花わさび甘酢漬け

静岡県が誇る銘産、一番手はお茶かもしれないし、二番手はうなぎ?(じつは昨今はうなぎよりスッポンなんだが)

だが忘れてもらっちゃ困るのが、山葵である。全国的には田丸屋のわさび漬けが有名なのかもしれないが、ジモト的にいうと山葵といえば「野桜」さんだ。

コロナで一時は安政年間から続いていた店を閉じてしまったらしいのだが、最近になって復活。よろこばしい。

その野桜さん、もちろんわさび漬けも非常に美味、というかジブン好みなのだが、山葵の茎を酢で付けたものがあって、これがまたいわゆる三杯酢みたいなしっかり醤油が入った茶色なものではなく、限りなく甘酢に近い感じだったのです(商品名わからん)。

どっちかというと酒の肴なんだけどね。

昔は実家の浜松にも支店があって買えたんだが、すっかりご無沙汰となり何年も経つ。それを伊東のスーパーで買ってきた花わさびで再現しようと思いまして。

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2023春のアオリイカ

潮目も天候も良さそうだってんで、懲りずに伊豆で餌木をシャクってきました。

今回の釣果は、1パイ。

朝マズメで訪れた某岬で師匠のKちゃん含めてアタリすらないという惨状から始まったものの、日がある程度高くなってきたところで見切りをつけて移動して、どうにか昼前にゲットできた。

夜明け前

昨冬に初めて釣ったときは、どちらかというと「出会い頭」感があったが、一連のアクションからアタリへの反応、取り込みに至るまで頭で描いていたイメージ通りに進み、「なるほどこういうことか」と。終始落ち着いて対応できたのが、ちょっとレベル上がった感がある。

ちょうどKちゃんが仕事の言い訳の電話をしに、電波が届くところまで走っていった直後のことだったので、ポツンとひとり磯場にて快哉を上げた。

こーいうロープ束ねを見ても、特になんも感じなくなった
磯には磯の流儀がある

入浴&仮眠後、夕マズメも攻めた。根掛りしやすい場所ということで、エギロストも2回発生してしまったが、今回は老眼鏡を持っていったので仕掛けの再セッティングもまったく問題なし。

南伊豆の銀の湯会館そばの土手、その美しさよ

いろいろ餌木をローテーションしながら攻めたが、う〜ん、まだまだシャクリが甘いのか、ヒットせず。

アプローチが長かったなあ

Kちゃんは都合4ハイ。さすがッス。うち、ひとつはメスだったので良型だったけどリリースしていた。釣り過ぎちゃうとイカがいなくなっちゃうんで、というその考え方はまったくもって同意である。

右の大きい方はキロオーバーかな

日帰りも可能ではあったが、安い定宿の部屋が空いていたのでチェックイン。向かいの寿司屋で晩飯を食ったのだが、そこで出てきた花山葵がべらぼうに美味かった。聞けば、この時期はそのへんのスーパーで花つきの山葵の茎を売っているという。翌朝立ち寄り、実家の分と併せて大量に買い込む。

ひと束295円で上の写真は三束ぶん
伊東のスーパーナガヤにて購入、ぜんぶ甘酢漬けにしちゃおうっと!

伊東では、佐野実の弟子がやってるというラーメン屋も堪能。じつに正統派でしみじみ美味いラーメンだった。行列ができるのも頷ける。


帰宅後、疲れきってはいたが小出刃を握ってイカを捌く。もう慣れたものだが、今回は墨と肝もきちんと食べたいので、丁寧に処理。肝ヨコの部位がいちばん美味いらしい。


今回、肉チャーハンの末広亭には行けなかったのでそれが心残りである。春のシーズンが終わらないうちに、あと1回来られるといいなあ。

ジャズピとストリングス

BlueGiantがイイってんで、どうせ見るなら立川かなあとボヤボヤしてるうちに日々が過ぎていく……。家人はこっそり府中のTOHOで見てきていて、すごかった、よかったと鼻の穴を膨らませている。ううむ。


私の故郷・浜松が産んだ三大ミュージシャンといえば、鈴木惣一朗、高野寛、そして上原ひろみである。永らく「楽器の街かもしれないけれど音楽の街ではない」と揶揄され、ホゾを噛み、地団駄を踏み続けてきたが、上原ひろみの登場によって立場は逆転。

ツアーも、必ず浜松に立ち寄ってアクト大ホールで演奏してくれているようだし、ピアノはもちろんYAMAHAだし、北高出身だし(頭いいんだよなあ)、まさにジモトのスーパースターだ。

彼女がピアノを始めたのは6歳と、ちょっと遅め。だけど、最初に師事したピアノの先生というのがけっこう有名な方で、この方が彼女にジャズを吹き込んだ(?)のかしら。そのへんの経緯はよく知らない。


上原ひろみといえば、何かが憑依したかのようなプレイぶりが有名だよね。個人的にはソロが好きだけど(というか、ソロであの迫力!)、じつは弦楽四重奏とのクインテットの「Silver Lining Suite」が超絶お気に入りなのである。

とにかくカッコいい!曲もいいけど、こんなにもジャズピとストリングスの相性がいいのかとビックリするよ。

あー、これ出たときのライブ行きたかったなあ! 次のチャンスがもしあるのなら、何を置いてでも行きたい!

ということでYouTubeからいくつかつまんでおきます。

Silver Lining Suiteのリード曲
何度聴いてもイントロで震えてしまう、実にカッコいい名曲!

とにかくスケールの大きい曲、それがまた弦楽四重奏によって更に高まっている

海外のノリの良さよ!やっぱり日本人リスナーはおとなしいんかなあ〜

初ヒット

2022の春シーズンは丸坊主だったが、冬はリベンジの季節。12月某日、またしても師匠のKちゃんと伊豆へと向かった。

稲取の末広で、稲取名物B級グルメの肉チャーハンを堪能したり。

これがべらぼうに美味い!

時合もよろしい頃合いってことで、ポイントに下りて典型的な夕マズメ。

わかる人には「あそこか〜」とわかるはず

来ました!人生初のアオリイカちゃん!

日没後はコレだろと選んだ赤テープのエギに、ガツッと食らいついてくれた。なかなかに引きが良く、重い。こりゃ大物かなとワクワクしたが、500〜600㌘といったところ。

季節的にサイズはこんなものらしい。だが、ありがとう!ありがとう!


その後、伊東に移動して祝杯。タイ料理屋で、「これ呑んだら今夜タイヘンなことになるよ〜」という1杯300円の謎のドリンクをカパカパ空けたり。


翌日も石廊崎あたりを攻めてみたものの、残念ながら成果はナシ。

というか、暗いのと老眼で仕掛けのセッティングがままならなくなる、という情けない現実に打ちのめされたので早々に納竿したのだ(おまけにこの日はクロアチア戦があったので急いで帰京した)

春先の2キロものとは異なり、ちゃんとまな板サイズ。

捌き方も前回にならい、テキパキと片付ける。今回はピチットシートでしばらく脱水してから冷凍保存した。より甘みが強くなるような気がするけど、やらなくてもよかったかな〜という程度。


なお今回も、ビニールロープを束ねてあるだけの垂壁を苦笑いしながら下りたりして、改めて磯の人たちはクレイジーであると再認識したのである。

やたらと束になってたのは、紫外線でヤラれていくつか切れたとしても、いっぱいありゃ何本かは生きてるから大丈夫という理論なのだろう…

皮を剝くのが難しい

そういえばイカの話が途中だった。今回はアオリイカを捌く話。

魚屋でよく1本まるごとで売ってるイカ(だいたいスルメ)とちがって、アオリイカ最大の難点は外皮。とにかくガンコで強くて苦労する。

ふつうのイカなら、ぬれぶきんやキッチンペーパーでゴシゴシやったりすればいいのだろうけど、アオリイカはそうはイカない。YouTubeなんかを見ても、プロの板前さんなんかは技量があるぶんサッサと包丁で削ぎ切りにしちゃう人が多い印象。


丹念にググっていたら、まさにコレ!という記事を発見。そこで紹介されていた動画はじつに理にかなった方法で外皮の処理をしている。パーツごとにバラしたら、身の部分に大胆に包丁で切れ目を入れてパワーで剥いちゃう、というやり方。

イカを捌いたことがない人にとってはナンノコッチャでしょうが、どっちみち食べるときに切っちゃうんだから問題ナシ。


それにしても、初めて行ったときに師匠のKちゃんにいただいた2キロオーバーは、捌くのに苦労した。春の産卵シーズンだと、こげな大物にも巡り会えるんじゃねえ。

で、でかい〜!まな板2枚重ねてもはみ出していた……
胴体、手足、エンペラ、クチバシへと無事に解体完了
イワシといっしょに食卓に並べてみました

イカは釣りたてであればあんまりアニサキスの心配しなくていいという人もいるけれど、冷凍するなどして寝かせたほうが熟成されて美味いという説を支持しているので、何回か分に切り分けて冷凍保存した。

半日くらいかけて自然解凍させれば、モチモチ食感のアオリイカがいつでも楽しめる。上の、食卓に並べたぶんは、たぶん胴体の1/4くらいだと思う。


「食べる魚を、食べる分しか釣らない」をモットーに生きているが、アオリイカは冷凍が効くし、まさにうってつけのターゲットだなあ。

あれから12年

西新宿のオフィスにいて、揺れが収まったタイミングで新宿西口公園に避難。似たようなサラリーマンで広い公園内がごった返していた。

電車は止まってるし道路は大渋滞。タクシーも絶対つかまりそうにない。コンビニ行ってメシ買おうと思ったが、カップ麺は売り切れでめぼしいものは残ってない。

オフィスに戻ると、ウチの総務がコンビニで買い占めてたことがわかる。苦笑いで食料を受け取る。


当時、ハラボテだったカミさん。0時すぎになって地下鉄と京王線が動き出したという情報を得て、一緒に初台から新宿行きに乗車し、折返し運転での帰宅を目論むとドンピシャ。府中まで各駅停車でどうにか座って帰ることができた。

帰宅困難で難儀した人たちに比べたら楽だったんだろうと思うけど、それでもひどい一日だった。テレビで見た津波の映像。心身ともに疲れ果て、泥のように眠った。


12年後のきょう、大宮のナクスタで平和にサッカー観戦。あの年の夏に生まれた娘は今年12歳。

世界で、日本で、あるいは身の回りで。相変わらず理不尽だったり不幸なことは起きている。


それでも、感謝したい。

なんてことのない日常が、何よりもかけがいのない幸せであることを毎年思い出す。