電動アシストを快調に飛ばす。が、朝から日差しがあってけっこうツラい。汗がドバドバでるので水に溶かしたEAAを補給しながらペダルを漕ぐ。日焼けしちゃうなこりゃ。
それにしてもさすがは東北、道端に芭蕉ゆかりの句碑が唐突に現れる。
まゆはきを俤にして紅粉の花
まゆはきというのは化粧道具。おしろいをつけた後、眉についた粉を払うための小さな刷毛のことのようだ。紅粉(べに)の花、つまりは紅花が、そのまゆはきを思い起こさせるとして、俤(おもかげ)があるという、じつに雅な俳句ですな。インターネットに書いてありました。

芭蕉もこのへんで紅花を見て、詠んだのだろうか。
なんか、完全に私道っぽいところがいわゆる奥の細道……なの? 自転車なので、もちろん左にルートを取った。果樹園のど真ん中を突っ切る快適な道で、やがて国道に合流した。

山寺駅前に自転車を停めて、見上げてみるとなるほどなるほど。そこかしこに建造物が確認できる。あのへんがいわゆる「山寺」なのだな。

全国民が知る有名なアレも、ここで詠まれたとか。
閑さや岩にしみ入る蝉の声
なるほどなあ。ところどころ岸壁が露出してて、たしかにこれはいわゆる百聞は一見に如かず的なヤツだなあ。この地形の雰囲気とあの句とがマッチすることが、麓からでもよく理解できる。
さて、じゃあ登ってみようかとなるところだが、ある意味メインストリート的なルートは今回敢えて行かない。いずれ家族を連れてきてやろうと思っているので、そのときのお楽しみに取っておくことにする。
代わりと言ってはナニだが、むしろこちらがより「山寺」らしいと言われる「峯の裏」ルートをぐるっと回ってみる。
峯の裏は、山寺を開山した慈覚大師円仁が構想を練ったり修行したりしていたところらしい。山寺の中心部からさらに奥へと徒歩15分くらい進んだところにある「ついてる鳥居」を起点とした。



こちらの峯の裏は訪れる人もまばらで、わりとひっそりしてる。
線路を突っ切って、しばらく登るといきなり現れるのが「垂水遺跡」だ。凝灰石というらしいんだが、それが侵食されてこんな蜂の巣状になるらしい。まさに奇景。
思わずいっぱい写真を撮影してしまう。




垂水遺跡を後にしてコースを辿ると、城岩七岩というエリアとなる。
大きな岩がいくつも展望台のようにせり出していて、中には先っちょまで歩いていけるものも。高所恐怖症ながらギリギリまで攻める……。

そこから先は完全に登山道。素足にサンダルで来てしまったことを激しく後悔するが、沢靴でってのもねえ。
ぬかるみもあってサンダルもめり込む。うーん、むしろココのほうがヒルが心配。怪我しないよう慎重に歩いて修験場跡に。

写真だと全然伝わらないけど、この修験場跡、スケールが大きくて圧倒される。足元ドロドロで気持ち悪いのに、しばし見惚れてしまった。解説板にあるように、何らかの祭りや儀式をするにはうってつけの場所だったろうな。
うーん、ロマンあふれる場所だここは。
そこから先は、さらに悪路となり、足は泥だらけ。麓に降りてお寺の水道をお借りして、足元を清めつつヒルチェック。まあ、無事で良かったです。
足回りがしっかりしてない人なんかは、垂水遺跡だけ見に行くというのが良さそうだな〜。
