思春期は、音楽とともにあった。
とりわけ多感な中学〜高校時代は、ありとあらゆる(と自分で思ってただけだが)音楽を聴き漁り、学校帰りには定点観測をしているいくつかのレコード屋を覗き、貸しレコード屋でスタンプを集めまくり、シコシコとテープにレタリングを施しては一人悦に入り、夜は夜でサウンドストリートからクロスオーバーイレブン。田舎住まいの悲しさか、ベストヒットUSAは東京とは数週遅れであり、しかも深夜だったが眠い目をこすって欠かさず見ていた。フォリナーのGirl Like Youが連続一位でスゲーとか、そういう時代のことである。
忘れもしない高校1年生のとき。ムーンライダーズに出会った。当時は洋楽こそがすべてという洋楽原理主義者だったが、はじめて『AMATEUR ACADEMY』を聴いたとき、まさにぶっ飛んだ。過去の作品を収集(レンタル)しまくったものだ。『青空百景』『MODERN MUSIC』『NOUVELLES VAGUES』。
これはすごいバンドだと、せっせと友人らに聴かせまくるもあまりの支持の得られなさに辟易としたが、自分の人生に最も大きな影響を与えてくれた音楽といえば、やはりこのバンドを置いて他にない。最初で最後のライブ体験、2年前の中野サンプラザにも、思い切って足を運んで本当によかった。
かしぶち哲郎という人は、ムーンライダーズの中ではちょっと立ち位置が違うというか、バンドというものから半歩ほど、引いているイメージがあった。彼の作る曲は、デビューの頃から一貫してのかしぶちワールドであり、あぁ、この助平なおっちゃんはまたこんな耽美な曲を作りおって困ったものよと、ニマニマしたものである。
訃報を耳にしたときは、ああそうか、亡くなってしまわれたかと実感が湧かず、それでも真っ先に聴きたいと思ったのは、1985年に出たソロアルバム『彼女の時』である。
石川セリ、大貫妙子、矢野顕子という錚々たるオバサマたちを従え(いや、当時はまだお若かったか)、各々とのデュエットはもちろん全員集めてのコーラスをバックに唄ったりと、まさにかしぶちワールド全開の名盤だ。
YouTubeに、当時の坂本龍一のサウンドストリートでゲスト出演したときのソースがアップされていたので、一応貼っておこう(そのうち消されそうだ)。
ダンディで、エッチで、それでいて最高に格好良かった。サンプラザでも、ニコ動で見たルーフトップでも、しっかりドラム叩いてたし「まだまだイケるやん!」と思ったし、ソロ活動もそろそろかといったところでこの悲しいしらせである。私の中では「ジョン・レノンを欠いたビートルズ」並みの、喪失感をヒシヒシと感じる。
それにしても今年は、好きなミュージシャンの訃報が多い。というか、自分の年齢的な問題で、自然とそうなっているだけなののかもしれない。
ともあれ、素敵な音楽をいっぱいありがとうございました。安らかに。思えば17日の夜は、仕事場から大きな満月が見えたなぁ。
なお、友人との忘年会の流れでカラオケに行った折、つい出来心で「スカーレットの誓い」を唄ってしまったのは秘密だ!
薔薇がなくちゃ、生きていけないよ。本当に。
前奏と間奏の「Yah! Ya Yah!」って
カラオケで歌ってたっけ?
ともあれ、耳に残るイイ曲ですた。
恥じらいつつ、唄ってた……かな?w
この曲が入ってるアルバムは、限定のカセットブックで買ったのだよなあ。1984年、16歳のことであるよ。