子供の通学に合わせて、わりとラッシュな時間帯に通勤するようになって半年以上が経過した。6時半の起床にも慣れ、深酒をしてもどうにか起きて、必ず朝飯を食べてから娘を伴って電車に乗る生活である。
オフィスにはだいたい一番のり。といっても9時頃なので普通の会社にお勤めの方にしてみれば笑っちゃうようなことかもしれないが、それでも他のスタッフがゾロゾロとやってくる10時までの1時間は、静かな環境で仕事ができるので効率的である。
郊外に住んでいるせいか、いつも利用している電車は「頑張れば座れる」程度には空いている。この生活が始まった当初は乗る車両もいろいろ試していたが、最近ではほぼ固定された。周囲の乗客もだいたい同じメンバーで、お互いの認識率は相当高いものと思われる(子連れは目立つしね)。
で、タイトルの通りなのだが私はできるだけ優先席を狙って娘と二人で座るようにしている。
優先席付近はホームで並んでいる人も他に比べると少なめなであり、ある程度余裕を持って行けばだいたい座席を確保することができるのだ。
小さな子供連れが優先席に座っている状況は、ひょっとしたら他の乗客にしてみれば噴飯モノかもしれない。小学生なら立つべきとの声が一定以上あるということも承知している。だが、私はあえて優先席に座る。
なぜかというと、座席を必要とする人に席を譲るためだ。
朝に限らず、通勤通学電車ではたいていの人はスマホをいじるか寝ているかのどちらかだ。そして、とりわけ朝の優先席に座ろうとする人ほど、座るやいなやイヤホンをして腕を組み、寝入る人がほとんどである。
眼の前に妊婦さんがいようが、足腰が弱そうな御老人がいようが、分からんもんね知らんもんねと下を向いて眠っている。
そうした風景を何度か見て以来、私は優先席に率先して座るようにして、駅につくたびに乗り込んでくる乗客を確認し、席を譲るべき人が来たら率先して座ってもらうようになった。娘は途中で下車するが、それまでにもうひとり譲るべき人が来たら立たせるようにしている。もちろん優先席とはどのような存在かということはきちんと説明済みだ。
ただの偽善かもしれない。だが、自分にとっては小さな闘いだとも思っている。
今ではなんとなくの「馴染み」というか、何度か席を譲っているうちにお互いを認識するようになった人も何人かできたほどだ。下車時に会釈を交わしたりすることもあり、とてもうれしい。
席を譲るという行為は、それはそれで難易度が高い。
対象を認識したら躊躇なく行動したほうがよいし、よく見聞きするトラブルとしては「人を年寄り扱いするな!」的な展開もあるかもしれない。
マタニティーマークとヘルプカードは即対応、杖を持った老人も同様だが、お年を召していてもスーツを着ている勤め人風は対象外、などとなんとなくのルールを自分で決めているが、判断が難しそうなご老人には「よかったら座りませんか?」的な声がけをするようにしている。
さっきも書いたが、自分はいい人ぶった偽善者かもしれない。それでも今朝も、また明日も、優先席に座るべくホームに立ち続けようと思っている。
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