妻実家より、この季節のお楽しみ、とうもろこしが一箱届いた。
とうもろこしは、収穫後の劣化スピードが速いので、速攻で処理する必要がある。が、どうにも我慢しきれず、ナマで頂いた。
味来という品種は、ナマでもいけるのが素晴らしい。もちろん、茹でればもっと美味いんだけどね。
帰国してずいぶん立つのに、まだやってんのかよ!と我ながら腹立たしくも思いますが、強引にまとめに入ります。いろいろトピックを立てたかったのだけど、もういいや。
まずは、最も感動した食べ物から。
ヤンキースタジアムの通路に出てた屋台の、チーズステーキです。牛肉とタマネギをスパイシーに炒めて、チーズを乗せて溶けたところをパンで挟む。球場メシとしては、相当にレベルが高いのだけど、あんまり期待してなかったぶん、その美味さに驚いた。カロリーも高そうだが。
帰国後調べたら、これってフィラデルフィア発祥の、相当ポピュラーなファストフードみたいね。なるほどー。日本の球場でも食えるところあるのかなぁ。
日々、飲んでたビール。ブルックリンラガー。この写真はサマーエールだから季節限定ブリューだけど、ホテルでは毎日、このローカルビールを飲んでいたなあ。普通に美味いっす。
レストランでも、ローカルビールは何がある?と尋ねると、だいたいコレを勧められた。NYは結構ローカル愛に溢れた都市で……、というか東京がおかしいのかもしれないけど、地元意識がすごい強いよ。
地元愛といえば、例えば書店。日本でも書店がどしどし潰れてたりしますが、アメリカでも状況は似たり寄ったり。昨年だったか、大手書店のボーダズが倒産したのは大きなニュースでした。
やっぱりAmazonの影響は相当大きくて、街の小さな書店は風前の灯。
そんな状況の中、たとえばブルックリン地区では、市民への「どんな施設がこの街には必要か」というアンケートで「書店が欲しい」という結果となり、本当に本屋さんができたりしている。
もちろんこれにはいくつかの要素が重なってはいるんだけど、書店をやりたいという人がいて、それを支援する自治体があって、店舗物件を探す人や内装を安く手伝う企業や、さらには(最も重要なことだけど)歓迎する顧客がいっぱいいるから実現したこと。
「オラが街の本屋さん」を大事にするという文化は、ちょっとうらやましいというか、まぶしすぎてクラクラした。だって日本だったら、自治体にどんな施設が欲しいかとか聞かれたら、ジャスコとかツタヤとか、そーいう回答ばかりになりそうだもんなあ。
もちろんこういうのは、NY近郊のような民度の高い地区に限ってのことなのかもしれないけど、改めてアメリカという国の底力を実感した。
上の写真は、ある本屋さんの店頭にあったメッセージ。「ここで本を見つけて、ここで買ってください。ここにいさせてください」とある。一見、悲壮感漂うが、店内にはお客さんがいっぱいいた。店舗側からの一方的なものではなく、顧客も状況をよく理解しているのだね。
最後に街角スナップをいくつか。マンハッタンは意外と狭くて、ちょっと歩くといろんなところに行ける。業務の間、できるだけ歩くようにしてフラフラしていたのだ。痩せるし。
工事中の建物。香港の竹足場ほどのインパクトはないけど、ネットの色がオレンジなのがアメリカンなのかしら。
NY大学あたりの公園で、噴水の池でコインを拾うおねえちゃん。
なんとNYにもお好み焼き&タコ焼き屋があった。生まれ変わったら、NYでタコ焼き屋台を引きたい。絶対サクセスする自信がある。
中古レコード屋で、ヴァン・ヘイレンの隣に松田聖子。
街角の灰皿。アメリカは禁煙先進国のようでいて、意外と喫煙者に寛容ですな。屋外では吸い放題。観光客かもしれないけど、歩きタバコしてる人もけっこう見かけた。
雨が降ってて、疲れ果てたときに乗った、自転車タクシーから。初乗り$5、アヴェニューごとに$3、ストリートごとに$1。
というわけで、束の間のNY State of Mind、これにて。
本当は、NY滞在中、毎日死ぬほど食べるつもりだった肉。ビーフ。ミート。
朝はともかくとして、昼ハンバーガー夜ステーキみたいなのが連日続いて、たまに箸休めでオイスターバーかなとアホっぽく、それでいてソコソコ真剣に考えていたのだ。
NYに着いた翌日、最初の朝メシはパストラミサンドでガッツリ決めるゼ♪と能天気に思い立ち、ホテルの近所のデリに颯爽と入り注文したところ……、こちらの想像を遥かに超えるメガ盛りというかギガ盛りというか。
アメリカの食事の量がクレイジーなのは分かっていたんですけどねー。初っぱなからギブアップ。ドギーバッグをもらってテイクアウトである。いや、美味いは美味いのだけど、やはり量が……無理。あとで調べたら、盛りの良さで有名な店だったようで、トホホ。
この先制パンチのおかげで、意識が肉から遠ざかってしまいました。忙しすぎたのもあるけれど。
ココロの傷が癒え、ようやくステーキにありついたのは最終日の夜。
NYにはいくつか、地元っ子も絶賛な有名な店もあるのだけど、さすがに予約が必須かつ面倒そう。それがたまたま、ホテルの近所にドライエイジドビーフをウリにした店がポツンとあって、えいもうどこでもいいやとチョイスした次第です。
とはいえ予約はしたほうがよかろうと、MoMAに出かける前に直接店で聞いてみた。20時なら大丈夫だよと言われホッとする。近所は劇場がいっぱいあるので、そこそこ客が来るのかもしれない。
迷ったあげく、頼んだのはプライムリブ。かなりでかいが、これなら食えるゼとかぶりついた。熟成香が鼻を抜ける。日本だとなかなかない肉質である。要するに、美味い。
エッホエッホと切り、食べて、意外とアッという間に完食。ひょっとしてもう1枚イケるかもしれん……と真面目におかわりを検討したが、僅かに残った理性が押しとどめてくれた。
ローカルビールとクリームスピナッチで胃袋を埋め、部屋に戻って爆睡。
【追記】熟成庫の写真の存在を忘れていた……。
帰国前日になって、ほんの2時間程度ではあったけれど予定より前倒しでスケジュールが空くことになった。
となればNYのもうひとつの美術館、MoMAに行くしかない。メトロポリタンは大貫妙子姐さんへの義理みたいなもので優先度が高かったわけだが(笑)、どちらかというと本当に見たいものはMoMAにあった。
それは「睡蓮の間」。モネの睡蓮がどかーんと置いてあるという、その空間である。
晩年、モネは数多くの睡蓮を描いたそうで、世界中の有名な美術館が所蔵している。NYのMoMAには、そのうちの2つがあるわけだ。モチーフとしては見ての通り、淡いものではあるが、とにかく存在感の圧倒的なこと。
部屋の中央にある椅子に腰掛けて、しばらくの間ボーッとする。振り返ると、もうひとつの睡蓮がある。なんという贅沢。
絵画というものを見るたびに、美術関連の書籍やネットの画像とホンモノとでは、本当に雲泥の差があることを実感するわけで、まさにベンヤミンが言うところのアウラなわけだけど、この「睡蓮の間」ほど強烈な体験は、なかなかできない。
作品そのものがでかいこと、それが2点配置されていること、そしてさらには、自分を含めた数多くの人々が同時に絵の中に没入している感覚を共有できるのが大きい気がする。
聞けば、パリのオランジュリーにも巨大な「睡蓮の間」があるそうだが、そちらに行く機会があるかどうかは……、さすがに厳しそうだナー。
そういえばMoMAでは、卒論のテーマにしたクルト・シュヴィッタースの作品に出会えたことも嬉しい収穫だった。もっと真面目に取り組めばよかったなあ〜。
ことさらヤンキースにこだわってたわけじゃなくて、日程的に選択肢がなかったのだ。メッツはホームの試合がなかったし。さらに言えば、相手がTampaBayというのも単なる偶然。チケットを手配した時点では、日本で言うとヨミウリvs日ハムっぽい感じかなー、くらいにしか思っていなかった。
なので、リトルじゃないほうのマツイが最終的にTBの3Aと契約したと聞いたときも「ふーん」程度の感想だったし、3Aですら成績が今イチというニュースは知っていたので、渡米直前にメジャー昇格したときにはお茶を吹きそうになった。
ちょうど主軸のケガかなんかで、どうにか外野も守れるしってことで昇格即スタメン。しかも、なぜかすぐに結果を出すあたりさすがというか。
そんなわけで、偶然にもヒデキ・マツイのNY凱旋シリーズとなった6月6日、ミッドタウンでの仕事を終えた後、地下鉄に飛び乗ってヤンキースタジアムまで行ってきました。
本来なら地下鉄で20分くらいなのに車両故障で足止めを食らい、結局1時間くらいかかった。到着時で3回表。
まあでも、プレイボールから見なきゃいけないわけでもないですしね。席も、20ドルという安いところ。マリスタだと2Fスタンドの自由席的な雰囲気ですが、ヤンキースタジアムはさすがに収容人数が段違いなので、4F(なのかな?)の最上段スタンドでまったり観戦。
いやー、やっぱり総天然芝の球場はエエねー。絶賛サマータイム中ということもあり、試合開始が午後7時にも関わらず、なかなか日が沈まずトワイライトな時間帯の美しさが印象的でした。
試合内容はというと、両先発が好投しつつもソロHRでリードしたヤンキースが、終盤にさらに加点。ヒデキ・マツイはフェンス手前のNPな感じの惜しい当たりを2回放ちますが、けっきょく無安打。最後の打者に打ち取られ、トボトボと帰って行きました。
それでも、名前がアナウンスされるとNYのファンからも声援が上がるあたり、まだまだ覚えていてくれる人はいっぱいいるのだね。やはりワールドシリーズのMVPというのが印象強いのでしょう。
もちろん55番は、他の選手が付けています。レフトの守備位置にいるのが、むかしの55番。
NY滞在2日目、いきなりチャンスは訪れました。グランドセントラル駅近辺で昼食をとれる機会ができたのです。
NYは地下鉄が発達してるのだけど、ここは古き佳き欧米のステーションって感じで、コンコースが巨大。さらにはメザニン的な位置にグルッと、AppleStoreが入っています。
ここは有名なOystarBarがあるのですね。日本の品川にも出店してるそうだけど。
夜に来ようと固く誓っていたので、昼だと酒も飲めないしどうしようか迷いましたが、いわゆるカキフライサンド的なものがメニューにあったのを思い出し、さっそうとダッシュ。
この店が面白いのは、入って左側はテーブル席で、右側がカウンターなところ。テーブルのほうは団体なんかが並んでたりしますが、カウンターのほうは牛丼屋的な感覚とも申しましょうか、空いてる席にズンズン座ってノープロブレム。
そんな事前情報は仕入れていたので、店先はモロ昼時だったのでかなり混み合っていたけれど、カウンター席のほうに行ったらポツポツと空きがある。本当に吉野家よろしく、U字型のカウンターがいくつかあるタイプで、内側にスタッフがいるという感じ。
着席するとメニューをくれて、ビールを頼みたいところをグッと我慢してオーダー。クラムチャウダーと、カキフライサンドです。
クラムチャウダーは、クリームベースのNew EnglandとトマトベースのManhattanと2種類あるのですが、クリーム好きなもので前者を。ひとくち食べる。美味いんだけどちょっとだけ違和感を感じたのは、ややアタリが強いところ。
全般的に、NYは味付けが濃いような感じがします。といっても比較対象は私の場合サンフランシスコしかないのだけど、日本でいう関東と関西みたいな、アメリカ国内での味付けのトレンドみたいなものはあるのかしら。日本の国土の何倍もの広さなんだから、あって当たり前だけど、サンフランシスコのクラムチャウダーは、フキダシにビックリマークが付くくらい絶品なのだがなあ〜。
そしてカキフライサンド。メニューには”Po’Boy Sandwitch”と書いてあったけど、どうやらPoor-Boyのことらしいですね。Wikiによれば、ルイジアナあたりの発祥のようです。
んで、問題はこのカキフライ。日本のようにパン粉を付けて揚げるのではなく、おそらくはトロッとした小麦粉ベースのコロモのみ。正直、「うーん」という感じでありました。
かねてから、海外(特にアメリカ)でカキフライやアジフライのサンドイッチ屋台を出したらものすごいウケるのではないかと思っていたのですが、それは確信に変わりました。
パン粉を付けて揚げるのと、あと重要なのはソースですね。日本の中濃かウスター。それに芥子。どうせなら和芥子で。キャベツの千切りも添えて、柔らかめのパンで挟むのです。ひとつ6ドルくらいで。20代だったらチャレンジしてみたいんだけど、誰かやらないかね。
ちなみに、どこかで誰かに聞いたけれど、パン粉は「Pan-ko」で通じるくらい一部では人気のようですよ。
まあ、そんな妄想はともかく、ホントはココには夜来て、生ガキと生アサリ(clam)とワインなんかで楽しみたかったのですが、結局最後まで訪れることができませんでした。
食い倒れとか言っておきながら、翌日以降も食い倒れることがまったくできないという悲惨な状況です。さらに、レンタルしたポケットWiFi的なものが、転送量の制限があるので、写真をガツッと送れないのですね。これは盲点だったわー。
AppleStoreに駆け込んで、そこから写真をアップ。NYはAppleStoreだらけなので助かります。
というわけで、初日の続き。
メトロポリタンで閉館まで粘ったおかげでライフがほぼゼロになったのですが、フラフラとセントラルパーク内を歩いてみました。
話に聞いてはいたけれど、確かにデカいですな。しかも意外と起伏があって、アップダウンに息も絶え絶え。おまけに道(というか歩道?)も複雑でクネクネしてるので迷ってしまったり。iPhoneがなかったらと思うとゾッとしました。
そんななか、時折リスがテケテケと歩いていたり、カモがいたりして癒される。たまに芝生に寝転んだりしながら、パークを東から西へと横断。
目指していたのは、ココです。ハイ。
こんなモザイクもあったりして、やっぱりココだけ観光客がたくさんいたな。
すぐそばに公園の出入り口があるのだけど、向かいに聳えるはダコタハウス。完全におのぼりさんではあるけれど、やっぱり来ておきたかったのです。
守衛さんも慣れた様子で、撮影に応じてくれました。しばし佇む。
結局この日は、夕食に何か食べる元気すらなく、ダコタハウスから少し西に歩いたところにあるホットドッグ屋で空腹を満たし、ヨロヨロとホテルへと帰ったのでありました。
が、寝る前にネットで見つけて愕然としたのが、コレ。
http://coedtoplesspulpfiction.wordpress.com/2012/06/03/better-and-better/
同じ日、同じ場所で、こんな楽しい催しがあっただなんて! ちくしょう!
ひょんなきっかけで、ニューヨークに来ております。まさかの海外出張。
もともと、NYにはそんなに興味がなかったはずなのに、まずアレですよ。ステイするホテルが52nd Streetにあることがわかった時点で、ウキウキ感がレッドゾーンですよ。
なにしろ10代の頃はハマりまくったBilly Joelの、あの52nd Streetなわけですから。
よくよく考えると、このアルバムの邦題っておかしいんだよね。NYのマンハッタンは碁盤状のつくりになっていて、南北の通りがAvenueで日本語では「〜番街」なんです。五番街とか有名だよね。
そんでもって東西の通りがStreet、日本語では「〜丁目」です。つまり52nd Streetは52丁目ってのが正しいのに、Billy Joelの52nd Streetの邦題は「ニューヨーク52番街」なんです。って、知ったかぶり全開ですが、NYに来るってハナシがなければ、一生気がつかなかったかもしれん。
「丁目」だとあまりにもチープな印象を与えるからか、それとも志村けんが連想されるのを避けたかったのか。まあ今となってはどうでもいいんですけれども。
さて。長い長いフライトの果てにJFKに降り立ったところで、最初の洗礼。入国審査で2時間待ちの大行列。
ヘロヘロになって、ホテルに移動して、ベッドに身を投げ出して5分間だけ休憩の後、ボロボロの体を奮い立たせ、タクシーをひっつかまえて向かったのは、メトロポリタン美術館。17時30分に閉館なんだけど、ホテルにチェックインした時点で15時30分。美術館が開いてる日中に自由時間が取れるのが到着した日のみ、という地獄日程のおかげです。
ホテルの近くにあるMoMAにも魅かれはしたものの、SugarBabe時代からの大貫妙子ファンとしてはメトロポリタンには行かずにはおれません。乗り込んだタクシーの運ちゃんが、30秒に1回くらいのペースでFUCKと(うれしそうに)言うのを聞いて、ああNYに来たんだなあ、という実感がボンヤリと高まります。
美術館に着いた時点で、閉館まで残り1時間半という緊迫状態。でも、西洋絵画に絞って見ることは事前に決めていたので、ズンズンと目的地へ。
なんというか、今回離日する前にヨメとも話をしたんだけど、海外の主要都市に行ったら絶対に美術館や博物館に足を運んだ方がいいと思う。
日本にもたびたび、いわゆる「名画」がやってきたりするけれど、どっちみち行けるのが土日だとしたら、ものすごい人出の中、下手すれば何時間も行列して、おまけに間近で見られず数秒で押し流される、みたいな感じになっちゃうでしょう?
それが、メトロポリタンみたいな超巨大ミュージアムなら、例えばそれがフェルメールだとしても、好きなだけかぶりつきで舐めるように鑑賞できますもの。
なんだろう、人が少ないわけじゃなくて、むしろ多いんだけど、美術館自体もムチャクチャ広いので、うまいこと分散されるんだろうなあ。
しかも言い方はアレだけど、ボーッと歩いてると、オレでも知ってるようなものすごい巨匠の作品が無造作に出現するのです。ピカソとかマティスとかミレーとかターナーとかドラクロワとか。
最初は作家名と絵を交互に見るように鑑賞してたんだけど、途中からは、どうぜみんなキョショーだしww 的な投げやり感でもって、作品しか見ないようになりました。そんで、自分的に好みなものだけ作家名とキャプションを参照するような。
おかげで、知らなかった作家の名前に随分と出会えた。
日本では、作家名を主体とした展覧会がメインになっちゃって、来る人も目的がハッキリしがちというか、まあそれは仕方がないことなんだろうけど、メトロポリタンとか、あとたぶんルーブルとかメガミュージアムだと、まるっきり別次元の接し方ができるんだなあ、と勉強いたしました。
なんだ、NY意外といいとこじゃないか!