府中の吉田屋については、過去何度かこのblogでも書いたことがある。
予想していたことではあったが、府中駅南口の再開発にともない、ついにこの店も閉店してしまうことになった。
これまでも、店頭にそれらしきチラシが出ていないかどうか、前を通るたびに気にしていたのだが、かき氷を食べようと入ったところ、番台のおばちゃんが悲しそうな顔をして「今年は氷、やってないんですよ…」とおっしゃる。その番台横に、今月の23日に店を畳むと書いてあったのだ。それ以上言葉が出ず、店を後にしたのが先週のこと。
最後の週末。親子3人で颯爽と吉田屋に。ちょうど20日で、大国魂神社では「すもも祭」も開催されていたので混むかな〜と思ったが、運良くテーブルが空いていた。
ビールと、ラーメンにカツ丼を一人で食らう。カミさんは冷やし中華。
閉店のことを知ってか知らずか、後から後から客がやって来る。
給仕のおばちゃん連も、相変わらず元気に働いている。
隣のテーブルには、お婆ちゃんにお母さんに、小学生くらいの娘2人というグループが座った。
まずジュース(キリンレモンとバヤリース)が運ばれ、嬉しそうに口をつける娘たち。そのうちタンメンがひとつ。さらにチャーシューメンがふたつ。みっつの麺を、取り皿で分けあいながら、楽しそうに食べていた。
姉と妹が、取り分けられた麺の量が少ないとゴネる。お婆ちゃんがニコニコしながら、自分の丼からそれぞれによそってあげる。なおも私のほうが少ない、などと文句をつける子供をたしなめる母親。
この時代に、なんと素晴らしきレトロな風景かと落涙を堪えるのが精一杯である。
再開発後、果たして吉田屋が府中で復活するかどうかは、告知文にあるとおり未定だろうし、部外者にはわからない。
ただ、キレイな建物の一角、ファミレスやファストフードな飲食店に混じって、吉田屋みたいなコンセプトの店があるというのは、ミスマッチっぽいけど何だか良い風景のような気もするのだ。
長い間の営業、おつかれさまでした。いつかまた、あの昔ながらのかき氷を食べられる日を夢見て。
最近、シーナ誠の「ニッポン全国百年食堂」というのを読んだんだけど、
こういう古い食堂は、味に限らず地元に愛されるナニカがあるんだろうね。
ともあれ、閉店残念です。
味は、正直なんともコメントできない(笑)。
古き良きものが少しずつ失われることは、いつの時代もある程度は仕方がないことだとは思うのだけど、本当に残念。
ところで、椎名誠はいいよなあ。久しぶりに読みたくなった。
今の雑然とした「第一地区」の雰囲気はできるだけ残してほしいし、個性的なお店が少しでも残るといいですよね。閉店の看板をみると複雑な気分です。金太郎飴みたいなチェーン店ばかりテナントに入っても何もおもしろくないもんね。
何とかならないのかなあ。
コメントありがとうございます。
ひとつの魅力が失われたとしても、新しい魅力が生まれるのであればいいんですけどね〜。田舎のイオンみたいになっちゃうと困ります。