『ウォッチメン』を観てきた

アメコミ界の金字塔、ムーア先生のWatchmenを、300<スリーハンドレッド>のザック・スナイダーが映画化するというので、心待ちにしていたのです。いやー、堪能した!

●日本語版トレイラー


ナット・キング・コールのUnforgettableがバックに流れる中、コメディアンが殺されるシーンなどは失禁モノです。美しすぎる。あと、ロールシャッハ(英語読みだとロールシャックなんだね)がいいですねえ。あの猥雑な感じがマスクのCGと相まってタマランです。

よくぞ、あの世界をここまで忠実に再現できたなあ。さすが、300で湯気が出そうなガチムチ・スパルタンを描ききったザック・スナイダー。ワタシは、まだBlu-rayプレーヤーもハイビジョン対応テレビも持ってないけど、そのへんが揃ったら真っ先に買いたいと思ってるソフトが300なのです(一時期、某オンラインゲームでは”THIS IS SPARTA!!”が合い言葉でした!←意味不明)。そしてそのリストの2番目には、ウォッチメンが入ることが決定。劇場公開版は160分と長尺なんだけど、カットされたシーンなんかが入った完全版があるというウワサもあり、ヒジョーに楽しみ。

内容にサラリと触れておくと、ヒーロー活動が法律て禁止された世界が舞台となります。ピクサーのMr.インクレディブルを思い起こさせますが、あちらは「家族」がテーマ。ウォッチメンでは、パラレルなリアルワールドというか、ヒーローたちの活躍によってアメリカがベトナム戦争に勝ってしまったり、さらにはニクソンが法律を変えてまで3期目となる長期政権を敷いている1985年。米ソの冷戦による全面核戦争の危機が、まるで水でいっぱいになったコップのように影を落としている、そんな設定です。

しかし、現実世界に本当にヒーローなんてものがいたら、実際どうでしょう? マスクをかぶって町の警備? 正直、とってもうさんくさいです。腕が立つだけになおさら不気味。さらには、ヒーローって言ったって色んなヤツがいて、聖人君子系ならまだしもお色気系、マッチョ系、手段を選ばない系などさまざま。それゆえ、「ウォッチメンが町を見張るのはいいとして、いったい誰がウォッチメンを見張るんだ?(Who watches the Watchmen?)」というのが民衆の素直なキモチなわけです。

さらには、実験ミスにより、ホンマモンの超能力者、Drマンハッタンが生まれてしまい……とまあ、ワタシがくどくど書くより、作品の内容については優れたblogがいっぱいありますんで、そちらをリンクさせて頂きます。

今こそ読まれるべき傑作、『WATCHMEN』
http://blog.goo.ne.jp/biting_angle/e/2e1715a4c80033620ad772d354ff3286

というわけでこの映画、間違っても、「なんかおもしろそうだし」程度のノリでは見てはいけません。原作を知らない人はチンプンカンプンで、単なる支離滅裂なトンデモ作品にしか思えないはず。

だからといって、原作自体も相当難解なので、ページを行きつ戻りつ、何度か読み込まないとしっくりこないと思われます。しかも、B5変で464ページというボリューム。

さらにいま、映画公開ということもあって原作本がなかなか入手できない状況のようです。なので、もし興味があれば Amazonの「なか見!検索」で1章がまるまる読めるので、まずはそちらをどうぞ。日本のマンガに慣れてると、絵柄やコマ割りとか、生理的に受け付けないかもしれないけど……。

あ、運良く原作が手に入ったら、こちらのサイトがお勧め。

PlanetComics.jp出張版「ウォッチメン」特集サイト
http://planetcomicsjp-watch-the-watchmen.blogspot.com/

ま、万人向けじゃないのは事実だし、興行的な成功は日本では難しいだろうなー。私自身、この作品を知ったのは、仕事先のマニアックな方に教えて頂いたから。それまではアメコミなんてまじめに読んだこともなかったけれど、ちょっと見方が変わりました。まさに、目から鱗状態。今後、色々と手を出していくつもりです。

原作と映画、合わせれば、とにかく至福。おそらく数週間〜一カ月くらいは想像力フル稼働で楽しめます。連日、オカズなしでドンブリ飯状態ですよ。

我々が住む現実世界にあるさまざまな構図、起こり得る、あるいは起こり得た事態や、その結果あったかもしれない世界なんぞに思いを馳せるのも面白いでしょうし、単純に、平和や正義といった深いテーマについて考えてみるのもいいかもしれません。

最後に、映画でオープニングのタイトルバックに使われている映像があったので埋め込んどきます。第二次大戦中に結成されたヒーローチーム、ミニッツメンの面々の栄光と挫折、あるいは成れの果てが、あの名曲とともに。JFK暗殺の真相(?)や、気が狂ったヒーローが病院に運ばれたり、レズのヒーローが誰かに殺されたり。本編へと繋がる重要なシークエンスをこうしてまとめてあるあたりが、さすがのセンス。

「『ウォッチメン』を観てきた」への2件のフィードバック

  1. こんな世界があるのか。
    アメコミはわからない。。。
    いや、まだまだだなあ。。。

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