ある種の技術系人間と業務上のコミュニケーションを取ると、ほんとうにうんざりすることがある。この手のタイプの人は概ね最初っからわかってるもので、予想通りの反応が返ってきて却って面白かったりするんだけどね。
どういうタイプかというと、まあひとくちで言えば杓子定規な人。機械的ともいう。まあ同情の余地はあるというか、とにかく「要件を満たす」ということをゴールに設定しているからか、融通が効かないし、気も利かない。
「AとBとCを満たしてますから、これで問題ないですよね?以上、業務終了」
うーん。キミはそれでいいのかもしれないけどねえ。AもBもCも、もうちょっとどうにかならない? クォリティーとしてさあ。
「AさんとB案件を擦り合わせるにはCの条件がクリアになっていないと話ができません。よって私はCの条件が完全にクリアにならないかぎりAさんとは一切話しができませんし、するつもりもありません」
とかとか、そーいう感じの物言いをなさる。
その反面、技術系でもそうじゃない人はいる。
「要件はAとBとCだったけど、たぶんアナタだったらDを加えた方が好みなんじゃないかと思ってこうしてみたけど、どう?」
「AとBとCは満たしてるんだけど、たぶんBが最も大事だろうから、CよりもBを重点的に仕上げといたよ」
こーいう人は、本当に仕事をしていてキモチがいい。もちろん、その思惑が外れたりすることもあるけれど、仕事を単なるモノや情報のやり取りではなく、より良いコミュニケーションを付加してくれているからだ。
中には進行途中で電話なり直接会いに来てくれたりして、ディスカッションを重ねてくれたりもする。会議室を取ったりするようなもんではなく、立ち話の延長くらいのノリで情報交換し、最終的な成果をよりよいものにしようとしてくれる。もちろん、こういった仕事の多くはよい結果につながる。
相手が、こちらの想像以上のものを仕上げてくれたときのうれしさといったら、もう本当に快感である。
会社の中に限らない。単にモノを売ったり、料理を売ったりするだけでも、キモチのいいやり取りとそうでないやり取りは世の中にあふれている。
「この人とはもう一回仕事をしたい」と思えるような人に、いっぱい出会えますように。自分もまた、相手にそう思ってもらわなければならないのだが。