沢足袋を新調する

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先日の奥多摩で、ひっそりと寿命を迎えていたらしい。事前にソールのチェックをしてみたら、踵部分が剥離しかけていた。このまま本番に履いて行ったら悲惨な目に遭うところであった。

ところが、この時期になると、どこの店でも沢足袋の在庫はほとんどなくなる。当初、モンベルのサワーなんちゃらとかいうのを試してみたいと思ったのだが、26センチ近辺は全滅状態。ICIに駆け込み、どうにか店頭在庫のみとなっていた、キャラバンのMサイズを買うことができた。

並べてみたらこんな感じ。キャラバンのは、ちょっとソールが厚めなのかな。

charity:waterのような仕組みを震災復興に使えないのだろうか



Lifehacking.jpさんの記事で知った、charity:waterがなかなかイカス。

スタイリッシュなチャリティーで世界を変える:Scott Harrison 基調講演 #WDS

・お金が100%現地に届くこと
・どんな場所でどのように使われたかがGoogleMapなどでわかること
・各プロジェクトに必要な金額や、どんな人がどれだけ貢献したかが可視化されていること

こういったあたりが、特によいなあと思う。

というわけで、タイトルに書いた通り。

もちろんアフリカやアジアの、水がない場所へのチャリティーの重要だが、東北の隣人にもこうした仕組みで援助を届けることができないものだろうか。

寄付の状況の可視化というよりは、どちらかというと、ローカルな現場でどのようなニーズがあるのかがひと目でわかり、その内容を照らし合わせてチョイスできるといいのだけど。細かいニーズを拾うのが重要ってことなんだけどねぇ。

奥多摩で鉄砲打ちの夢を見る

日曜日、仲間と奥多摩の沢へ。川乗谷の逆川というところ。

6人という大所帯で、沢が初めてという人もいたのでペースとしては遅め。のっけのF1二段目から手間取ったりしたが、おおむね楽しく、そしてケガもなく遡行を終えることができた。個人的にもノリノリで、しばしば後続を顧みず、さらにはトイ状の滝でツッパリのぼりをきちんと伝えなかったおかげで苦労をかけました。反省。

ところで沢を詰めた後、ウスバ林道で下山中、大規模に植林されているところに出ました。いま本州いたるところで、シカ害による山の荒廃が問題視されているけど、若木にネットのようなものをかけ、陽はしっかり当たるけれど葉を食べられないようにしてあります。

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これ、相当手間暇かかる作業だと思うのだけど、ぜひともいい成果を期待したい。

全国で水害が相次ぐようになったのは、異常気象のせいもあるけれど治山を怠ってきたツケも相当に大きいのよね。その上、増えすぎたシカやサルが山を荒らし、事態は悪循環を極めている。

とりあえず、ハンターの皆さんにはもっと鹿を狩ってもらって、地元の皆さんにはジビエ料理を名物にしていただきたい。丹沢のあたりでは、そうした動きも実際にあると聞くが、日本人ってシカとかあんまり食べないんだよな。ていうかそもそもハンターの数自体も減ってるとか。

真面目に猟友会入ろうかなあ。体力ないけど。

NY徒然思索日記

帰国してずいぶん立つのに、まだやってんのかよ!と我ながら腹立たしくも思いますが、強引にまとめに入ります。いろいろトピックを立てたかったのだけど、もういいや。

まずは、最も感動した食べ物から。

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ヤンキースタジアムの通路に出てた屋台の、チーズステーキです。牛肉とタマネギをスパイシーに炒めて、チーズを乗せて溶けたところをパンで挟む。球場メシとしては、相当にレベルが高いのだけど、あんまり期待してなかったぶん、その美味さに驚いた。カロリーも高そうだが。

帰国後調べたら、これってフィラデルフィア発祥の、相当ポピュラーなファストフードみたいね。なるほどー。日本の球場でも食えるところあるのかなぁ。

日々、飲んでたビール。ブルックリンラガー。この写真はサマーエールだから季節限定ブリューだけど、ホテルでは毎日、このローカルビールを飲んでいたなあ。普通に美味いっす。

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レストランでも、ローカルビールは何がある?と尋ねると、だいたいコレを勧められた。NYは結構ローカル愛に溢れた都市で……、というか東京がおかしいのかもしれないけど、地元意識がすごい強いよ。

地元愛といえば、例えば書店。日本でも書店がどしどし潰れてたりしますが、アメリカでも状況は似たり寄ったり。昨年だったか、大手書店のボーダズが倒産したのは大きなニュースでした。

やっぱりAmazonの影響は相当大きくて、街の小さな書店は風前の灯。

そんな状況の中、たとえばブルックリン地区では、市民への「どんな施設がこの街には必要か」というアンケートで「書店が欲しい」という結果となり、本当に本屋さんができたりしている。

もちろんこれにはいくつかの要素が重なってはいるんだけど、書店をやりたいという人がいて、それを支援する自治体があって、店舗物件を探す人や内装を安く手伝う企業や、さらには(最も重要なことだけど)歓迎する顧客がいっぱいいるから実現したこと。

「オラが街の本屋さん」を大事にするという文化は、ちょっとうらやましいというか、まぶしすぎてクラクラした。だって日本だったら、自治体にどんな施設が欲しいかとか聞かれたら、ジャスコとかツタヤとか、そーいう回答ばかりになりそうだもんなあ。

もちろんこういうのは、NY近郊のような民度の高い地区に限ってのことなのかもしれないけど、改めてアメリカという国の底力を実感した。

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上の写真は、ある本屋さんの店頭にあったメッセージ。「ここで本を見つけて、ここで買ってください。ここにいさせてください」とある。一見、悲壮感漂うが、店内にはお客さんがいっぱいいた。店舗側からの一方的なものではなく、顧客も状況をよく理解しているのだね。

最後に街角スナップをいくつか。マンハッタンは意外と狭くて、ちょっと歩くといろんなところに行ける。業務の間、できるだけ歩くようにしてフラフラしていたのだ。痩せるし。

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工事中の建物。香港の竹足場ほどのインパクトはないけど、ネットの色がオレンジなのがアメリカンなのかしら。

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SOHOあたりの石畳。やっぱり風情がある。

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NY大学あたりの公園で、噴水の池でコインを拾うおねえちゃん。

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なんとNYにもお好み焼き&タコ焼き屋があった。生まれ変わったら、NYでタコ焼き屋台を引きたい。絶対サクセスする自信がある。

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中古レコード屋で、ヴァン・ヘイレンの隣に松田聖子。

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街角の灰皿。アメリカは禁煙先進国のようでいて、意外と喫煙者に寛容ですな。屋外では吸い放題。観光客かもしれないけど、歩きタバコしてる人もけっこう見かけた。

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雨が降ってて、疲れ果てたときに乗った、自転車タクシーから。初乗り$5、アヴェニューごとに$3、ストリートごとに$1。

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というわけで、束の間のNY State of Mind、これにて。

NY印象派日記〜MoMA NY

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帰国前日になって、ほんの2時間程度ではあったけれど予定より前倒しでスケジュールが空くことになった。

となればNYのもうひとつの美術館、MoMAに行くしかない。メトロポリタンは大貫妙子姐さんへの義理みたいなもので優先度が高かったわけだが(笑)、どちらかというと本当に見たいものはMoMAにあった。

それは「睡蓮の間」。モネの睡蓮がどかーんと置いてあるという、その空間である。

晩年、モネは数多くの睡蓮を描いたそうで、世界中の有名な美術館が所蔵している。NYのMoMAには、そのうちの2つがあるわけだ。モチーフとしては見ての通り、淡いものではあるが、とにかく存在感の圧倒的なこと。

部屋の中央にある椅子に腰掛けて、しばらくの間ボーッとする。振り返ると、もうひとつの睡蓮がある。なんという贅沢。

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絵画というものを見るたびに、美術関連の書籍やネットの画像とホンモノとでは、本当に雲泥の差があることを実感するわけで、まさにベンヤミンが言うところのアウラなわけだけど、この「睡蓮の間」ほど強烈な体験は、なかなかできない。

作品そのものがでかいこと、それが2点配置されていること、そしてさらには、自分を含めた数多くの人々が同時に絵の中に没入している感覚を共有できるのが大きい気がする。

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聞けば、パリのオランジュリーにも巨大な「睡蓮の間」があるそうだが、そちらに行く機会があるかどうかは……、さすがに厳しそうだナー。

そういえばMoMAでは、卒論のテーマにしたクルト・シュヴィッタースの作品に出会えたことも嬉しい収穫だった。もっと真面目に取り組めばよかったなあ〜。

NY起業妄想日記〜The Grand Central Station Oyster Bar

NY滞在2日目、いきなりチャンスは訪れました。グランドセントラル駅近辺で昼食をとれる機会ができたのです。

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NYは地下鉄が発達してるのだけど、ここは古き佳き欧米のステーションって感じで、コンコースが巨大。さらにはメザニン的な位置にグルッと、AppleStoreが入っています。

ここは有名なOystarBarがあるのですね。日本の品川にも出店してるそうだけど。

夜に来ようと固く誓っていたので、昼だと酒も飲めないしどうしようか迷いましたが、いわゆるカキフライサンド的なものがメニューにあったのを思い出し、さっそうとダッシュ。

この店が面白いのは、入って左側はテーブル席で、右側がカウンターなところ。テーブルのほうは団体なんかが並んでたりしますが、カウンターのほうは牛丼屋的な感覚とも申しましょうか、空いてる席にズンズン座ってノープロブレム。

そんな事前情報は仕入れていたので、店先はモロ昼時だったのでかなり混み合っていたけれど、カウンター席のほうに行ったらポツポツと空きがある。本当に吉野家よろしく、U字型のカウンターがいくつかあるタイプで、内側にスタッフがいるという感じ。

着席するとメニューをくれて、ビールを頼みたいところをグッと我慢してオーダー。クラムチャウダーと、カキフライサンドです。

クラムチャウダーは、クリームベースのNew EnglandとトマトベースのManhattanと2種類あるのですが、クリーム好きなもので前者を。ひとくち食べる。美味いんだけどちょっとだけ違和感を感じたのは、ややアタリが強いところ。

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全般的に、NYは味付けが濃いような感じがします。といっても比較対象は私の場合サンフランシスコしかないのだけど、日本でいう関東と関西みたいな、アメリカ国内での味付けのトレンドみたいなものはあるのかしら。日本の国土の何倍もの広さなんだから、あって当たり前だけど、サンフランシスコのクラムチャウダーは、フキダシにビックリマークが付くくらい絶品なのだがなあ〜。

そしてカキフライサンド。メニューには”Po’Boy Sandwitch”と書いてあったけど、どうやらPoor-Boyのことらしいですね。Wikiによれば、ルイジアナあたりの発祥のようです。

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んで、問題はこのカキフライ。日本のようにパン粉を付けて揚げるのではなく、おそらくはトロッとした小麦粉ベースのコロモのみ。正直、「うーん」という感じでありました。

かねてから、海外(特にアメリカ)でカキフライやアジフライのサンドイッチ屋台を出したらものすごいウケるのではないかと思っていたのですが、それは確信に変わりました。

パン粉を付けて揚げるのと、あと重要なのはソースですね。日本の中濃かウスター。それに芥子。どうせなら和芥子で。キャベツの千切りも添えて、柔らかめのパンで挟むのです。ひとつ6ドルくらいで。20代だったらチャレンジしてみたいんだけど、誰かやらないかね。

ちなみに、どこかで誰かに聞いたけれど、パン粉は「Pan-ko」で通じるくらい一部では人気のようですよ。

まあ、そんな妄想はともかく、ホントはココには夜来て、生ガキと生アサリ(clam)とワインなんかで楽しみたかったのですが、結局最後まで訪れることができませんでした。

NYフラフラ日記〜Strawberry Fields in NY

食い倒れとか言っておきながら、翌日以降も食い倒れることがまったくできないという悲惨な状況です。さらに、レンタルしたポケットWiFi的なものが、転送量の制限があるので、写真をガツッと送れないのですね。これは盲点だったわー。

AppleStoreに駆け込んで、そこから写真をアップ。NYはAppleStoreだらけなので助かります。

というわけで、初日の続き。

メトロポリタンで閉館まで粘ったおかげでライフがほぼゼロになったのですが、フラフラとセントラルパーク内を歩いてみました。

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話に聞いてはいたけれど、確かにデカいですな。しかも意外と起伏があって、アップダウンに息も絶え絶え。おまけに道(というか歩道?)も複雑でクネクネしてるので迷ってしまったり。iPhoneがなかったらと思うとゾッとしました。

そんななか、時折リスがテケテケと歩いていたり、カモがいたりして癒される。たまに芝生に寝転んだりしながら、パークを東から西へと横断。

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目指していたのは、ココです。ハイ。

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こんなモザイクもあったりして、やっぱりココだけ観光客がたくさんいたな。

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すぐそばに公園の出入り口があるのだけど、向かいに聳えるはダコタハウス。完全におのぼりさんではあるけれど、やっぱり来ておきたかったのです。

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守衛さんも慣れた様子で、撮影に応じてくれました。しばし佇む。

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結局この日は、夕食に何か食べる元気すらなく、ダコタハウスから少し西に歩いたところにあるホットドッグ屋で空腹を満たし、ヨロヨロとホテルへと帰ったのでありました。

が、寝る前にネットで見つけて愕然としたのが、コレ。
http://coedtoplesspulpfiction.wordpress.com/2012/06/03/better-and-better/

同じ日、同じ場所で、こんな楽しい催しがあっただなんて! ちくしょう!

NY食い倒れ日記〜Met編



ひょんなきっかけで、ニューヨークに来ております。まさかの海外出張。

もともと、NYにはそんなに興味がなかったはずなのに、まずアレですよ。ステイするホテルが52nd Streetにあることがわかった時点で、ウキウキ感がレッドゾーンですよ。

なにしろ10代の頃はハマりまくったBilly Joelの、あの52nd Streetなわけですから。

よくよく考えると、このアルバムの邦題っておかしいんだよね。NYのマンハッタンは碁盤状のつくりになっていて、南北の通りがAvenueで日本語では「〜番街」なんです。五番街とか有名だよね。

そんでもって東西の通りがStreet、日本語では「〜丁目」です。つまり52nd Streetは52丁目ってのが正しいのに、Billy Joelの52nd Streetの邦題は「ニューヨーク52番街」なんです。って、知ったかぶり全開ですが、NYに来るってハナシがなければ、一生気がつかなかったかもしれん。

「丁目」だとあまりにもチープな印象を与えるからか、それとも志村けんが連想されるのを避けたかったのか。まあ今となってはどうでもいいんですけれども。

さて。長い長いフライトの果てにJFKに降り立ったところで、最初の洗礼。入国審査で2時間待ちの大行列。

ヘロヘロになって、ホテルに移動して、ベッドに身を投げ出して5分間だけ休憩の後、ボロボロの体を奮い立たせ、タクシーをひっつかまえて向かったのは、メトロポリタン美術館。17時30分に閉館なんだけど、ホテルにチェックインした時点で15時30分。美術館が開いてる日中に自由時間が取れるのが到着した日のみ、という地獄日程のおかげです。

ホテルの近くにあるMoMAにも魅かれはしたものの、SugarBabe時代からの大貫妙子ファンとしてはメトロポリタンには行かずにはおれません。乗り込んだタクシーの運ちゃんが、30秒に1回くらいのペースでFUCKと(うれしそうに)言うのを聞いて、ああNYに来たんだなあ、という実感がボンヤリと高まります。

美術館に着いた時点で、閉館まで残り1時間半という緊迫状態。でも、西洋絵画に絞って見ることは事前に決めていたので、ズンズンと目的地へ。

なんというか、今回離日する前にヨメとも話をしたんだけど、海外の主要都市に行ったら絶対に美術館や博物館に足を運んだ方がいいと思う。

日本にもたびたび、いわゆる「名画」がやってきたりするけれど、どっちみち行けるのが土日だとしたら、ものすごい人出の中、下手すれば何時間も行列して、おまけに間近で見られず数秒で押し流される、みたいな感じになっちゃうでしょう?

それが、メトロポリタンみたいな超巨大ミュージアムなら、例えばそれがフェルメールだとしても、好きなだけかぶりつきで舐めるように鑑賞できますもの。



なんだろう、人が少ないわけじゃなくて、むしろ多いんだけど、美術館自体もムチャクチャ広いので、うまいこと分散されるんだろうなあ。

しかも言い方はアレだけど、ボーッと歩いてると、オレでも知ってるようなものすごい巨匠の作品が無造作に出現するのです。ピカソとかマティスとかミレーとかターナーとかドラクロワとか。

最初は作家名と絵を交互に見るように鑑賞してたんだけど、途中からは、どうぜみんなキョショーだしww 的な投げやり感でもって、作品しか見ないようになりました。そんで、自分的に好みなものだけ作家名とキャプションを参照するような。

おかげで、知らなかった作家の名前に随分と出会えた。



日本では、作家名を主体とした展覧会がメインになっちゃって、来る人も目的がハッキリしがちというか、まあそれは仕方がないことなんだろうけど、メトロポリタンとか、あとたぶんルーブルとかメガミュージアムだと、まるっきり別次元の接し方ができるんだなあ、と勉強いたしました。

なんだ、NY意外といいとこじゃないか!

2012年の浜松まつり

三日間で、のべ170万人くらいの動員があったらしい。

浜松まつりは、簡単に言ってしまえば、昼間は大凧をあげ、夜は御殿屋台を引き回しながら「激練り」をする。町単位での参加となり、それぞれ独特な町の意匠というか、ロゴがあって、凧や法被は基本、これをベースとしている。

もともと初子の誕生を祝うもので、昔は男子のみが対象とされたが、近年は少子化ということもあり、町によっては女子の初子を祝うことも珍しくない。

じゃあウチも?ってことになるんだけど、特に何もしなかった。昨年が震災の影響で中止になった流れで「町内の初子の数は足りてる」ってこともあるが、基本的には「女子で初子祝いは憚られる」のが大きいかな。

個人的には少々残念だけど、実際に初子祝いをするとなると本当にオオゴトなので、まあこれでよかったかも。おそらくは、年が明けた頃から糸目付けや凧揚げの訓練、あとは飲み会なんかで、何度も帰省することになっただろうし。

とはいえ、それはそれ。初子祝いをしようとしまいと祭りには参加せねばならない。

なので、実家に着いたらいきなり娘の法被の丈合わせである。袖と背中を絞り、ついでによだれかけも手拭で作ってよ、とリクエストしたところ、これも速攻で製作してくれた。意外とデキがよい。

さっそくコスプレさせ、楽しむ。

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どんな凧を揚げるかというと、こんな感じ。ちょうどウチの倉庫に保管してあるのだが、後ろに写ってるので八畳……いや、十畳かな。それを中田島砂丘の凧場で揚げる。普通に糸が絡まって落ちたりするんで、常に頭上に注意が必要です。

この日のために、各町は凧揚げの技量を磨くわけですな。どこそこが上手いとか、どこそこの凧が一番揚がってたとか、まあメンツの問題もありますんで。

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夜になると、屋台と「練り」の時間。子どもは速攻で寝てしまいます……。

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大人たちはというと……「練り」の合間に燃料注入。ちょうどスーパームーンだったな、そういえば。

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初子祝いの家の前には町中の老若男女が「練り」で集まり、盛り上げます。ご覧のように酒樽イッキも。

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というわけで狂騒の三日間、ハンパな参加にも関わらずなかなかハードでした。

カーチャンも婦人会で、毎朝5時集合で昼飯のおにぎりを握りまくってたし、親父は親父で、酒びたりの皆勤賞。「要するにアレだ、つぎは男の子をつくれってことだ」と、ガハハと笑うのであった。色んな意味でガクブルではあるが、今年の浜松まつりはとにかく特別なものになった。

恵比寿様と大黒様

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商売をやってるからか、私の実家には、恵比寿様と大黒様を祀る神棚が昔からあった。

朝晩、ご飯が炊けたらまず、小さな器に盛って神棚にお供えをする。子どもの頃は、「おいべっさまにご飯あげてきて」とよく言われたものだ。お供えしたご飯は、だいたい婆ちゃんが自分の茶碗に戻して食べてたな。

「おいべっさま」という呼び方も、ひょっとしたらこの地方独特なのかな。「恵比寿」に「お」をつけて訛ったんだろうけど、「えべっさま」というときもある。

そういえば、ウチの娘は私によく似て、笑うと目が線になる。それを見ると母親が「えべっさまの川流れ」と言っては喜ぶ。は? 河童じゃなくて恵比寿? よくわからんのですが、笑った顔が福々しいということなのだろう。たぶん。

今回、ふと思い立って神棚を撮影してみた。小さな恵比寿様と大黒様が、座布団にちょこんと座っている。

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母親いわく、このご神体は大昔からウチにあるらしい。大戦時、アメリカ軍の艦砲射撃で当時の家が丸焼けになったのだが、後日焼け跡から掘り出したそうだ。言われてみれば、表面がボロボロになっているけど、ホンマかいな。

故郷で髪を切る

GWはたっぷり一週間、実家に帰省してゴロゴロ&ウダウダしておりました。といっても、この時期の浜松は「浜松まつり」という一大イベントがあり、基本、人々の暮らしは祭りを中心に回ることになります。

その間のことは、追々書くかもしれませんが、今日は東京に帰る直前に髪を切った話を。

思えば子供のころは、中学生は強制的に丸坊主という時代でした。なので高校に入ると、みんな急に色気を出してジェルを付けたりスプレーかけたり、あるいは粋がってパーマをかけ、体育教師に見つかってバリカンで刈られる、といったことをするわけです。

自分はというと、高校を卒業するまで、ずうっと近所の床屋さんで切ってもらってました。おじさんが一人で切り盛りしてるような、ちいさな店。

前フリが長くて我ながら辟易としますが、今回、その床屋さんを再訪することができたと、まあそういうわけです。

でもね、18歳まで通っていたってことは、今からちょうど25年前ですよ。その間、町内のようすも様変わりして、いろんな店が商売をやめたり、どこかに引っ越していったり、更地になってたり。

なので、まだその床屋さんが店を続けてたというのがちょっとした驚きとともに、妙にうれしかったわけです。おじさんは、ちょっと頭が薄くなり、それなりに老けたけど、まだまだお元気そうでした。

町内の話とか、私が高校を出てからの話とか、ワイワイ盛り上がるでもなく淡々と。やはり小さな町の身内感なのか、不思議とリラックス。

次回の帰省時も行かなくちゃ。結局のところ、ノスタルジアなんだけどね〜。

春爛漫

日曜日。札幌の伯母が東京に滞在しているということで、府中までムスメの顔を見に来てくれた。

ちょうどいいやと、花見がてらの散歩に繰り出す。まずは腹ごしらえと、近所のタイ料理屋「スイタイ」に行き、パッタイを。ランチタイムはなかなかの混雑で、軌道に乗ってきたみたい。よっしゃよっしゃ。

その後、ホコ天のけやき並木を歩き、大国魂神社へ。ここの枝垂桜を前菜として、東郷寺を目指す。

道中、さまざまな花が咲き誇っており、いちいち伯母に名前を尋ねる。すべて即答できるのは、さすがお花のセンセイをやってるだけある。もちろんワタクシは、聞いたそばから忘れてしまうのだが。

今年はアチコチで聞かれるように、春の花の開花が遅れている。通常ならソメイヨシノの一週前が見頃の枝垂桜も、一斉に花開いており、なかなかの見応えである。

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東郷寺は、東郷平八郎の没後に建立された寺で、映画「羅生門」のロケが行われたという大門で有名。枝垂桜とのマッチングがすばらしい。

「さくら」つながりということで、夕餉はブリの照り焼きと「さくらごはん」。米一合に対して、酒と醤油をそれぞれ大さじ1ずつ加えて炊いただけのものなのだが、自分にとっては故郷の味なんである。

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浜松祭りで支給される昼メシが、このさくらごはんのおにぎりで、なんとも言えないなつかしさがこみ上げる。たまに食べると美味いんだよなあ。

府中駅南口再開発のお話

京王線府中駅の南口は、ここ近年で区画を分け、着々と再開発が進められてきた。伊勢丹がある区画から始まり、数年前にオープンした商業施設「くるる」が第二弾。そして第三弾は、残るゴチャゴチャした区画。言い換えれば、「まち」として最も魅力的なゾーンに着手することになる。

先日、会社の飲み会帰りに立ち寄ったバー、Americanにてバーテンさんとこの話になったのである。それがなんと……。

・来年の3月でここらの店は閉店する(工事が始まっちゃう)
・Americanのある場所あたりは、なんとロータリーになっちゃう

工工エエエエエェェ(´д`)ェェエエエエエ工工

再開発が完了したら、そこで営業していた店はテナントとして入れる(少なくとも優先権がある)ものじゃないの?という話もしたのだが、バーや飲み屋のような業態は、それこそ地権者じゃないと無理かもしれない、とのこと。少なくとも、そのバーテンさんは来年3月で店を畳んだあと、仕事探さなくちゃ〜という感じらしい。

このエリアには、何度かブログネタにしてるけど、個人的にも愛する店がいっぱいあるんですよ。なのに、なのに、なんということでしょう! みんな無くなっちゃうかもってこと??

大いに落胆しつつ、葉幕をくゆらす。ていうか、多摩地区で葉巻が楽しめる数少ないバーのコチラがなくなっちゃうだなんて!!

あとあと、同じくバーのShinさんとこが無くなったら、どこでUnderbergを飲めばいいのさ!?

あ、Underbergってのはドイツの薬みたいなお酒。ミニボトルがかわいいんですよ。Shinさんとこでは、いつもシメでUnderbergのカクテルをいただくのだ。

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吉田類も絶賛の「磯吉」とか、焼き場のおっちゃんの絶妙なドアマンっぷりに前を通ると必ず入っちゃう「焼き樽」とか、いつかはその味に追いつきたいと日々研究している「餃子の栗林」とか、けやき通りの生き字引的な百年食堂「吉田屋」も……。

ほかにも「おもちゃのみのる」とか、素敵な店がいっぱいあるのになあ〜。みんな、どうなっちゃうのだろう。

うーむ、困った、というか気になって仕方がない……。

●再開発イメージ図

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/05/20l5p300.htm

新年度スタート

東京でもソメイヨシノの開花が宣言されたけど、今年は全般的に遅いですよね。

例年ならば東郷寺の枝垂桜を見に行く頃合いなのだけど、まだチラホラリ程度。大国魂境内の枝垂桜も、まだ二分か三分といったところである。

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それじゃあ、ってことで多摩川の河川敷にある菜花畑まで散歩に。

自宅からはゆったり歩いて1時間くらい。河川敷の、野球やらソフトボールやらサッカーやらを楽しむ人々を眺めつつ、テケテケと。

あたり一面の菜花、というわけではなかったけれど、なかなか良かったです。来週はどうすっかな。東郷寺か、野川にするか。

帰宅後、桜海老と春キャベツのパスタを作り、モッシャモッシャと食べたあと、重い腰を上げて近所のジムに。

新垣の復活投球を見てたら、100キロ近く自転車漕いでしまった。足がパンパンだお。

まいっちんぐ

行きつけの皮膚科です。

主治医のまちこ先生に診てもらうたび、いつもココロの中でつぶやいています。

でもきっと、狙ってこの名前にしたはずなので、特に悪いとは思いません。

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あ、そういえばテレビでよく宣伝してる、爆笑問題が出てる薄毛がどーたらいうCMだけど、待合室にポスターが貼ってあって、けっこうお金取られることを知った。やーよねぇ。

武田刃物の包丁と小刀を買った

切れの悪い刃物は危ないと申しますな。研ぎ方も悪いんだろうけど、切れ味が鈍くて辟易としていた、学生時代から使い続けていたステンレス包丁をついに処分しました。代わりに買ったのが、こちらの包丁。

府中の伊勢丹で実演販売していたところを、完全に衝動買いで。包丁だけでなく、夏の山遊び用に小刀もゲットしました。

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ハートマークを挟んで『新見』『松水』(鍛冶名:武田松水)の銘が刻印されているのだけど、売り場のおじさんに「なんでハートマークなの?」と訪ねたところ、これは(薬品を入れていた)アンプルの断面を模したもの、というご回答でした。明治の昔、アンプルを切断するのにココの刃物が使われていたとかで。

でもネットで検索してみると、「ひとつひとつ心を込めて作っているから」という記述が多いですね。まあ、どっちでもいいんだけど。

放っておくと錆びるので、きちんと手入れしつつ、定期的に研ぐようにしようっと。

Blueairの空気清浄機を買った

アレルギー反応の検査をすると、あらゆる項目で陽性が出ます。ていうか慢性鼻炎。

そんなワタクシですので、花粉の季節だからといって特別なナニカをするわけでもなく、年がら年中鼻を詰まらせておるわけです。が、さすがに赤子がいるとなると……ということで、空気清浄機を買おうと。

でも実際、何を買うかの段になるとサッパリでしてね。ナノなんとかやら、なんちゃらクラスターとか、ワケが分かりません。ていうか、最近のものって加湿機能とかも付いてるのが当たり前の世界なんですよね。

加湿器は、メンテナンスしないとカビが生えたり汚れがこびりついたりで痛い目にあうのが分かりきっているので、メンテナンスフリーで空気清浄機能に特化したものはないのかしらと探してみたら、コイツに行き着きました。

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正直、ちょっとお高いと感じるのだけど、比べれば比べるほど、こういったシンプル構造なもののほうがよいのではないかという感覚が強くなります。フィルターも「え?」っていうくらい高い。でも考えてみれば、フィルターこそすべてなわけで。

ネット上では賛否両論あるみたいだけど、あんまり深く考えないで放っておけるという意味では、私のライフスタイルにはフィットしております。

もちろん、そばで屁をするとフルパワーで浄化してくださる。ステキです。

初節句



娘が生まれて初めての3月3日。桃の花やらあれこれクルマに積んで、カミさんの実家へ。ちらし寿司、蛤の吸い物が用意されていてびっくり。いや、なんかすごいなあ。恐れ入ります。

前にも書いたけど、すでにカミさんの実家には七段飾りの立派な雛人形セットが飾ってあるんですね。主役の娘にも晴れ着を着せて、甘酒飲んでお祝いしてきたでやんす。

ウチの実家はデキの悪い息子が2人いるのみで、女子はいなかったため、これまで雛祭りというのはどこかヨソの世界の出来事みたいな感覚であった。

なのに、なぜか実家には雛人形があった。母親からそう知らされたのは昨年末の、娘のお宮参りのとき。

ひょっとして、幼くして死んだ姉でもいたのかとドキドキしたのだが、さにあらず。

母親が自分の母、つまり私にとってのばあちゃんに愚痴をこぼしたらしい。我が家は息子ばっかりで雛祭りができなかった、娘がほしかったのに、と。どうやら、私がまだ幼い頃のこと。

そうしたらある日、立派な新品の雛人形が、ばあちゃんから送られてきたそうだ。なんじゃそりゃ。

洒落っ気があるばあちゃんだったので、半ば冗談だったのかもしれないが、私なんぞには計り知れない母娘間の想い的なものがあったのかもしれない。そういえば、よく「アンタが女の子だったらよかったのに」と言われたもんです。

そんなわけで、その雛人形が、今度は私の自宅に送りつけられてきた。2人セット……っていうか、調べたらお姫様と親王の二人で飾るお雛様の基本形ってことで、「親王飾り」って言うらしいね。そんでもって人形の種類としては木目込みとか。ほう。

最初は「うぇー、邪魔だしイラネー」と思っていたのだが、箪笥の上を片付けて飾ってみたら、なんだかそれなりにしっくりくる。いろんなところに雛人形があるのも、いいもんです。いま風に言えば「ほっこり」っていうんですかね、なんかそんな気分になりました。

深浦にんじん

離乳食が始まったから、というわけではないんだけど、青森の深浦にんじんを売ってたので思わず購入。

青森県の日本海側、白神の麓で生産されてる人参なんだけど、とにかく甘い。冬の寒さに晒して糖度を上げるというのはよくある手法だけど、その人参版ですね。この時期に出荷するもんだから、吹雪の中で収穫するらしい。

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めちゃくちゃ美味いくせに、2本で120円(飯田橋の北彩館にて)でした。

それはそうと、めちゃくちゃ忙しい。

とある最終講義

大学時代の自分には、言いたいことが山ほどある。でも突き詰めれば「もっと勉強しときゃよかったよなあ」に尽きる。

自分さえその気になれば、学べることはいくらでもあったはずなのに、当時の私ときたら授業をサボり、遊ぶことばかり考えていた。典型的なダメ学生だった。

もしやり直せるものならば……とは愚問だが、もしいま時間があれば、興味があること色々を、勉強することに費やしたい。尻の青さが匂うがごとくの、アカデミック(ふう)な議論なんてものも、してみたい。いわゆる「ゼミ」とはまったくの無縁だったし。

そんな私も、長い長い学生時代で、いくつか興味深い講義に出会うことができた。芸術論だったり、シェークスピアだったり、ゲーテシラーだったり、中東関連だったり。そしてこのお方も、そのうちのひとりだ。

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最終講義と銘打ち、約90分の講義をカナダ大使館で行うというので、参加してきたのです(正確には、会場が混み合っていたので遠慮して外でモニターを見てたw)。感想は、「相変わらずお元気でした」のひとこと。ダジャレのセンスも昔と同じレベルでした。放送大学の教授をやっていたようで、そのスジの方々がいっぱい来ていたな。

「カナダ大使館の中で“エスキモー”だなんて口にしたらタイヘンなことになる」とか言いながら、ガンガン言いまくりとかね。

講義後の打ち上げ的な会場でちょっとだけご挨拶したら、ニコニコして「キミのこと、覚えてるよー!」などとおっしゃる。まかり間違ってもそんなことはあり得ないのだが、こうした気配りというかお人柄も、じつに「らしい」。

個人的に、アイヌ関連の話題がもっと聞きたかったのだが、時間切れで消化不良だったのが残念。だが、こんど白老にとうとう「国立アイヌ民族博物館」ができるようだし、研究者としては引退もなかろうから、またどこかげお元気な姿を拝見できればと思う。

会場外のモニターを撮影したスライドを、いくつか掲載しておきます(無断掲載だヨ!)。

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エスノセントリズムという言葉は、彼の講義を受けた人ならばよ〜くご存知のはず。学問の面白さは、突き詰めると自分の固定観念なんかがブチ壊されるときの快感的なものなんじゃないかと思っているんですが、そうした瞬間に少しでも出会えただけで、大学に行ってよかったのだなあ、と感じる。

重ねて書くが、自らそのチャンスをいくつも放棄したあの頃の自分には、本当に言いたいことが山ほど(ry

ともあれ、長い間、ほんとうにおつかれさまでした!

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復興支援的衝動買い〜その1

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言っておくが私はいわゆる鉄オタではない。ただ、愛読している週刊漫画アクションにて、三陸鉄道の被災レール販売のことを知り、ちょっと調べてみたら購入できることがわかったので、注文した次第である。

東日本大震災により大津波で三陸鉄道は大きな被害を受けました。前回、島越付近の被災レールを販売したところ一日で完売となり、多くの皆様から「購入したい」旨のお声をいただきました。そこで今回は被災区間の中で、津波により損壊した盛〜陸前赤崎間田茂山踏切地点(盛起点750m付近)のレールをメモリアルプレート付台座に取り付けて販売することといたしました。復興へのご支援に是非、ご購入ください。
三陸鉄道HPより)

なんかね、「前回は1日で完売」ってあるけれど、2回目はまだまだ在庫がありそう。自宅に届いた物は、ロットナンバーが「180/400」だった。

来月は震災後1周年ってことで、みんなそれなりに思い出したりするんだろうけど、被災地に対する支援の意識というのは明らかに減衰しているように思える。それが、こーいうところにも現れているのかなあ、とかボンヤリ思ったり。それとも奇特なオタ野郎どもには、前回販売ぶんですべて行き渡ったのか、そもそも製作数の問題か。

ところで、実際に届いた被災レールだけども、さすがにホンモノだけあってズシリと重く、ひんやりとしている。

何かの役に立つのかと言われれば、うーん、ぶっちゃけない。何かの「重し」として使えるくらいだろう。とりあえず、書棚の仕切りとして活躍中。

七段飾り

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カミサンの実家に行き、ひな人形のセッティング。

40年前、つまりカミサンの初節句で買ったものらしく、かなりの年代モノ。畳二畳をガッチリ占拠し、容赦ない迫力である。女っ気のない家庭で育ったので、いろんな意味で目が点。

「持って帰る?」
「いえいえいえ」

セットアップに1時間くらいかかったけど、こりゃ片付けるのも難儀だなあ。

名も無き男の死



その人のことは、何も知らない。

年齢は、外見から判断する限り、初老といったところ。でも名前も出自も、おそらくは誰も知らない。

府中駅前から甲州街道まで伸びている通路の、TSUTAYAの奥。階段付近に花が手向けられていた。

たぶん、彼が亡くなった。先月末の雪の頃のこと。あのへんをねぐらにしていたのだろうか。思わず手を合わせた。

昨今はすっかり「ホームレス」という呼び方が定着しているようだが、あえて言えば、彼は昔ながらの「乞食」スタイルだった。

今どき珍しく、目の前に空き缶を置き、人通りの多い駅の構内でじっと正座したまま動かない姿を、しばしば見かけた。

もっともそれは「副業」だったのかもしれない。ふだんはアルミ缶を集めたりして、どこかにブルーシートや段ボールでこしらえた家があったのかもしれない。本当のところは、私にはわからない。

身の回りの近しい人間や好感を抱いている著名人を除けば、誰かの死は所詮、他人事にすぎないのかもしれない。

ガードレールに置かれた酒や花束は、記号でしかない。人身事故で電車が止まると、それが意味することを分かっていながら口の中で悪態をつく。そして新聞やテレビは日々、誰かの死を機械的に伝える。

でも府中駅の構内で、寒い日もじっと動かず俯いていたあの人のことを思うと、ちょっとだけ心が痛む。

過去、彼に対していくばくかの施しをしたわけではない。逆に、施しをしなかったせいでもない。

結局のところ彼が自分にとって、まったくの他人よりも近いところにいたということなのかもしれない。

「これだけ色んな人に思い出してもらえたなら、成仏してくれるかな」

そんなネットの書き込みに、ちょっとだけ心が救われた。

つくしノートを使う

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今年は、アナログのノートをきちんと使おう、と思ったのです。けど、モレスキンはなんだかな〜と思っていたら、ちょうどよいものを発見。国分寺の文具屋さん(最寄りは国立駅)が作ってる、「つくしノート」です。

つくし文具店

ノートとしては少々値が張るのだけど、上質な紙とキチンとした製本を見れば、納得できる範囲。罫線のない、サラッとしたページで、ラフスケッチなんかを書きまくるにはうってつけ。あんま大事に使うつもりはなくて、むしろヘビーデューティーに汚していきたいと思います。

殊更マインドマップとか、そーいうのをやるわけではないんだけど、思考を整理するのにはパソコンよりも手書きのノートのほうが優れているのは明白。今年携わるであろう業務が、かなり混乱系になるはずなので、思わず3色揃えてしもうた。

二本目

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1月3日に一本目が確認されたが、その数3日後には隣に二本目が生えていた。なんか角度がアヤシイが、まあ今気にしてもしょうがないんだろうな、きっと。

スクスクと育っているのはよいものの、授乳時に歯を立ててはキャッキャと笑うようになり、時折悲鳴が聞こえてくる。モノの本によれば誰もが通る道らしいので、根気よく躾けていただきたい。なんもできんしなー。

over the plum bud

底冷えのする週末、外に出るのは億劫だけれど家に閉じこもっていては豚になってしまうので、ベビーカーに娘を乗せ散歩に出かける。

ベビーカーでの散歩となると、自然に下河原緑道へと足が向かう。ここはむかし、下河原線という貨物線だったところで、多摩川の砂利を国分寺に運んでいたのだ。いまはすっかり遊歩道として整備され、時折軌道、つまりレールが現れるが、まっすぐ多摩川へと向かっている。

東京の、西へと向かう路線の多くは、むかし多摩川の砂利をせっせと運んでいたのだよなあ。

下河原緑道をまっすぐ南に向かうと、中央高速のガードをくぐり、サントリーの工場脇を抜け、のどかな田園地帯の先に「郷土の森」という公園施設がある。入場料を取られたりするのだが、ココは我が家の定番散歩コースだ。

この時期は、蝋梅が見頃。広大な梅林の隅に「蝋梅の小径」というのがあって、そこだけ淡い黄色で埋め尽くされていた。

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蝋梅は、香りがよいんだねぇ。思わず一句ひねりだしたくなる。ひねらなかったけど。

蝋梅にばかり気を取られていたが、梅の枝々には蕾が膨らみ、色づいていた。春は近い。

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それにしても視力が落ちたせいか、屋外のマクロ撮影は辛い。ピントが抜けまくるぜ。GXRのフォーカスアシスト機能がありがたい。

じつはGXRを買ったんですよというお話

昨年後半は、書くタイミングを失ってお蔵入りしたトピックがけっこう多かった。GXRを買ったというネタも、そのひとつ。

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いやね、子どもが生まれるのを機に、一眼コンパクトでも買おうと思ってたんですよ。んで、PENやらNEXやらをボンヤリ調べて、ある程度アタリをつけてカメラ屋に行っていじってみたんだけれども、どうもしっくりこない。

その最たるものは、シャッター音。どんだけコンデジ脳なんだよ、と笑われるかもしれないが、m3/4だろうと構造的には一眼であって、当たり前のようにシャッター音がする。

うーん、これは子どもの寝顔を撮ったりするのが憚られるかもなあ……と、物欲が急激に萎んでしまったところ、思い出したのがGXRの存在。

このカメラ、発売直後の2010年の正月に、縁あってお借りすることができたので、実家に持って帰ったのよね。むかしのエントリには記録を残してあるけど。

んで、有名なハナシなのだけど、発売当初はあまりにもAFが遅くて、評判がとても悪かった。描写力はものすごいものがあるのだが、スルーした経緯がある。

ただ、レンズシャッターなので撮影時は本当に静かで、理論上シャッターブレもない(貧弱な腕前ゆえの手ぶれは普通にある)。これだけのレンズ性能とセンサーを持ち、おまけにコンパクト。ほかにはない、まさに唯一無二なカメラである。描写力も、いまなおトップクラスだし、私は単焦点原理主義なのでズームとかは不要だし。

気になったのは2つ。

まずは、やはりAFまわりの操作感。とはいえ、この2年の間に度重なるアップデートを重ね、相当改善したというのは事前に知っていた。ていうか、最後はMFで合わせりゃいいんだよという多くの先達のご意見もあり、念のため店頭で確認し、まったく問題ナシと判断。

もひとつは、発売から2年が経過していたこともあり、そろそろボディーが新しくなったりしないのだろうか、という不安。現ボディーは液晶も見劣りするし、動画まわりも物足りない。ボディーが刷新されるならそれまで待つかとも思ったが、そんな情報はカケラもない。

ついでに言うと、買うなら2年前に買っとくべきだったよなぁ的な今更感もあったなw

ウダウダと悩んでるうちに、昨年7月、なんとリコーがPENTAXのカメラ部門を買収してしまった。これは新ボディーが出るどころか、ひょっとしたらGXRがディスコンになる可能性も……と不安MAXに。

だったらもう、いっそ買ってしまえばいいさと、A12の50mm単焦点とボディーをポチリとしたのが、娘の生後数週間後の出来事。10月に西武ドームに行ったんだけど、そのときが筆下ろしだったかな。

使ってみて、その素晴らしさに(オーバーでなく)ホレボレとしております。ただ、私の腕では、そのポテンシャルをきちんと引き出せていない。まだまだ修行が足りないなあ、と頭を掻きまくり。親バカ全開で写真を撮りまくってるけど、視力が落ちたのかピンが抜けまくるぜ。トホホ。

チマタではマウントユニットが大好評だし、APS-Cのズームユニットも今年の発売が発表されて、にわかにGXRが盛り上がっている。

ここはぜひ、EVF内蔵の新ボディーを……。液晶もGRD4みたいな明るいやつにしてもらって、動画もAVCHDのフルHDとか、どうにかなりませんかね。そしたら、A12の28mmといっしょに買いますので。

というわけで、懲りずにお約束の親バカ写真を張り付けておきます!

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a kind of magic

それは
子どもだけのものではなくて
大人だけのものでもなくて
君の僕の
他の誰もの
何かを諦めないでいる
そんな想いの中にある
(魔法を信じるかい?/仲井戸“CHABO”麗市)

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2012年、あけましておめでとうございます。この年末年始は、早めに実家に帰り、のんびりと過ごしました。

とはいえ、初めて孫を連れて行ったとあっては、ちょっとしたお祭り騒ぎ。爺も婆も想像以上のはしゃぎっぷりで、ポカーンとする場面がいくつもあったりして。

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娘はどうやら、不思議な呪文をいっぱい知っているらしい。まるで、小さな魔法使いです。

いまでも胃腸が弱いけど、幼い頃、よく腹痛を起こしてはよく親を困らせました。その度に、母親がお腹をさすってくれたりしたわけなんだけど、不思議と痛みが和らいで、気がつくと眠ってしまうんだよね。

ぐずる孫のお腹をポンポンと軽くタッチしたり、「の」の字を描くように撫でる母親を見ていて、そんな幼い日のことを思い出しました。

「あらら、眠っちゃったよ」と、妻と顔を見合わせ笑う母親。

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帰京後、新幹線の移動で興奮したのか、はたまた初詣で疲れたのか、泣き止まない娘をなだめる妻。どれどれ、と顔を覗き込んだら、口の中に、ポツンと白い歯が。こいつは春から縁起がいい。

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そのうち、静かになったと思ったら、妻が娘のお腹をやさしく撫でていた。

2012年、皆様にとって良い一年でありますように。もちろん、自分にとっても。

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