葛根田講 2022秋 day2

10月8日土曜日。

6時30分起床。寒さで目が覚める。雨はいつの間にか止んでいた模様。空はくもりだが、ところどころ青空が見える。もちろん渓相も変化なしだ。

薪を使い果たしてしまったので、朝一番のおしごとは薪集めだ。かったるいが仕方がない。熾は完全に消えていたので、またイチから火を熾す。

コーヒーを淹れて一服タイム。今日の行動時間もおよそ3本程度なので、のんびりな朝支度である。

朝食はラーメンにした。うまかっちゃんほんにうまかばい。食ったら食ったで、またもコーヒーを。

今回、豆は100g持参した。450mlのマグにモンベルのナイロンドリッパーをセットして、カレースプーンで3杯、15gくらい使っているのかな。

ちゃんとドリップして飲むコーヒーが、とにかく美味い。酒との相性がいいってのもあるから、次回はもっと豆の量を増やしてもいいかもしれないなあ。

撮影した写真のタイムスタンプを見ると、起床後、薪集めて火をおこしてコーヒーを飲んでるのが8時30分頃、9時頃にラーメン食って、さらに食後のコーヒーを楽しんで、出発は10時くらいであった。のんびりにも程がある。


焚き火の後始末をして出発。

大石沢出合から中ノ又沢出合までは、ほぼ1本。歩き初めてすぐのところが崩壊しており、巨大な岩が沢中に鎮座している。

雨でゆるんだのかもしれないが、こんなの記憶にないので、おそらくここ数年内の崩壊なのだろう。おそろしや。

朝は晴れ間もあったのだが、ポツポツと雨が。降ったり止んだりな天気だ。

足元が悪いところは基本ない。時折現れるナメ。このあたりから頻繁にイワナが走るようになった。目元が緩む。朝イチの谷歩きをゆっくり楽しんでいると、沼ノ沢が右岸から入る。


中ノ又沢出合で一本。幾夜過ごしたかわからない、なじみの幕場だ。

休憩後、100円ショップで買ったナップサックを背負って大滝ピストン。

15分ほどで葛根田大滝。相変わらずの威容である。しばし撮影タイム。

晴れ間ものぞいたりして、穏やかな時間が流れる。いやー、いつまでも眺めていられるわ。前日の牛首でも感じたが、もはやこれは巡礼である。

本当に、思い切って来てよかったとしみじみ。

名残惜しいが体も冷えてきたので引き返す。次回はノーマルルートでこの大滝を超えて北ノ又を詰めてもいいな。そんな気持ちを置いて、中ノ又に戻る。


残置したザックを背負い、中ノ又沢に入る。出合からしばらくはちょっとした連瀑帯で、竿さえ出せれば良いポイントだらけなのだが、それも今度のお楽しみということで。

とっても穏やかな中ノ又

と、前方に人が!

本流筋ならともかく、こんな沢を詰める奇特な人が自分以外にいるとは……。どうやら二人組っぽい。

人影が見えたところで一本取ってしばし時間をおいたのだが(人見知りなので)、行動を再開してしばらく行ったら、その30代くらいのカップルが休んでいた。

観念して(笑)、声をかける。しばし歓談。

中ノ又を詰めるだなんて、相当マニアックですねー!と、自分のことを棚に上げて。

彼らは今日は中ノ又の奥の分岐あたりまで行って、翌日小和瀬沢に降りて周遊し、大白森から乳頭に降りるとのこと。明日の夜から天気は再び下り坂なのだが、若いっていいよね。こちとら、適当なところで夜を明かして明日降りる軟弱行程である旨を伝え、そのまま先行させてもらうことにした。

男性は沢慣れた雰囲気。そんで、カノジョが経験浅い感じかな。今朝地熱発電所を出てここまで来ているのだから、なかなかの健脚である。

追いかけられる形になり、やや焦る。なんでもないところでコケそうになるが、しばらく行くと右岸から枝沢が入る。どうやらco844の平坦な場所まで来たようだ。

ちょっとした台地状の場所があり、1人であれば問題なさそう。

ここでよかろとザックを降ろし、根曲がり竹を抜いたりして整地していたら、カップルがやってきた。お互いの安全を祈念しあい、別れる。


さて、まずはタープを張ろうか。

今回は撮影用の一脚を兼ねたトレッキングポールを持ってきているのだが、行動中はもちろんのこと、タープの設営にも役立ってくれる。いつも都合よく立木があるわけではないわけで、一本でも手軽に支点を確保できるのは本当に大きい。張り綱は高桑先生にならい、ビニール紐である。

タープが決まったら、薪集めだ。昨日の反省を込めて目一杯で5往復ほど。これが真面目に堪える。戻っては肩で息をするの繰り返し。沢中の行動以上のカロリー消費を感じつつ、どうやら朝まで燃やせそうな量の薪を積み上げた。

1回集めただけで息が上がるw

沢の流れと平行に薪を組み、火を熾す。ところが、昨日の雨中の焚き火は問題なかったのに、今日はなかなか炎が安定しない。

試行錯誤しつつ、コッヘルのふたで仰ぎまくり、それでも何故か火勢が弱まり消えてしまうという事態が二度ほど繰り返された。夕方となり、あたりはだんだんと暗くなる。おやおや?

うーん、まだまだスキルがないなあと反省しつつも、焚付となる紙が残り少ないこともあり、不穏な空気。Amazonの梱包に使われている模造紙的なものを適当に詰めてきたのだが、新聞を持ってこなかったことを真剣に悔やむ。盛岡駅で買えばいいかーと思っていたのに、そこをすっかり忘れていたのだ。

どうすっかなーと思い悩んだ末、砂が噛んでしまったためか、キチンと折り畳めなくなった傘を分解し、骨組みを外したビニール部分を焚き付けとする。明日はおそらく晴天だから、傘はいらんだろう。

この判断が奏功し……っていうか、酒が入ったペットボトルに巻いたガムテとか、ほかにも焚き付けに使えるものはいくらでもあったんだが、どんどん暗くなっていたから焦っていたんだろうね。まあ無事に焚き火は安定し、湯が沸いた。

とりあえずのコーヒーにアイリッシュ・ウイスキーを垂らし、チビチビやっていたらすっかり夜だ。

そのうち腹が空いたので、荷物を減らすべく、まずはどん兵衛に湯を注ぐ。食べながらまた湯を沸かし、こんどはアルファ米。さらにレトルトカレーを温める。どんどん荷物を軽くするぞー!

いやしかし、最近のアルファ米って美味いんですね。生米より全然よいではないか。ボンカレーと合わせて、どん兵衛の器でモリモリ食べる。満腹。

それなりにいい時間だが、独り宴会は続く。今回、ラムとアイリッシュ、あと静岡蒸留所の秘蔵シングルモルトも持ってきていたのだが、順番にやっつけにかかる。

焚き火もすっかり安定して、良い感じに燃えている。やはり、雨が降ってないってのはよいことだ。空を仰ぐと、木立の向こうに光源が。月が出ており沢を、森をうっすらと照らしてくれている。

飲む。歌う。飲む。

薪の山がちょっとずつ小さくなる。あれ?こんなに燃やしたっけ?と思ったときには午前2時を過ぎている。


至福の時を過ごす。うんそうだ、コイツをやりにここまでわざわざやって来たのだ。大いに満足である。我ながら、やっかいな趣味を持ってしまったものだ。

温度計は6℃を差しているが、風もなく、火はあたたかい。

酒もなくなりシュラフに入ったのは、3時すぎだったか。

10月8日 コースタイム
大石沢出合 10:00
中ノ又沢出合 10:40
葛根田大滝 11:05
中ノ又沢出合 11:40
co844付近 13:00
就寝 03:00

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