思えば2012年のNHKお正月ドラマ「とんび」を見て、踊ろうマチルダに出会った。あのドラマのEDで使われていた「箒川を渡って」がココロに突き刺さった瞬間のことは、今でもよく覚えている。
今年の正月のこと。年末に放送された山田太一脚本のドラマ「ナイフの行方」をなんとはなしに通勤中に見ていた。
松本幸四郎が演じる老人が、通り魔未遂事件を起こした青年と同居生活を送るという謎めいた展開で、なかなかに面白い。だがドラマの内容以上に、EDに映し出されたとある画家の作品に目が釘付けになった。またしてもココロに突き刺さった。
画家の名は石田徹也。31歳で夭折しており、静岡県の焼津出身という。同郷ということもあるが、その独特な画風はじつに印象的だ。ちょっと公式サイトから画像を拝借しておく。
<飛べなくなった人>
<無題>
<兵士>
思わず画集を注文してしまいました。ちょっとお高いけど全作品集のほう。
いやー、なんというかズッシリくる。好き嫌いは激しいと思うのだが、頁をめくる手が鈍るほど、ひとつひとつの作品に重みがあり、見入ってしまうのだ。
なんたるリアリティ、なんたる質量。孤独、叫び。幸福になると描けなくなくなるからと、彼女と別れたなどというエピソードもあるようで、まさに生命を削ってキャンバスに向かったのだろう。死因は電車事故とのことだが、自殺なのか事故なのかは不明らしい。嗚呼。
3月25日まで、静岡県立美術館で企画展をやってるんだよなあ。行きたいなあ……。