頭とした条件が整ったら、行く。簡単なことのように思えるが、これは単独でないとなかなか実行できない。
もちろん、パーティーならではの楽しさはある。それはよくわかっている。
10代最後のあたりから20代前半まで、山に行くときは常にひとりだった。その後、行動が沢主体になりコンビからトリオ、さらにはもっと大人数まで、そりゃあ同じ体験を共有する楽しさというものはある。絶対的にある。
その対極として単独行があるわけだが、今回の自分は、ひとりでどこまでちゃんとできるのかを確かめに行く、という要素が強かった。
日程の組みやすさは、ある意味副産物ともいえる。

今年の8月くらいから計画を始めて、いくつか悩んだ装備がある。
まずは登攀系。いわゆるザイルやハーネスである。
そもそも確保ありきの登り方をするつもりはないが、沢に行くとなれば非常時の懸垂下降は念頭に置くべきかと思う。
しっかりとした登山道が整備されているエリアに行くわけではないので、使わないことが前提ではあるものの「おまじない」として8mm×30mとハーネス一式は持っていくべきであろうというのが結論だった。
長さについては、今回の目的地である葛根田川であれば20mでもよいかなとは思ったが、うーん、ダブルで10mと15mの違いは意外と大きいのですよね。
むしろ、8mmを6mmにしたほうが現実的だったかもしれないが、このあたりは今後ゆっくり考えたい。
続いてはタープ、あるいはテント。
仲間と共有しているタープを借りようかと想定していたが、3〜5人くらい余裕で使えるサイズなため、ソロだとさすがに持て余す。タープに関してだけは、大は小を兼ねないのだ。
結論を言えば、新たにツェルトを購入した。モンベルのもので、密閉空間も作れるが、広げればタープとしても使える。ソロ用のテントを買うかとも思ったのだが、それだと焚き火との親和性が低い。雨や寒さへの耐性は著しく低いが、結果的には良い判断であった。
シュラフは、夏に使っているインナーではなく羽毛量の多い、モンベルのダウンハガー#2を持っていくことにした。沼田の猟師小屋に厳冬期に泊まるために購入したものだったが、こんなときに役立つとは。
なんやかやでパッキングしたところ、体重計でのザックリ計量で16〜17kgくらいであった。