酸ヶ湯〜誰が混浴を殺したか

午前8〜9時の女性専用タイムを狙って、酸ヶ湯へと向かう。蔦温泉からは車で30分もかからないんだけど、朝メシをゆっくり食い過ぎたせいで、到着したのはジャスト9時でアウト。

さすがにフル混浴だと気後れするかと、相方に「どうする?」と問うと、「たぶん大丈夫」との頼もしい答え。それじゃあ行くぜと、いざ千人風呂へ。

酸ヶ湯に来たのはは10年ぶりくらい。なんか綺麗なフロントができてた。そそくさと服を脱ぎ、千人風呂へ。

中は相変わらずの広さ。休日とはいえ朝なので、さすがに人は多くなかったが、なんだか違和感がある。なんだろう……といぶかしみつつ、掛け湯をして湯船につかる。

酸ヶ湯のヒバ千人風呂には大きな湯船が2つと、打たせ湯がある。湯船はヘリの中央部分に小さな標識があって、脱衣所の位置と同じく向かって左が男、右は女と書いてある。要するに、湯船の中で男女のエリアがなんとなく決まっているわけだ。

これは確か、前からこのスタイルだ。だがさっきから感じていた違和感の正体は、じつは「仕切り」にあった。文章だとうまく説明できないので、酸ヶ湯の公式サイトから画像を拝借して加工。緑の部分がそれ。

daiyoku

こんな感じで、高さ1〜1.2mくらいの仕切りが、女性の脱衣所から奥の湯船まで設置されていたのだ。確かにこれなら、湯船に入る直前まで身体を見られることはない。しかし……なんだろう、この気持ちの悪さは。

酸ケ湯温泉「混浴文化」の危機?(asahi.com)

 湯気で曇るのにメガネをかけて洗い場で待ったり、ワニのように湯船にじっと身を沈めて顔を出していたり。浴槽を矢印で「男」「女」と分けているが、お構いなしという男性も。
 酸ケ湯温泉に通って25年という青森市の織田英子さん(73)は「女湯に来ていた男性に注意したら、『これがよくて入っているんだ』と怒鳴られ、怖い思いをした」と話す。
 同温泉の広報担当の山形太郎さん(35)も「湯治という本来の目的から大きくはずれている」と嘆く。
 女性客からのクレームが頻繁になったのはここ5年ほど。だが、マナー違反は実はずいぶん前からあるという。

 5年前に浴槽を塀で隔て、「男女別浴」としたところ、今度は長年の愛用者の方から「酸ケ湯らしさが失われた」と苦情が寄せられ、4カ月後に撤去するドタバタ劇も起きた。

さすがに浴槽を仕切るのはナイよなあ。でも裏を返せば、そこまで追いつめられてるってことか。で、現在の、湯船までは仕切りを設置、ってところに落ち着いたのだろう。

「そんなモン、とっぱらっちまえ!」とまでは言わない。ウチの奥さんも、ちょっと緊張してたそうだが仕切りのおかげで全然気にならなかったとは言っていたし、妥協点としては普通にアリなのかもしれない。

結局、一部のヘンタイのツケを払わされるのは、いつだって大多数のノーマルな人たちだ。ケータイカメラのシャッター音が消せないのも、女性専用車両も同じ。ただただ情けないだけである。

上でリンクしたasahiの記事はいつまで生きてるかわからないけど、「湯あみ服」ってのもどうかなあ。これ着てたおばちゃんが1人いたけれども、「そこまでするなら男女別の内湯行けよ」って思うんだよね……。いずれには水着着用になってしまうんではなかろうか。

と、文句タラタラなわりには、けっこう長いこと入ってたな。飲泉させて「すっぱ〜」のお約束も。相方は、殿方たちの視線にもめげず、意外と堂々としてたので感心。むしろ、おばちゃんたちのほうが、仕切りの向こうでモジモジしてるのが多かったりして笑った。

とにかくお湯は最高。というか、ここでしか味わえないオンリーワンである。だからこそ、あの独特の風情は失ってほしくないんだよなあ。「酸ケ湯温泉混浴を守る会」の皆さんには、ぜひぜひがんばって頂きたい。

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