プカプカ泳いで考えた、夏。

ここのところ、週末は近所の室内プールに通っている。府中市民は400円で2時間利用できる。天気がいいときには屋根が開いたりなんかもして、混雑時に本気で泳ごうとするとすぐコースが渋滞したりするんだが、なかなかよい。

1kmくらいを、ゆっくり時間をかけて泳ぐ。けっこう疲れる。水から上がるとき、やたらと重力を感じるもの。やばいぜ!

ところでこのプールは、「府中市生涯学習センター」という施設の中にある。体育館やジムも併設され、市民は低価格で利用できるとあって、けっこう人気なのですね。

ココ、もともと米軍の施設だったのです。1980年頃に敷地面積の半分以上が返還され、公園や美術館、斎場なんかが作られた。



とはいえいまだに、米軍施設は一部機能している。上の図は、全体がもともとの米軍施設。基本的に、赤い破線で囲まれたところ以外は返還されていて、左下が公園、右下は航空自衛隊となっておるわけです。

プールが入ってる建物は赤線下の”GATE”って書いてあるところの左にあって、北側の窓からは現役で使われている高さ100mのアンテナが見えるし、巨大なパラボラなんかも目にすることができる。

基本的に、このブログではポリティカルなことを書くのはやめようと思っているんだけど、たまにはいいかな。夏だし。やや長文ですが。

世間はすっかり鳩山政権時代の、普天間基地問題について忘れてしまったかのようだが、前政権最大の功績は、この米軍基地問題について、さまざまな物議を醸し出したことだと思っている。

一連の騒動の中で、多くの人々があの問題についての矛盾点について再認識したはずだ。例えば、「最低でも県外、できれば国外」というフレーズ。「最低でも県外」とは、あまりにも乱暴かつ非論理的な物言いにしか聞こえない。そんな腫れ物扱いをするようでは、移転先など絶対に見つからないし、何も解決されない。徳之島の皆さんの過剰な反応も十分理解できる。なにより米軍さんに失礼だよナー。

いっそ、どこかの自治体が米軍基地誘致の立候補をしないかとワクテカしていたんだけどね。もちろんそんな自治体はなかった。ひょっとしたら半ば冗談でそういった話題を近しい人にしたかもしれないけれど。

最終的には、憲法9条や日米安保に行き着くわけで、国家の成り立ちに関わる重要な問題だ。米軍基地はいらない、そう言うのは簡単だが、引き換えに相当な覚悟を必要とするということを、みんな実感しているのだろうか。また反対に、現状の米軍におんぶにだっこ状態をよしとするのも、相当な平和ボケなのではなかろうか。

メディアは一切、そんなことは論じない。この問題についての、長期的な展望を語る政治家もいない。どうやら(またしても)先送りにされた感がある。果たして自衛隊のみで、国防を維持できるのか。規模はもちろんだがその内容や権限も含めて、議論されたことはかつてあったのだろうか。

国民がそのような議論を望んでいないとメディアが思っている。私はそう感じている。だから大事なことほど報じられないし議論にもならない。

そもそも政治的なトピックについて、これほど無関心な国民は珍しい。

報じられるのは、その大半が混迷を極めているという事態であり、なにゆえ混迷しているのかではない。図らずも、先日の選挙では総理大臣の発言のブレだの、そういうことばかりがクローズアップされて、コトの本質にはほとんど触れられないまま、民主は議席を大幅に減らすはめになった。可哀想に。

さきほど、「国民がそのような議論を望んでいないとメディアは思っている」と書いた。そこでバカにすんなよ!と言うのは簡単だが、「深くて真面目な議論では数字が取れないのだ」と切り返されるのだろう。たぶん。

国民が真剣に政治的な議論を望むようにならないものか。右とか左とか、ネトウヨとか言ってるだけでは、何も変わらないではないか。マニフェストなどという、妙ちきりんなカタカナばかりが耳につくようでは、上っ面だけで終わってしまうぞよ、と。どうでもいいけど、かつて、”Manifest der Kommunistischen”という書物があったよね。共産党宣言。マニフェストっていわれると、いつも思い出します(笑)。

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こちらは、プールに隣接する駐車場のフェンス越しに撮影した、ひっそりと佇んでいる建造物。

米軍が使っていた時代の遺物だ。草ボーボーの、まるで手入れをされていない状態でまだ残っている。行政的には、まだ生きている米軍施設の周りは、緩衝地帯にしておきたいんだろうね。それとも何か、計画はあるのだろうか……。

なんか話がそれたが、小さいながらも米軍の存在を身近に感じつつ、ヒーコラと泳いでいますよ、と。体重はあんま変わってません。しょんぼり。

結局のところ、65年が経っても戦争はまだ終わっていない。この国は依然として占領されているということなのだろう。

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