錦糸町で啜り泣く

30℃超えの猛暑日、ひとり錦糸町に向かった。お目当ては、新日フィルの生オケシネマ。チャップリンのThe Kidだ。

子供も連れて行こうかと思っていたのだが、事前にYouTubeで見せたところ「なんか怖い」というので単独行と相成った。カミさんには申し訳ないが、遠慮なく羽根を伸ばさせていただこう。

すみだトリフォニーホールは、大昔に同じく生オケシネマの『街の灯』で来て以来。当時に比べると駅のまわりも整然としており、なによりスカイツリーができている。調べてみたら、街の灯は2017年にもやってたが、自分が見たのはもっと前のやつだ。何年前だったんだろう……。まあいいか。

The Kid自体は60分ということで、前座というか露払い的に『担へ銃(つつ)』というコミカル作品が演奏&上映された。これはこれでテンポもよくて面白い。

 

休憩を挟んで、いよいよThe Kidである。

この作品は、子供の頃にNHKかなんかで見て号泣した覚えがある。初めて泣いた映画なのかもしれない。

とにかく子役のジャッキー・クーガンが可愛すぎてたまらんのだけど、連れ去られるところの演技が抜群に素晴らしく、何十回も見ているがいつも同じところで涙が出る。

そんなわけで、この日もハンカチレディで臨んだわけだが、上映開始直後の演奏が始まった途端、涙腺が崩壊してしまった。これぞ生演奏のチカラか。テレビ画面からは想像も付かなかった破壊力である。

ああ、この瞬間のために、わざわざ錦糸町くんだりまでやってきたのだ。冒頭10秒で、十分モトは取った、そんな気分にさせてくれる。

例のシーンでは会場全体がすすり泣き。全体的に客層は年齢高めだったが、じーちゃんもばーちゃんも、おにーちゃんもおねーちゃんも、そして勿論ワタクシも感極まっている。そしてフィナーレ。

 

終演後はトボトボと北斎通りを歩き、両国へ。翌日だったらトランプが来るってんで周辺はモノモノしかったかもしれないが、どうにか結びの一番前に「亀戸餃子 両国店」のカウンターに滑り込んだ。

映画の余韻に浸りながら、レモンサワーと餃子を流し込み、しみじみとシアワセを噛み締めた。

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