二口山塊大行沢樋ノ沢遡行記その①

山を越えてスタジアムに行こう!という企画趣旨のため、日程は決め打ちとなる。そう、たとえ雨が降ろうと、その雨が豪雨であろうと……。


というわけで、出発前から分かっていたことだが、東北地方が傘マークだらけなのに沢に突入するという、なかなかに悲壮感がありつつも始発の新幹線に乗った。


東京は曇だったが、仙台は雨。仙山線に乗り換えて愛子駅で下車。普通に「本降り」である。

愛子駅といえば、前日乗車券を買おうとしてじつに骨が折れた。昨今はみどりの窓口も小規模な駅だとどんどん閉鎖されている。機械の券売機で買ってね、ということなのだろうが、それはそれとして、杓子定規なUI設計については難癖を付けたくなるものです。何度も「あいこ」「あいこ」「あいこ」と入力するも、全然候補に出てこない。そりゃそうだ、愛子駅は「あやし」と読むのだから。

難読駅とか、ややこしい名前の駅なんかはそこら中にあるのだから、もうちょっとこの、サジェスト機能みたいなさ、「ひょっとしてアヤシですか?」とかGoogleみたいに勝手に解釈して検索結果を出すとか、工夫してほしいよまったく。

まあいいや。そんなわけで土砂降りの愛子駅でバスに乗り、終点の二口まで。終点にまで行くのは自分ひとり。料金を払って下車するとき「雨ですけど、気をつけてくださいね」と運ちゃんがにこやかに。「いやー、なんか帰りたくなっちゃうなー!」と明るく応えつつ、ビジターセンターに駆け込んで雨宿りをしつつ準備。

鉄筋コンクリートの立派な建物だが、リニューアル中ってことで2024年春までは閉鎖されている。それでも、屋根があるだけありがたい。なお周辺には民家も数件あり電波も入る。

もとよりこの雨のなか、沢登りなどするつもりはない。明日は天候も多少は持ち直すようだし、今日は山小屋ステイで、沢沿いの登山道を歩くのだ。

ところで、今回のルートについては大きな懸案事項があった。ヤマビルである。

ヤマレコやYAMAPの記録を見ると、けっこうヒルにやられている人が多い。温暖化?シカやサルの増殖? いろんな要因があるんだろうけど、日本列島はヒルとマダニの生息域がここ数年で爆発的に広がってる気がする。

ヒルにだけはやられたくない!という切実な思いから、とにかく足元を徹底的に固めることにした。


まずは第1防衛ラインとして、イカリジン配合の虫除け剤をとにかく足回り中心に塗布しまくる。ヒルの研究者が、DEETよりもイカリジン(数年前に認可されたみたい)がヒルには有効とYouTubeで喋っていたので、まずはそれを信じるのだ。

第2防衛ラインは、ネオプレーンのハイソックスだ。先月の葛根田でも使用したが、もしもヒルが靴の中に入り込んでも、これなら素肌まで到達されることはなかろう。縫い目もシールされているので、多分大丈夫。ただし、膝下まで這い上がってこられたら、そこから内側に潜り込まれてやられてしまう。だから行動中は頻繁に足元をチェックしながら歩く必要がある。

そして第3防衛ライン。これを突破されたらオシマイという、最後の最後の砦。その最も重要な役割を任せたのが、パンティストッキング。そう、パンストである。

神楽坂のマツキヨで、店員さんにちゃんと聞いて買ってきたのだ。


「一番厚みのあるパンストってどれですかねえ? 冬用とかじゃなくて。以前はデニールとか厚さの単位があったと思うんですけど、最近のは特に明記がないみたいっすね」
「この、破れにくいって書いてある商品なら、それなりに厚みがあると思います」
「じゃあそれください。あ、私が履くんですがサイズはLでいいですかね」
「LLですかね」

都会のドラッグストアの店員さんは、中年のオッサンがパンストを買いに来ても動じたりしない。さすがのプロフェッショナルである。


というわけで、パンツを履かずに「生」でパンストを履く。これがまた、慣れてないと難しいんだよね。爪とかひっかけちゃうと穴が空いて台無しだし、慎重に生地を伸ばしながら装着した。写真は載せないので安心して頂きたい。


ようやく出発だ。

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