とある最終講義

大学時代の自分には、言いたいことが山ほどある。でも突き詰めれば「もっと勉強しときゃよかったよなあ」に尽きる。

自分さえその気になれば、学べることはいくらでもあったはずなのに、当時の私ときたら授業をサボり、遊ぶことばかり考えていた。典型的なダメ学生だった。

もしやり直せるものならば……とは愚問だが、もしいま時間があれば、興味があること色々を、勉強することに費やしたい。尻の青さが匂うがごとくの、アカデミック(ふう)な議論なんてものも、してみたい。いわゆる「ゼミ」とはまったくの無縁だったし。

そんな私も、長い長い学生時代で、いくつか興味深い講義に出会うことができた。芸術論だったり、シェークスピアだったり、ゲーテシラーだったり、中東関連だったり。そしてこのお方も、そのうちのひとりだ。

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最終講義と銘打ち、約90分の講義をカナダ大使館で行うというので、参加してきたのです(正確には、会場が混み合っていたので遠慮して外でモニターを見てたw)。感想は、「相変わらずお元気でした」のひとこと。ダジャレのセンスも昔と同じレベルでした。放送大学の教授をやっていたようで、そのスジの方々がいっぱい来ていたな。

「カナダ大使館の中で“エスキモー”だなんて口にしたらタイヘンなことになる」とか言いながら、ガンガン言いまくりとかね。

講義後の打ち上げ的な会場でちょっとだけご挨拶したら、ニコニコして「キミのこと、覚えてるよー!」などとおっしゃる。まかり間違ってもそんなことはあり得ないのだが、こうした気配りというかお人柄も、じつに「らしい」。

個人的に、アイヌ関連の話題がもっと聞きたかったのだが、時間切れで消化不良だったのが残念。だが、こんど白老にとうとう「国立アイヌ民族博物館」ができるようだし、研究者としては引退もなかろうから、またどこかげお元気な姿を拝見できればと思う。

会場外のモニターを撮影したスライドを、いくつか掲載しておきます(無断掲載だヨ!)。

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エスノセントリズムという言葉は、彼の講義を受けた人ならばよ〜くご存知のはず。学問の面白さは、突き詰めると自分の固定観念なんかがブチ壊されるときの快感的なものなんじゃないかと思っているんですが、そうした瞬間に少しでも出会えただけで、大学に行ってよかったのだなあ、と感じる。

重ねて書くが、自らそのチャンスをいくつも放棄したあの頃の自分には、本当に言いたいことが山ほど(ry

ともあれ、長い間、ほんとうにおつかれさまでした!

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寒い夜には湯豆腐♪

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かつお節を削ります。我が家では、「おかっかかく」と言います。あるいはヨメに「おかっかかいといて」と言われます。

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冬場は乾燥してるので、なかなか上手く削れません……。修行が足りない。あと、自家製のつゆを用意します。これは豆腐にぶっかけるものです。

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昆布を張った鍋に豆腐を投入します。

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豆腐をすくって、つゆをかけて、七味と鰹節を好きなだけかけます。佐倉の七味屋さんに感謝です。本当は刻んだネギとかあるといいんですが、この夜は手抜きで割愛しました。

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やっぱり湯豆腐には日本酒が合いますよネ。最近は、あさ開のよさげな吟醸をフルボトルで楽しんでおります。あえてロックで。

復興支援的衝動買い〜その1

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言っておくが私はいわゆる鉄オタではない。ただ、愛読している週刊漫画アクションにて、三陸鉄道の被災レール販売のことを知り、ちょっと調べてみたら購入できることがわかったので、注文した次第である。

東日本大震災により大津波で三陸鉄道は大きな被害を受けました。前回、島越付近の被災レールを販売したところ一日で完売となり、多くの皆様から「購入したい」旨のお声をいただきました。そこで今回は被災区間の中で、津波により損壊した盛〜陸前赤崎間田茂山踏切地点(盛起点750m付近)のレールをメモリアルプレート付台座に取り付けて販売することといたしました。復興へのご支援に是非、ご購入ください。
三陸鉄道HPより)

なんかね、「前回は1日で完売」ってあるけれど、2回目はまだまだ在庫がありそう。自宅に届いた物は、ロットナンバーが「180/400」だった。

来月は震災後1周年ってことで、みんなそれなりに思い出したりするんだろうけど、被災地に対する支援の意識というのは明らかに減衰しているように思える。それが、こーいうところにも現れているのかなあ、とかボンヤリ思ったり。それとも奇特なオタ野郎どもには、前回販売ぶんですべて行き渡ったのか、そもそも製作数の問題か。

ところで、実際に届いた被災レールだけども、さすがにホンモノだけあってズシリと重く、ひんやりとしている。

何かの役に立つのかと言われれば、うーん、ぶっちゃけない。何かの「重し」として使えるくらいだろう。とりあえず、書棚の仕切りとして活躍中。

れもん屋、最後の夜

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直前に知った。

いまの店舗が飯田橋西口の再開発のアオリを受け、閉店することを。ていうか、前日だよ。まさか昨日、月曜日が最終日だったなんて。

情報筋によると、店主は飯田橋近辺で新しい店舗を探して再出発する意向をお持ちのようだ。とりあえずの安堵。

とはいえ、あのコ汚い素晴らしい空間が、昨夜限りだったことは変わりない。せめて新しいシーズンが始まる前に、次の店を決めてほしいな! 今年は期待の新人もいるし、カープまわりも面白そうなだけにね!

れもん屋、最後の夜。行列に並ぶ客たちは当然知ってただろう。わたしは所用があり、涙をのんで飯田橋を後にした。

さらば、昭和のお好み焼き屋よ。

七段飾り

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カミサンの実家に行き、ひな人形のセッティング。

40年前、つまりカミサンの初節句で買ったものらしく、かなりの年代モノ。畳二畳をガッチリ占拠し、容赦ない迫力である。女っ気のない家庭で育ったので、いろんな意味で目が点。

「持って帰る?」
「いえいえいえ」

セットアップに1時間くらいかかったけど、こりゃ片付けるのも難儀だなあ。

名も無き男の死



その人のことは、何も知らない。

年齢は、外見から判断する限り、初老といったところ。でも名前も出自も、おそらくは誰も知らない。

府中駅前から甲州街道まで伸びている通路の、TSUTAYAの奥。階段付近に花が手向けられていた。

たぶん、彼が亡くなった。先月末の雪の頃のこと。あのへんをねぐらにしていたのだろうか。思わず手を合わせた。

昨今はすっかり「ホームレス」という呼び方が定着しているようだが、あえて言えば、彼は昔ながらの「乞食」スタイルだった。

今どき珍しく、目の前に空き缶を置き、人通りの多い駅の構内でじっと正座したまま動かない姿を、しばしば見かけた。

もっともそれは「副業」だったのかもしれない。ふだんはアルミ缶を集めたりして、どこかにブルーシートや段ボールでこしらえた家があったのかもしれない。本当のところは、私にはわからない。

身の回りの近しい人間や好感を抱いている著名人を除けば、誰かの死は所詮、他人事にすぎないのかもしれない。

ガードレールに置かれた酒や花束は、記号でしかない。人身事故で電車が止まると、それが意味することを分かっていながら口の中で悪態をつく。そして新聞やテレビは日々、誰かの死を機械的に伝える。

でも府中駅の構内で、寒い日もじっと動かず俯いていたあの人のことを思うと、ちょっとだけ心が痛む。

過去、彼に対していくばくかの施しをしたわけではない。逆に、施しをしなかったせいでもない。

結局のところ彼が自分にとって、まったくの他人よりも近いところにいたということなのかもしれない。

「これだけ色んな人に思い出してもらえたなら、成仏してくれるかな」

そんなネットの書き込みに、ちょっとだけ心が救われた。

手風琴を買う

村上春樹作品で一冊だけ挙げよと言われれば、迷うこと無く『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を選びますよ、という皆様。いかがお過ごしでしょうか。

衝動買いですが、手風琴を注文しました。世界の終わりパートで、主人公が手に入れて奏でて、「ダニー・ボーイ」のメロディーを思い出すという、あの手風琴です。英語だと、Concertina(こんちぇるてぃーな)。ボタンの数とかコード設定とか、いろいろあるんだけど、USのAmazonでいちばん安い20ボタンのヤツを教則本とともにゲット。合わせて150ドルくらい。

イメージしづらいかもしれないけど、こーいう楽器ね(下の画像は、かなり高級な機種です)。

なんかね、手軽な楽器が欲しかったのですよ。ギターってやっぱりデカイし、ハーモニカは口が塞がれちゃいます。手風琴でプカプカ音を出しながら、唄を歌ったり会話をしたりしたいなあと思って。

基本、ムスメとじゃれるのが目的なので、到着したら毎日ちょっとずつ練習しようっと。

府中の適当なイタリアン事情

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エスニック系はからっきし弱いのに、なぜかイタリアン・レストランが充実してる(というか店の数が多い)のが府中の謎。

ひととおり、味わってみての個人的な感想なので、食べログのステマ投稿的に受け取って頂ければと思うのですが、ランチに限定すれば、最も美味い店は(くどいようだが個人の独断と偏見に拠るものですが)、旧甲州街道沿いにある、cafe i pini (カフェ イピーニ)です! ココ以外あり得ない!断言。

名前からしていわゆる「カフェ」ですが、元々材木屋だった天井の高い建物をリフォームしたってのも、いかにもイマドキの「カフェ」っぽい。

なのに、供されるパスタのレベルの高さたるや!

前菜アリのセットで1380円とかそんな感じ。この前菜も、6種類くらいがかわいらしく盛りつけられてて、バカリャウとかもうね、思わずスプマンテを昼間っから喰らいたくなるほどなんですわ。ていうか、いつもオーダーしちゃうけどね、スプマンテ。

先週だったか、娘をベビーカーに突っ込んでお邪魔したときの、トマトと鯖のリングイネ(だったかな?)も絶品でした(上の写真ね)。

ほかにもいくつか、イイ店があるのですが、また機会があったら書きます……。

踊ろうマチルダのこと

(遅まきながら)素晴らしい音楽に出会えた。そういうお話。

●踊ろうマチルダ@TheKEG(花巻)



じつはいま、娘とカミサンを実家に押し込んで、束の間のフリーダムを満喫中。この週末は一人で映画館に出かけたり、年末年始に録りためたドラマや映画なんかを消費した。

『開拓者たち』は堪能したなあ。満島ひかりが、想像していた以上に素晴らしい女優であった。

あとね、『とんび』というドラマ。本編は、なんだか昔懐かしい銀河テレビ小説っぽい雰囲気というか、ある意味単純明快で、楽しめました。びっくりしたのは、そのED曲。

前編を見終わったときに、すでに頭に引っかかってたのですが、後編を最後まで見たあと、さらにもう一回エンディングだけを巻き戻して再生。

「踊ろうマチルダ/箒川を渡って」とある。歌詞の内容からして、前者がバンド名のようだ。

ピンと来たのは、トム・ウェイツ。

リフレインで“Waltzing Matilda”と繰り返す曲があって、「Asylum Years」というベスト盤にも入ってるのだけど、これが実にトム・ウェイツらしいというか、印象的なナンバーなのですね。

確かに、歌い方もトム・ウェイツっぽいしゃがれ声だったし、てっきりそこからバンド名が付けられたのかと思ったのだけど、気になって調べてみたらそうでもないことがわかった。

まず、前述のトム・ウェイツの曲は”Tom Traubert’s Blues”というタイトルなんだけど、これがそもそも、“Waltzing Matilda”というオーストラリア発祥の曲をモチーフにしたもの。マチルダという女性がワルツを踊るという意味じゃなくて、詳しくはググっていただくとして、一言でいってしまえば「放浪」を意味する。ファーストガンダム世代なもので、ずうっとこの曲のマチルダというのは、特定の女性名とばかり思っておりました。

YouTubeなんかでも、オリビア・ニュートン・ジョンが歌うオリジナルの“Waltzing Matilda”とか、すぐに見つかります。国歌にしようという動きがあるほど、オーストラリアでは親しまれている曲のようだ(日本でいうところの『上を向いて歩こう』に近いかも?)。

トム・ウェイツの曲は、ロッド・スチュワートとか色んな人にもカバーされているけど、原曲をもっとメロウにした感じなんだよね。

で、「踊ろうマチルダ」のこと。

すっかり夢中になってYouTubeを漁ったり、iTunesで買えるものは購入したりと、まさにハマってしまったわけですが、このネーミングについて説明している動画もあり、それによると、やっぱりオージーのオリジナルの曲が由来っぽいですね。トム・ウェイツの影響も少なからずあるんだろうけど。

いやあ、なんというかこの時代に、こんな変態的なユニットがあるとはなあ。それこそトム・ウェイツとか、ニール・ヤングとか、ボブ・ディランが好きな人であれば、何かしら接点がありそう。でも歌詞なんかは、もろドメスティックというか、無理やり感がないというか、すごくマッチしてます。そういう意味では、大昔のエレカシとか好きだった人にもおすすめ。

活動を開始したのはけっこう前のようなので、これまで自分が知らなかっただけなんだけど、久しぶりに魂震える素晴らしい音楽に出会えた。若い連中も捨てたもんじゃないよねぇ。ライブ行ってみたいなあ〜。

●箒川を渡って(ドラマED曲とは別のオリジナルバージョン)


●踊ろうマチルダ(Waltzing Matildaの前説アリ)



●ライブハイライト(公式)



ところで、同じく「マチルダ」を冠するバンドがもうひとつありまして、私はずうっとこのバンドの(中心人物の)ことを書きたくてたまらないのに、書けないでいる。何年ぶりかのセカンド・アルバムを制作中らしいので、なんとかそれまでには仕上げたいのだが、はて……。

おでん

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前日、大根とゆで卵を一番出汁で煮込んで下ごしらえ。

あとはいわしはんぺん、ロール白菜、長崎の「アゴ」を団子にしたやつとか、ドボドボと投入。出汁を取るときに使った昆布も、忘れずに。ある程度煮込んだら完成。

二日目が美味いので、全部は食べきらず、タネは少々取っておく。

もっと大きな鍋が欲しくなってきた。

ロール白菜

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白菜がひとつ、ドカンとあったわけです。冬の白菜は美味いんだけど、なかなか消費が進まない。白菜豚バラ鍋もありきたりだし、どうしたもんかと悩んだ挙げ句、ロールキャベツを白菜で作ることにしました。

玉葱刻んで、肉をこねて、白菜で巻いて、ちょうど食材棚にあったのでかんぴょうで巻いて。ハンバーグ作る感覚に近いかな。

白菜は、ちょっと茹でたほうが巻きやすくなりますね。

いくつかは、おでん用に冷凍ストックするのを忘れずに。