本物が持つ「はるけさ」

ローカルなネタ続きですが、府中市美術館の企画展『ターナーから印象派へ 光の中の自然』に行ってきました。

ターナー本人の作品は数点しかないんだけど、市制施行55周年記念ということでけっこう気合いが入っていたかな。作品展数は約100点とのことで、じっくり楽しめました。

J.M.W.ターナー 「エーレンブライトシュタイン」1832年 ベリ美術館蔵(公式サイトより)

といっても美術に明るいわけではなく、ターナーだなんて名前しか知りません。それも、マンガで得た知識。

坊ちゃんの時代シリーズの第1巻にて、山県有朋の歌をシリーズ通しての悪役・伊集院影韶がヨイショするときに引き合いに出したのがターナー。曰く、「山県候の作歌には枯淡の格調ありと見ます。ターナーのわびた絵画を思い出させます」とかなんとか。それに対して鴎外が「山県侯の歌などハシにも棒にもかからん」とひとりごちるのですが、けっこう印象に残っておりました(このやりとりから漱石が「坊ちゃん」の構想を得る、というシーン)。

そんな話はともかく、いや本当に、ナマの絵というのはなかなかすごいものです。

数メートル離れたところから見ると、ものすごく細かく描き込みされてるような精細感があるのに、寄って見るとそうでもない。ビミョーな濃淡や筆遣いで、ものすごく細やかに表現されてるのね。

図録を買ってもいいかなと思ったけれど、印刷されてるものはまるで「アウラ」がない。やはりコピーではなく実物に勝るものはないのですねぇ。久々に大学時代の、芸術論の講義を思い出しました。

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