全体コースをヤマレコからコピペ。
以下、備忘を兼ねた長文の後記である。

大釜温泉の日帰り入浴受付は16:30まで(入浴は17:00まで)。料金は、600円とまずまず良心的。タオルは300円、ロッカーは別途100円かかる。
1万円札しかなかったのだが、差し出すとお釣りがないと言われる。小銭をかき集めると、ギリギリ600円。ただし、タオルは買えなくなってしまった。
「タオル、持ってきてないの?」
「いやあ、ここの名入のタオルが欲しかったんスよ…」
途方に暮れていると、おばちゃんが「ナイショだよ」と、使用済み(洗濯してある)を一本くださった。ありがとうおばちゃん!
どうにか風呂にありつき、バスで田沢湖に出たのが18:30。いぶりがっこ買おうかなと思ってたおみやげ屋も閉店しており、駅前だというのに真っ暗だ。
ここで思案する。
いったん盛岡に出て、盛楼閣に行くかあるいは駅ビルにできた白龍の支店でじゃじゃ麺を食うか…。その場合、乗車券は東京まで、特急券は盛岡までを買うことになる。
ただし、次の新幹線は19:20となんとも半端に待つ必要がある。
あるいは、そのへんの店でなんか食べるか……少なくとも、あんまり繁盛してなさそうだったがラーメン屋はロータリー手前にあった。
とりあえず乗車券だけ買っておこうと窓口に。
すると駅員さんが「特急券は買わないの?」と。そらそうだよね。正直に、いったん盛岡に出るか田沢湖で何か食べていくか悩んでいる旨を伝え「このへんでどこかおすすめの店ありますか?」と尋ねてみた。
「すぐそこの居酒屋は、おばあちゃんが一人でやってて、そのときあるものしか出てこない。メニューを見て頼む店じゃなくて、勝手に出てくる。飲み物は、ビールも日本酒もあるよ。もうひとつ、ちょっとした割烹みたいな店もあるけどそれほど高級店じゃないから会計も高くはならないと思うよ。」
うーむ、そのおばあちゃんの店が断然気になる。ちょっと覗いてきますとザックは待合室に置き、店先まで行ってみる。
見た目、普通の店だ。しかも駅からは目と鼻の先。そんでもってメニューがないとかトリッキーすぎるだろと思い切って入ってみる。

けっこう賑わっており、一人なのでカウンターに座る。とりあえずビール。
ドンと出てきたのは大ジョッキ。しげしげと見渡すと、確かにメニューもなければおすすめボードもない。
グイグイ飲んでいると、お通し的なものが三皿出てきた。するとおばあちゃんが「おにいさん、熊食べる?」と。
「食べます食べます!」ってなるじゃあないですか。なんとその熊はカウンターの奥に座ってた二人組のオッチャンの片方(猟師)が仕留めたものだという。
果たしてやってきたのは、ホロホロな煮込み。臭みもなく言われなきゃ熊肉とは思えない。

その後も駅員さんが言ってたとおりで、エビと香草を春巻きにして揚げたのやら、イナダの刺身の酢味噌和えやら、それなりに仕事された皿が絶妙なタイミングで出てくる。なんだよこの店、普通に美味いイイ店じゃないか。
早々に熱燗に切り替える。
二人組のオッチャンが話しかけてくれて、しばし語らう。このへんの人で常連ぽいのだが、堀内沢だの、夏瀬温泉だの、ローカルな話題でやたらと盛り上がってしまった。
そりゃ、東京からやってきた一人客がトシベだの蛇体淵だの、トンビマイタケだの昔の夏瀬温泉だの言い出したらそうなるわな。
「このへんじゃ、ホリナイなんて言わないんよ。ホリネェサワって言うの!ホリネエ!あのへんには、よく鴨撃ちに行ってるよ〜」
楽しく飲み食いしているうちに、20時すぎの新幹線の時間である。もう1本遅らせようかと悩んだが、いい感じに酔っ払ってたし長ッ尻も無粋かとお会計をお願いする。
3500円!? ええ、嘘でしょう? ビール2杯に熱燗2合で、さらにけっこう食ったけど…。
オッチャンたちからも、おばあちゃんからも「またおいでね」と送り出される。
まさか田沢湖駅前にこんな店があったとは、まさに不覚の一語である。冷麺だのじゃじゃ麺に流れなくて本当によかった。
飲みながらえきねっとで買っておいた特急券を速攻で引き出し、改札に出てきてくれたさっきの駅員さんにお礼を言ったあたりで新幹線が入線してきた。
滑り込みで乗車。今回の旅が、本当に終りを迎えた。
最後にあれこれ振り返っておく。
■時期について
10月7〜9日という3日間だったが、もうちょっと後、できれば10月末くらいで行ければ紅葉にはベストだったか。ただし当然だが冷え込みはキツくなる。反対に春、5月下旬あたりの新緑シーズンを狙うのもよいのかもしれない。雪の量にもよるが。
■装備について
タープ(というかツエルト)は広げると2m×3mほど。幅2mというのが若干狭く感じたが、まあ1人なら問題ない。3m×3mだとより快適かもしれないが、といったところ。張り綱は、ビニール紐でまったく問題なかった。
ロープとハーネスについては、まったくもって使うことはなかったが、本当に万が一を考えると置いていく気にはなれないかな。どうなんだろう。
100均のナップサックがなにげに便利だった。
一脚兼トレッキングポールは、葛根田のような沢歩きならバランサーとして有用な場面が多かった。クマに遭遇した際の威嚇用や、最悪のケースでは武器としても役立つのかもしれない。ただし、ヘツリなどでは邪魔になるため、収納を 工夫せねば(ザックのショルダーとウエストベルトにアタッチメントを付けるなど)。
■食糧計画について
結局、大量に余った。ピンチ込みとはいえ、直前であれもこれもと増やしてしまいがちなので気をつけたい。カップ麺はよかったが、カップ麺を持っていくならその分なにかを減らしたほうが良い。
イワナを釣れる時期であれば、そっちも考えないといけない。
■コーヒー
100gでたっぷり楽しめた。これが200gだと、たぶん多すぎる。100gで我慢すべきなのかもしれない。
■忘れ物、あるいは火器について
ガス缶忘れるとか、マジで死んだほうがいい。
というのはさておき、基本焚き火で賄うというのは全然アリ。その前提で燃料系は見直しても良いのかもしれない。例えばアルコールバーナーなども選択肢となり得る。または、CB缶(家庭用ガスコンロのやつ)とかね。総重量と燃焼時間について、もうちょっとシビアに考えてもよいのかも。
■体調その他
終始問題なかった。下山後の筋肉痛もほとんどなし。やはりせっせとブルガリアンスクワットでモモ裏と大殿筋を追い込んできたのが良かったのだろう。直前の9月上旬にギックリ腰をやっちまったものの、比較的すぐ歩けるようになったし、筋肉量は10年前よりもむしろ増えている気がする。体重も、ひと頃は86キロまであったのを、どうにか60キロ台に落とせたこともあり、体力低下を補えたのだろう。
そういえば、寒かったからか生まれて初めて「手が荒れる」感覚を味わった。行動中は手袋をしていていて、濡れてるのに指先がカサつくんだよね。両手の人差し指と中指も、負担がかかっていたのか爪の両脇がちょっと裂けるというか、痛かったかな(下山後ほどなく治癒したが)。
寒い時期だったからか、加齢が原因なのか不明である。