ブラジル以降よく言われる「自分たちのサッカー」って、華麗なパス回しで勝ちたい、要は「カッコよく勝ちたい」ということなのだと理解している。だが、アイスランドやメキシコの堅守速攻は、控えめに言って無茶苦茶カッコ良かった。今夜、果たしてどうなるか。
— nzs (@habakari) June 18, 2018
ロシアW杯、コロンビア戦の前に上のようなツイートをした。彼我の戦力差を見るに、メキシコがドイツを翻弄したような堅守速攻スタイルでないと太刀打ちできないのではないか、いい気になって前掛かりに行ったら虐殺されるのではないかと心配していたのだ。
蓋を開けてみたら、ご存知のとおりの結果である。
とはいえ初戦は開始直後のラッキーな展開もあり、必然的にポゼッションが高まった。ただし攻めあぐねている印象も強く、真価が問われるのは2戦目となろう。
相手は競合ポーランドをチンチンにしたセネガルである。
初戦で勝ち点3をもらったのだから無理せずドローで御の字、今度こそ入り方を間違えたらズタズタにされる……そんな危惧を抱いていた。
だが蓋を開けてみたら、ご存知のとおりの結果である。
先制されたのに追いつき、勝ち越されてもまた追いつき。
しかも相手の先制点は明らかなミスによる献上、さらには勝ち越されはしたものの終始攻め込み、何度も相手ゴールを脅かした上でのドローである。
明らかな格上相手にこの試合内容。これが本当に日本代表なのかと困惑するほどの、かなり控えめに言って過去数十年で最も見ていて楽しい代表の試合だった。
印象に残ったのは、状況に応じて攻め方やポジションを変える柔軟性だ。大迫のワントップ頼みではなく、攻撃パターンが多彩であった。もちろん実際に2失点しているわけだから危ないケースも多々あったわけだが、ゲームを支配しているという意味でも、間違いなく日本のサッカーは面白かった。
海外での評価も上々のようで、日韓W杯のときのアイルランドのような立場なのかもしれない。
ケイスケホンダも、こう語っている。
「特にセネガル戦は2014年に僕らが目指した、よく僕が言っていた“自分たちのサッカー”を表現できた戦い方だったと思う。(中略)2014年のときにやりたかったことをたまたま西野さんがやっているなという印象がある」
「ジャンケンみたいなもので、(相手に)チョキを出されると分かっていて、なんでパーにこだわる必要があるのかというだけの話」。自分たちのことだけを考え、とにかくパーだけにこだわっていたのが4年前なら、今は相手を研究し、相手の“出し手”を読んだうえでチョキもグーも出せるのが今の日本代表というのが本田の意見だ。
https://web.gekisaka.jp/news/detail/?248227-248227-fl
フィジカルやスピードでは敵わない相手に対してここまでやれるようになったかと、4年前のコートジボワール戦を思い出しながら感慨に浸った夜であった。
だが、私はまだ疑っている。
第3戦の相手、ポーランドは極めてヨーロッパなスタイルのサッカーをする。絶対的なエースもいる。
予選敗退が決まっているという意味においてはモチベーションに影響はあろうが、むしろ勝ちたいという意識は強いかもしれない。
ポーランド相手に互角以上に渡り合い、勝ち点を奪えるのであれば、願わくば勝利を手にすることができるのであれば、目指していたものを体現できたという意味で私も「自分たちのサッカー」とやらを素直に認めよう。ていうかもう、手のひらが720°くらい回転しておりますが。
報道によると、長谷部や大迫は先発しないかもしれない。いっそ、右もムトゥにしてもいいかもしれない。ていうか、明白なターンオーバーで予選突破できるくらいのしたたかさがほしい。
さすればイングランドやベルギーが相手でも勝負になる。ベスト8が見えてくる。
そんな期待をしてしまうほど、いまの代表からはかつてない「強さ」を感じるのである。