エスクァイア最終号

日本語版の創刊は22年前というから、ちょうど高校を出て東京に出てきた頃だ。そう思うと、なんだか不思議な感じがする。

いまも出版業界の片隅にいるが、駆け出しの頃、カメラマンの車の助手席に乗っていたある日。「そこのビル」とアゴで指され、「エスクァイアを作ってるUPUっていう会社が入ってるんだよ」と教えてもらったことがある。

あんなカッチョいい雑誌を作ってるのはどんな編集部だろう、そもそも、どんな人たちがやってるんだろう。その場所が当時、自分が住んでいた街でもあり、また超絶な貧乏時代だったこともあり、なんとも自虐的な気分になった。だから今も覚えている。

財務的な状態はどうだったかしらないが、エスクァイアには圧倒的な「成功」のイメージがある。当時業界にいた編集者も、カメラマンも、自分のような末端フリーの人間も、うまいことしてやがるなあ、単なるアメリカ版のコピーじゃねえか、などと嫉妬に満ち満ちた目を向けつつ、ココロのどこかでは単純にうらやましかったはずだ。「ああいう仕事、いいよなあ」とは、口には出さずとも、みんなどこかで共有していた意識だったと思う。

時代は変わる。いまここで、紙メディアの終焉なんて話はしたくないが、少なくとも最終号(名目上は休刊だが)にしてこの出稿量は、例えは悪いが、老衰し、体中に管が刺さって死を迎えた媒体では決してない。颯爽と立ち去っていくニヒルな老人のようだ、とまで言ってしまっては大げさか。

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改めて見ると、本当にいい雑誌だ。いい雑誌すぎるからこその、この結末なのかもしれない。

こんな贅沢なメディアは、しばらく出てこないように思う。

『横浜 vs PL学園』を読んだ

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いろんな意味で、高校野球はその定義を考え直す時期に来ていると思う。朝日と毎日が牛耳る利権構造、越境入学、学園ビジネスetcetc….

とはいえ、選手たちが繰り広げる試合そのもにには罪などない。そういう意味での極北ともいえるのが、松坂擁する横浜とPLの、1998年夏の甲子園準々決勝だろう。

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横浜 00022001001000012|9
PL 03010010001000010|7

このスコアだけ見ても、試合の壮絶さがよくわかる。

大会屈指の好投手、松坂から3点を先制したPL。そこから追いつき、勝ち越されはするが追いつく横浜。延長に入って、2度勝ち越しする横浜に追いすがるPL。

たまたま書店で『横浜 vs PL学園』を手に取った。朝日の記者たちが根気よく取材した成果が、試合の面白さと相まって、じつに読ませる。確かに松坂という「抜けた」存在はあった。17回を投げ抜いた彼は、本当にバケモノだったが、じつはベンチも含めた総力戦だったのだねえ。

『星影のワルツ』を観た

わが故郷、浜松が生んだ写真家・若木信吾氏による、ドキュメンタリーのような不思議なフィクション。天竜川や中田島など、浜松を舞台にロケされており、実際に若木氏の生家でロケされたそうだ。遠鉄バスなども出てくる。

私小説ならぬ、私映画。あるいは私フィルム? 亡くなった祖父を撮影し続けたのが写真家としての第一歩だったこともあってか、思い入れがヒシヒシと伝わってくる。そのおじいさんの写真集も出版されてるんだね。

たぶん特殊な機材を使うわけでなく、全編通して、HDカム(?)で撮影してるんだと思うのだが、写真家らしく、時にドキッとするような美しいシーンが挿入される。

主人公(本人)役は、バンプオブチキンみたいな感じの青年。親友役の2人は実際の監督の幼なじみ。どちらも(実際に)障害を持っていて、職場のシーンなんかがドキュメントっぽく挿入される。

都会ではそこそこ名の知れた写真家となっている主人公が、その親友2人と街中に遊びに行ったとき、なぜか鍛冶町(ローカルだなあ!)の横断歩道で東京の仕事関係の人間とバッタリ会ったりするが、ぎこちないやり取りがイイ。

それにしても喜味こいしの存在感はすごい。『ホノカア・ボーイ』を観ても思ったのだが、この人はある意味、笠智衆を越えているのではないか。凛とした様は、ベスト老人オブザワールドといってもいいくらいだ。

酒場で、若者に誘われて同じテーブルで飲むシーンなんか、すごくいい。威厳をひけらかすわけでもなく、あくまでも自然体であり、その佇まい、若者たちのあしらい方は、これぞまさに粋というもの。

極めつけは、海でのシーン。

以前も書いたことがあるが、浜松人にとっての海とは、延々と続く砂丘をひたすら歩いて、ようやく辿り着くというものであり、「海へつれていってくれないか」という言葉は、決して大げさではない。

砂に足を取られながら、一歩ずつ傾斜を登り、ようやく開けた視界の向こうに現れる水平線。海へと至るまで、どんな思いだったのか。そこで奏でるバイオリン、星影のワルツである。

監督自身の私的な思いだけでなく、見る者にとってはいとし師匠のことも思い出されるはずだ。

決して一般向けではないが、カッコいい老人が大好きな私としては、大いに満足。こいし師匠には、とにかく長生きしていただきたい。

この映画、実家に帰ってたときに1人で見た。そのまま置いてきたけど、はたしてウチの親父はどんな感想を持つだろうか。「よくわからん映画だったな!」とか言いそうだ(笑)。

『僕の彼女はサイボーグ』を観た

『猟奇的な彼女』で知られる韓国人のクァク・ジェヨンが監督。未来の自分からサイボーグが贈られる。しかもその容姿は、1年前に出会った素敵な美少女とそっくり。

公開時、観に行こうと思っていたのに、忙しくて気がついたら終わっていた。dai氏のご厚意でお借りできたので、自宅で鑑賞。

例によって、強いオンナとダメなオトコという、ある意味わかりやすい内容なのだが、なんというか、ブットビ具合がハンパない。こういう映画は、ちょっとビールでも飲みながら姿勢を崩して、ニヤニヤしながら観るのが一番だ。

未来の人間が過去を変えてしまったらどうなるのか。本来起こり得なかったことが起き、起きたはずのことが起きないという状況は、SFの世界では普遍的なテーマではあるが、もちろんそんなこと(あえて)真面目に取り合ったりはしない。

少なくとも、アイドル系女優の売り出し時期にありがちな、毒にもクスリにもならないばかりか掃いて捨てることすら面倒な軟弱ラブコメ映画なんかよりは、綾瀬はるかのファンを増やすことに成功しているんじゃないかな。

いやー、さすが、あの前田有一センセイが唯一「採点不能」と評しただけのことはあるわ。

それにしても綾瀬はるかは、おっぱいもさることながら、あの常人離れしたアゴが、たまらなく魅力的。オトコなら誰しも、一度でいいからあのアゴをなでてみたい、と変態的な欲求にかられること請け合いである。



↑amazonのレビューは、意外と高評価だなー。

タイフェス2009

ずうっと前に一度、立ち寄ったことはあるんだけど、近年のタイフェスは大人気で、相当な混雑&行列らしいんで足が遠のいてました。が、久しぶりに代々木公園まで行ってみた。

うーん、やっぱりものすげえ混んでる!でも楽しい!

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手慣れた人たちは、ブルーシートで陣取りしちゃうのね。これどうにかならんか。おかげで、せっかくのタイフード&タイビールを楽しもうと思っても、まずは場所取りからという難儀な状態。ようやく空いたベンチを陣取って、ガイヤーンやらガパオごはんやらパッタイやらをプーケットビールで流し込む。

その後、デザートと称してドリアンやらマンゴーやらドラゴンフルーツやら。ドリアンはね、いい状態のものなら決して臭くはないですよ。なんつーか、甘みを抑えたバナナが、ややネットリしてるような感じ。マンゴーも、安いくせに濃厚で美味し。箱買いしていく人もいっぱいいた。

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トゥクトゥク1台120万円ナリ。高速も乗れるとか書いてあったな。限定10台で、けっこう売約済みになってて笑った。これ買う人は、どんだけタイ好きかと。

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心配された雨もどうにか持ちこたえ、35万人も集まったみたい。来年も来なくちゃなー。

多摩蘭坂まで

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道行く人が何人か、立ち止まって佇んでいる。花を手向ける人もいれば、寄せ書きやノートに、じっと見入る人もいる。天気が崩れるという予報があったせいか、傘やクーラーボックスも設置されていた。

『多摩蘭坂』は、まだミュージシャンとして成功には至っていない、不遇の時代のことを歌ったものだという。

夜、ひとりぼっちで部屋にいて、言いようのない不安感に襲われる。かつて若者だった人ならば誰だって、そんな記憶はあるはずだ。だからいまも、心にしみる。

『グラン・トリノ』を観てきた

デート向きではないし、なんとかクリフのような潤沢な宣伝予算があるわけでもない。アカデミー賞とも無縁だったし、ブロンド美女も一切出てこない。名の知れた俳優は主役のみ。要するに、いまひとつパッとしない。

事実、上映スケジュールもやや先細り感がある。日本ではあまり話題にはならないまま上映期間が終わってしまう気もする。



だがしかし、素晴らしい映画だ。私は今後しばらく、会う人会う人すべてに、この映画を勧めまくるだろう。

物語後半、佳境に入ってからの展開には、決して大げさではなく震えが来た。ここんとこ、映画については「当たり」が多くて本当にうれしいのだが、その中でも明らかに群を抜いている。文句ナシの大傑作。

ある程度の「老い」や「枯れ」を自覚しつつあるオッサン世代なら、この映画が語りかけるテーマは、ストレートにココロに響くはずだ。しかも響いて終わりではなく、しばらく居座ってしまうに違いない。ああ、いろいろ書きたいところだけど、そこはグッと我慢。だけどひとつだけ。男らしさとか格好良さとか、いかに世の中に、ステレオタイプなものが溢れているのかが、かえってよくわかりました。

これが最後の映画出演と言われている、78歳となったクリント・イーストウッド、いやさダーティー・ハリー。無茶苦茶カッコいいよ、アンタ。

公式サイトはココ

そしてここにも

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知人より届いた写メ。

日に日に花や手紙、ノートへの書き込みが増えていくそうだ。

週末あたりに散歩がてら行こっかな。国立市中3-1経由で。

夜に腰かけてた 中途半端な夢は
電話のベルで 醒まされた
無口になったぼくは ふさわしく暮してる
言い忘れたこと あるけれど

多摩蘭坂を登り切る 手前の坂の
途中の家を借りて 住んでる

ちなみに京王バスがいい仕事をしていて、ここのバス停の名前は正式名称(?)の「たまらん坂」ではなくって「多摩蘭坂」なんだよね(府中発国立行き、府中病院経由の路線)。

たまらん坂で多摩蘭坂を歌う忌野さん↓

浜松餃子ふたたび

引き続き浜松ネタです。以前、「浜松餃子? シラネ」的なことを書いてしまったりもしましたが、親と話をしていたら、「そういやアンタ、よく近所の餃子屋に行ったわよね」と母ちゃんが。

じつは実家から徒歩5分で行ける距離に、「福みつ」という老舗餃子屋があったのですね。言われてみれば確かに小学生くらいの頃、何度か親と来たことがあったかも……。今になって思い出しましたよ!

さっそく立ち寄ってみると、夕方の中途半端な時間だったのにけっこうな行列。30分くらい並んでようやく入店です。メニューは餃子のみ。あとは定食のセットとビールしかありません。このへんはオトコらしい。

ただ、この店はいわゆるメディアが言うところの浜松餃子とは違って、もやしなんて乗ってないし、焼き方もどちらかというと油でカリッと仕上げるタイプ。ニンニクたっぷり、野菜多めなところは好感が持てます。

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餃子ひとつでビルをおっ立てて、さらには向かいの土地もドーンと買って駐車場にしてしまったという、まさに餃子サクセスストーリーを地でいく店。並んで食べてく人も多い中、おみやげで20人前とか、50人前とか無茶なレベルでのテイクアウトも目立ってました。

さりとてもう一度行くかと言われたら、ちょっと悩むところ。実際、中高生時代は一度も来たことなかったってことは、個人的な評価は、つまりはそういうことなんだろうねえ。けど、駅から遠いわりには賑わってるので、今後も頑張って頂きたいところ。

そういえば、dancyu最新号は餃子特集だったね。阿佐ヶ谷時代に足繁く通った「潮州」のレシピが載ってるってんで買ってみたけど、なんというか、これじゃ、単なる東京の餃子屋ガイドだナー。

せめて餃子の具についての考察(特にキャベツ/白菜/ミックスの三つ巴論争)や、ジューシー感のコントロールについては掘り下げてほしかったのぅ。

小堀遠州のお庭

連休中、車でちょっとだけ遠出をしました。遠出と言っても、浜名湖にしらす丼を食べに行こうとしただけなのですが、すさまじい人出で、どこもかしこも大行列。

うんざりしたので方針を変更。あまり人気のなさそうな、龍潭寺というお寺に。

ここは小堀遠州が作庭したことで知られるんですが、運が悪いことに、ちょうど屋根の瓦の改修をしていて、肝心の庭にも足場が組まれていたりで、ベストコンディションとはいかず。それでも、まあなんというか、侘び寂び的なものを感じることはできました。

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こんなふうに、鑑賞用の舞台が緊急設置されてた。本当なら、写真の左奥のほうから、もっと引いて見ることができるはずなんですがねえ。

話のタネにと、うなぎアイス。山椒をかけて食べる。うーむ。

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お祭り

GW中は実家の浜松に帰っていた。この時期は、地元のアホウどもが狂乱する浜松祭りがあるんだけど、久々に法被を着てウロチョロ。

地元の子供たちにとっては、大概の「悪さ」を覚えるのもこの祭り。悪さといっても、酒タバコの類いだけれどね。それゆえか、私が子供だった頃は、中学生になると参加自体が禁止されていた。もちろん高校生なんてもってのほか。

実際私も、この祭りの夜の部で「練り」ってのがあるんだけど、子供の頃は大人に交じってガンガンこっそり呑んでたもんです。

今では緩和されたらしいけど、まあ、そーいう祭りなのよねえ。

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町内単位で「組」が違うんだけど、中学3年のとき学区が異なる隣町に引っ越しちゃったので、いわゆる幼なじみとは会えなかったばかりか、知ってる人もほとんどいないという有り様。それでも、何十年ぶりかに、あの雰囲気を味わってきました。

報道では148万人の人出があったそうだけど、見物するだけってのはツマランのじゃなかろうか。余計なお世話だけど。

東京への道すがら、沼津で寿司を食ったり柿田川(何度行ってもいいところだ)に寄ったり。連休中の静岡はそこらじゅうで桜えびフィーバーなのよね。好きだけど。

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そういえば、沼津の飲み屋で食った「まご茶」が最高に美味かった。まご茶ってのは、いわゆる漁師料理。全国に似たようなのがいっぱいありそうだけど、この呼び方は伊豆あたりでよく見かけるかな。

なんてこたない、旬の魚を細かく叩いてヅケにしてご飯の上にのっけて、大量のネギとアツアツの出し汁をぶっかけて食うというもの。鯵とかとか鰹とかがポピュラーだけど、ちょうど鮪だったからか、とにかく絶品。写真を撮るのも忘れて一瞬で完食である。

あ、これをイワナでやればいいのか。

Memphis,TN

GWの浮かれ気分をどん底にまで突き落としてくれた、あのニュース。だけど、いつまでもイジイジしてはいられないぜ!

もうね、おかげでこの連休中はずうっとこの曲を聴いてた。RC時代を通しても、じつはいちばん好きな曲かもしれない。1992年に、ソロ名義で出した『Memphis』っていうアルバムのラスト。『MTN』。

僕は歌を書くのさ
Memphisの街の 名誉市民の僕だから
信じがたい事だろ baby 本当の話さ
Otisの街で 今日も汗をかくのさ

MTN/Kiyoshiro Imawano & Stephen Lee Cropper

タイトルのMTNとは、Memphis, Tennesseeの略なんだそうだ。

確かに信じがたいことだけど(笑)、なぜかMemphisの名誉市民になった忌野清志郎が、その思いをストレートに表現した曲。バックはもちろん、Booker T. & the M.G.’sという、笑っちゃうくらいR&Bな曲。FA FA FA FA〜♪ってのが、オーティスばりにイケてる曲。そして、とてもとてもハッピーな気分になれる曲だ。

ひょっとしたら、スタジオ盤よりも、MG’sを従えた日本ツアーのLive盤のほうがお勧めかも。トランジスタ・ラジオとかDock of the Bayとかカバー満載で相当貴重だし、なにしろ、ノリがものすごくよいからね。

 

iTSで試聴するにはこちら(オートプレイにしてあります)
iTunes Storeで『Memphis』の『MTN』
iTunes Storeで『Have Mercy』の『MTN』

中学生の頃、はじめて組んだバンドの、数少ないレパートリーには、雨上がりとサマーツアーがあった。

ああああああ、この人には本当に何度も何度も、いい気分にさせてもらったんだなあ〜。改めて、じーんと実感。

もしも君が ここで落ち込んでいたら
僕が力になれるさ 約束するよ
君のためなら

Hey,元気を出せよ

長風呂の理由

個人的に、2008年に購入した電化製品の中で1位と言っていいのがコレ。

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スポーツニュースのハシゴとか
WBSとか
滝クリとか
タモリ倶楽部とか
湯けむりスナイパーとか

ついつい、見入ってしまいます。

防水ワンセグって、もっと画面が大きい製品もあるんだけど、ワンセグの仕様的にもこのくらいがちょうどいい。風呂場というと密室ですが意外と感度がよくて、画質も満足できるレベル。

おかげで風呂上がりは体が真っ赤。ベランダでご近所のみなさんにご開帳する日々である。これで奇声をあげたら、草彅くんみたいに逮捕されるかもしれん。

※「彅」という字については、今回の事件の裏でさまざまな議論がなされている。基本的には、ネット上で積極的に使うことは推奨されないとは思うんだけど、天の邪鬼なのであえて使ってみた。もちろん、これをメールにコピペなんぞして送ったりすると、アウトな可能性はけっこうあるんだけどね。ただ、なーんも考えずに、「なぎは弓へんに剪」ってのもどうかと思うんだよね。李承燁もだけど、はやく世の中がUnicodeで天下統一されればいいのに。