もがいてもがいて、無様な姿となり果てて、松中信彦が引退した。
不器用といえば聞こえはいいが、花道が用意されていたにも関わらずの退団騒動である。いつかの交流戦でのセレモニーボイコットとかも見るにつけ、ただの我侭な子供だ。
昨シーズン、ホークスの優勝が決まってから一軍に呼ばれはしたが、若いピッチャーの速いストレートに完全について行けてない。誰の目にも衰えは明らかだったのに、意地を通しての退団に、球団もファンもざわついた。
正直呆れたが、こうなりゃとことんやってみれ、という気持ちになった。悪い意味での良い先輩、中村ノリもおるわけだしのぅ。
結果的には、2月のキャンプ期間でアッサリと結論を出したのは、そりゃまあいろんな理由はあるんだろうけど、プライドも彼なりに保たれたのだろうし、バース・デイも取材に来るしで結果オーライなのでしょう。
調子がいいときは人がワンサカ集まってくる。でもいったん落ちぶれると蜘蛛の子散らすがごとくサーッといなくなり、それでもしがみついて、努力するんだけど報われなくて、なにもかもが悪循環で、どうしようもないっていうのをずっと見させてもらった。
思えば2000年代前半にブイブイ言わせてた姿よりも、秋の風物詩と呼ばれ、5億の置物と揶揄され、ポンコツ扱いされるようになってからの彼のほうが、私は好きだ。
いろいろ動画貼り付けようかとも思ったんだが、やっぱりこの一本がすべてを物語ってくれるんじゃないかと思う。いつかこのブログでも書いた、CSでの満塁弾。
キャッチャーが外角に構えてるのに、牧田の初球がスーッとど真ん中に入ってくるのだが、メンタルが強い牧田のコントロールミスを誘ったのは、間違いなく場の雰囲気、球場のファンの声援だったろう。愛された証だ。
数少ないパ・リーグ臭の強い選手が、また一人グラウンドを去った。